例の無謀運転手による

ノーブレーキ電柱破損事故は

この秋のご近所の皆様の

噂の的と申しますか

いい話のタネでございまして、

あれですね、大事故だけど

死者がいないってところが

人気の秘密なんだろうと思うのです。


 

ただまあ運転手が愚かとはいえ

他人の不幸を嬉々として

お茶請けにするのも

悪趣味といえば悪趣味、

しかしそんなことを言っている

お前のこのブログの有様は

何なんだ、という話でもございますが

「でもね、Norizo、あの道は

本当に危ない道だから

気をつけないと駄目よ」とは

ご近所のとある奥様からのご忠告。

 

「ありがとうございます、気をつけます」

 

「本当に気をつけないと危ないのよ。

私はもう何回もあそこで

事故を見ているんだから。

つい数年前に見たのはすごかったのよ」

 

奥様はその日お子様を

学校に送っていくために

例の道を運転していたのだそうな。

 

よき市民である奥様は

制限速度をしっかりと守り

山道運転の常として

サイドミラーもバックミラーも

こまめに確認していたとのこと。

 

そんな奥様のバックミラーに

目の覚めるような速度

後方からやってくる車が見えた!

 

明らかな速度制限無視、

あれは絶対に追い抜きをかけてくる、

でもここは山肌と崖の間の山道、

追い抜きポイントは

限られているんだけれども

あんな気のふれたスピードで

田舎道を暴走する車の運転手に

そこらへんの常識は通用するのかしら?

 

それにしてもあの車

時速何マイルくらい出しているのかしら?

 

100マイル(160キロ)は

軽く超えていないかしら?

 

曲がりくねった勾配のある

路面状況もよろしくない狭い道で

何を考えてあんな真似を・・・

と、奥様が考えているうちに

問題の車はグングンと近づいてきて

・・・ああ、ヤダヤダ怖いわ、と

奥様は独り言を言いながら

カーブに沿ってハンドルを左に。

 

ハンドルを元に戻したところで

バックミラーを確認すると

後方のその車がふわりと

『空を飛んでいた』そうな。

 

「ハンドルはちゃんと左に

切れていたみたいなのよね、

車の鼻面はこっちを向いていたし

でもほら、スピードが出ていたでしょ?

車の後ろがその勢いで宙に

持ちあがっちゃったみたいなのよ」

 

車はそのままフィギュアスケートの

ジャンプの要領でくるくると回転しながら

崖下に落ちていったそうでございます。

 

文句なしの完全なる自爆事故、

しかし奥様は良き市民として

当然のごとく少し行った先の路肩に

車を停め、徒歩で事故現場に戻り

親切なことに頑張って崖下にまで

降りて行って差し上げたとのこと。

 

車は何故か上下逆さになっていて

しかし煙などは出ておらず、

割れた窓ガラスの向こうでは

エアバックと歪んだフレームに挟まれて

運転手が大声で何事かを

わめき散らしていたそうな。

 

で、この運転手、この奥様の姿を見るなり

さらにいっそう声を張り上げて

これでもかと罵詈雑言を

奥様に対して浴びせかけはじめたとのこと。

 

いや、運転手さん、奥様は

何も悪いことはしていませんよね?

 

しかし運転手の聞き苦しい喚き声は止まらない、

仕方ないので奥様はしずしずと車に近づくと

「それだけ声が出せるならお元気なようね。

でも車からは自力でお出になれないようね。

わたくし、脱出をお手伝いしようと

ここまで来たんですけど、

ここまで罵られてなおもお宅様に

手を貸す義理もございませんわね。

じゃ、ご自分でどうにかなさいませ、失敬」

 

奥様はそのまま自分の車に戻り

予定通り町まで息子さんを送り

そこで学校の電話を借りて

事故の報告を警察にしたのだそうな。

 

教訓:この奥様を怒らせてはいけない。

 

 

この話を聞いた帰り道

「しかしあれ、奥様の行動はどうなんだ。

救護義務みたいな観点からすると」

とわが夫(英国人)に尋ねたところ

「問題全くなしでしょう。ちゃんと

警察には連絡しているし、

事故状況も確認しているし。

二次災害を防ぐことも大事なことです、

事故に興奮して

訳が分からなくなっている運転手に

迂闊に近づいては危険ですよ」

 

教訓その2:事故を起こしたら

おとなしくしているのが世のため身のため。

 

車は気を付けて運転しましょう。

 

 

心優しいこの奥様は

学校からの帰り道に

事故現場に警察車両が

集合しているのを

ちゃんと確認してから

家に戻られたそうです

 

しかし怖い道だ

 

ぱっと見、それほど危険にも

見えないところが盲点というか

問題点なのだと思います

 

慣れていないとついいい気になって

アクセルを踏み過ぎてしまい

そのままカーブに突入、という

 

自分だけならいいんですけど

その時反対側からやはり

自分と同じように速度を出し過ぎた車が

少し『ふくらんで』やってこようものなら

あっという間に衝突事故ですよ

 

慣れない山道で無理矢理に

スピードを出すのはやめましょう

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