納屋で仕事をしておりましたら

何やら視線を感じまして

ふと目を上げたところ。

 

 

・・・閣下・・・

 

 

秋の本格化と足並みをそろえるかのように

体力の低下が目立ってきていた

我が家の雄鶏橙(だいだい)閣下ですが

昨日今日とちょっと暖かさが戻ったところ

移動距離をそれなりに拡大する程度には

お元気になられた様子です。

 

 

よかったよかった。

 

茶雌鶏第一夫人が先日

お隠れになってからしばらくは

閣下は一人で前庭を

ふらふらしていらっしゃることが多く

どうなることかと心配していた私ですが

近頃は残された雌鶏2羽とそれなりに

仲良くやってもいらっしゃる模様。

 

 

私の理解が正しいならば

頭部が灰色で体が黒色の貴婦人

(通称『レディ・グレイブラック』)と

閣下の間に生まれた娘さんが

頭部が金色で体が黒色のお嬢さん

(通称『レディ・イエローブラック』)。

 

 

「現在はレディ・グレイブラックが

第一夫人ということでいいんですよね」

 

「まあそういうことになるだろうな」

 

私の言葉に夫(英国人)は頷きつつ

「今朝、僕がニワトリ小屋の戸を開けた時、

雌鶏2羽はすぐに目が覚めて

こっちを見たんですけど

閣下は眠りが深かったらしくて

じっと目を閉じたまま止まり木の上で

しばらく動きませんでした」

 

「・・・おい、それは悲しい話か」

 

「そうでもありません。その時閣下は

隣にいたグレイブラック夫人に

軽くもたれかかっていたんですけど

灰黒夫人は閣下を起こそうとしたのか

喉の奥でくぐもった鳴き声をたてながら

体を少し横にずらしたんですよ。

でも閣下はそれでも目を覚まさなくて

雌鶏にもたれかかったままで、

こう、雌鶏が横に動くでしょ?

雌鶏にかぶさったまま閣下も動いて、

で、結局2羽揃って止まり木の上を

つつつーと移動して、でもそれでもなお

閣下は目を閉じっぱなしで、

灰黒夫人はそこで諦めたのか

足を踏ん張り直して

閣下の朝寝のお供を務めていました」

 

閣下がちゃんと雌鶏達に

愛され労わられているようで何よりです。

 

 

ただ正直閣下はもうそろそろ

御寿命であるかと思われます

 

 

数日前、寒さが厳しめであった午後

閣下、外に日が射してもなお

ニワトリ小屋の外に出られず

 

「・・・屋内に引き取って

ストーブ横で温まってもらおうか」

 

私の提案にしかし夫は首を横に振り

「駄目ですよ。可哀そうでしょ!」

 

「可哀そうって何がだ。

ちょっと前に雌鶏夫人が弱った時

我々は彼女に家に入ってもらったろう」

 

「雌鶏と雄鶏は違います!

閣下をいきなり家の中に

入れちゃったら、閣下は良くても

雄鶏なしに庭に残された

雌鶏達が可哀そう過ぎるでしょう!」

 

・・・え?そういうものなの?

 

まあその後閣下はご無事に

お元気を取り戻されたわけですが

 

ストーブ横で二足歩行生物と

猫を眺めて余生を送るより

雌鶏の温かな羽毛に顔を埋めて

止まり木の上で頑張るほうが

閣下としては本望な気もいたします

 

秋、皆様もご自愛ください

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