もしかすると、もしかするとですけど、
一部の方にとっては衝撃的な
写真が掲載されている本日かもしれません

えーと・・・

気を付けてね!


たまごからクチバシ『だけ』が
出た状態で力尽きてしまった
ガチョウのヒナを
我々は救うことができるのか!

(ここまでのドラマは
昨日までの記事をご参照ください)

自分でドラマとか言っちゃうくらい
個人的に葛藤があった経験でした)

「しかし救命に全力を尽くす
決意だけはあるものの
具体策は現時点で特になし
とりあえずは体温の確保だよな?」

いまひとつ頼りない私に対し
子供時代にガチョウを
複数飼っていたという
経験豊富なわが夫(英国人)は
「そうです、英国農家では伝統的に
こういう場合はオーブンを使います。
低めの温度に設定したオーブンに
ヒナを入れて温めましょう!
もちろん窒息予防にオーブンの扉は
少しだけ開けておかねばいけません」

よしきた、合点承知の助!

(あわてると昭和の香りが出る私)

オーブンを60度に設定し
そこにヒナを入れ
もちろん扉は少し開けておき・・・

そこに様子を見に来たわが夫、
「ちょっと、君、殻つきのまま
ヒナを入れてどうするんですか!
これでは救命でなく調理ですよ!」

あら、そういうものですか。

しかしヒナをたまごから出そうにも
こう、微妙な感じにヒナの身体と
たまごの内側がくっつていてですね。

箱入りならぬ殻入り


「力任せに殻を剥くと
一緒にヒナの身体の一部も
剥がれちゃいそうな
予感がするのだが」

「・・・それは嫌な予感ですね」

というわけで、
殻つきのままヒナを温めつつ、
そのまま蒸しあげてしまわないように
こまめにオーブンの中を覗くようにし。

しかしやはり何事にも保温は大事なのか
このあたりからヒナが時折
ヒヨッと囁き声をあげるようになりまして。

よしよし、これはいい兆候、と
少しずつたまごの殻も剥していき、
同時にストーブに火を焚いて
部屋全体を温めておく。

たまごからヒナが
出てきた直後の様子がこちらです。

こんにちは、世界


・・・うん・・・

なんかこう、その・・・

ガチョウのヒナと聞いて連想する
フワフワ感がゼロな驚きっていうか・・・

あと、体の後ろ半分が
丸まったまま伸びないんですけど、
これはいいことなの、悪いことなの?

「そして何より、このヒナ、体全体が冷たいぞ。
もっと温めなくてはいけないと思う」

オーブンの熱では弱いのか、と
ストーブ前に紙箱を置き
その中にヒナを入れ
温めること小一時間。

うーん、これは効いているのかいないのか、
ヒナはぐったり箱の底に蹲ったままだし
触るとまだまだひんやりしているし・・・

ねえ、そもそも、これ、本当に鳥類?

毛の生えた両生類とかではなく?

「もうこうなれば人肌が一番です。
妻ちゃん、ストーブ前にどうぞ」

「・・・私と君だと君の方が
手のひらの温度は高いはずだが?」

「僕、今日はこれから納屋で
仕事をしなくちゃいけないんですよね」

貴様・・・

それは明らかに
この様子のおかしい生物を
触ることを避けたいのが本音だろう・・・!

「そういう態度はどうなのよ」

「いえ、仕事をしなくちゃ
いけないのは本当なんです」

「まあそれは知っているけど」

「あとですね・・・その子、お尻から
かなり出血していますよね・・・
それでお尻部分が動きませんよね・・・
それ、もしかしたら、さっき僕が
たまごの殻を剥した時に何か
間違ったことを
してしまったんじゃないかと・・・」

ああ、なるほど、夫よ、君は今、
罪悪感にも負けそうになっているんだな。

「わかった、そういう時は体を動かして
気分の転換を図るのが最善策だ。
その間、ヒナの面倒は私が見ておこう」

夫の言っていたヒナの出血というのは、
たぶんあれ、人間のへその緒に
あたる部分だと思うのですが、
ヒナの足と足の間がぷっくりと膨れていて、
そこがどうもたまごの内側と
くっついていたみたいなんです。

で、たまごの殻を
ヒナのお尻部分から剥す際に、
夫はなんでも生たまごを割る時の要領
殻を上に持ち上げ、重力を利用して
ヒナをぽとっと落とす作戦に出たらしいんです。

その時にヒナから血が出たらしく。

しかし私にはそれ、特に問題のある
出血だとは思えなかったんですけどね、
まあ血に関しては殿方は繊細ですからね。

そしてこの時点ではそのヒナの
足の間の膨らんだ部分からは
何やら白い得体のしれない物体
にょろりと露出しておりまして、
そしてその周囲に
血が付着しております状態で、
夫はもうそれを
直視できない気持ちであった模様。

え、図解が欲しい?

ではイラスト説明はこちらになります:

でれん


実物はもっと濡れ羽色状態です、当然。

「あとね、僕は思うんですけどね、
女性の手のひらには
未知なる癒しの能力が
秘められているものですよ、
我々男の手のひらじゃダメなんですよ」

「もういいから作業に行って来い」

夫が作業に向かった後、
私はストーブ前に腰を据え、
時々思い出したように足を動かし
ヒヨッと小さな叫びをあげる以外は
ぐったりと冷たいままのヒナを
ひたすら手の熱で
温める作戦を開始したのでした。

続く。


こういうことを書くとわが夫の人気が
急降下するかもしれないのですが、
奴め、正直こういう
ぺっとり・しなしな・よろよろの
冷たい生き物は苦手みたいでですね

しかも変な粘着力のある液体的なものが
そのお尻にくっついているとなったらね

ヒヨヒヨ・ふわふわ・ああ可愛い、を
想像していた人間には
少し衝撃の度合いが
過ぎる現実であったかもしれない

だがな、夫よ、それは私も同じなんだよ!

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