今週、Youtubeに投稿された

一つの動画が

英国世論を二分する

議論 を引き起こしました。


Scotrail No Ticket 』と題された

このビデオクリップに写っているのは

とある日のスコットランド鉄道内の風景

(テレグラフ紙の動画付き記事はこちら )。


切符の検札を行っていた車掌さんが

ある若者が不正乗車を行っていると指摘。


正しい切符を買い直さないなら

このまま電車を降りなさい、と言う車掌に対し

若者は反発、席から動きません。


「下車しなさい」と何度も繰り返す車掌さん。


膠着した事態に業を煮やしたのか

そこで一人の身丈の大きい乗客が

立ち上がり、車掌の手助けを買って出て、

若者の首根っこを引っつかまえると

そのまま車外に文字通り放り出しました。


若者はもう一度車内に戻ろうとします。

それを阻止して、再び若者を投げ飛ばす大男。


結果、若者を駅のプラットホームに残したまま

電車の扉は閉まります。


同じ車両に乗り合わせた乗客は

大男に感謝の拍手を送ったのでした。


・・・で、ここで話が終わりますと

世の中人助けの精神

まだまだ廃れたもんじゃないですよね!

みたいな話で終わるのですが。


電車からつまみ出されたこの若者は

「僕は正しいチケットを買っていた。

でも、駅で僕にチケットを売った人が間違えて

僕に正しくないチケットを渡したんだ。

僕はそれを車掌に説明しようとしたのに

変な大男が暴力的に介入したせいで

それが出来なかった、僕は被害者だ」

と、その後主張したのです。


世論の一部は一気に

この青年の肩を持つようになりました。


「残念なことですが、わが国の鉄道の

車掌は時々見当はずれな難癖

乗客につけてくることがあります。

こっちが正しいチケットを持っているのに

それを認めてくれなかったり。

僕も何度か経験があります。

ちゃんと説明すれば

わかってくれるんですけど、

その説明を納得してもらうまでに

時間がかかることもあります。

この若者がそうやって

誤解を晴らそうとしていたところを

まったく関係のない人に肩を掴まれて

外に放り投げられたのだとしたら

それは理不尽が過ぎるというものでしょう」

とはわが夫(英国人)の弁です。

動画を見てみると確かに大男氏は

かなりの力で若者のことを投げ飛ばしている。


特に電車内に戻ろうとした彼を

ホームに再び押し返す場面では

現役力士も顔負けの首投げを決めている。


若者は顔をすりむく怪我をしたのですが

「あれでもう少し打ち所が悪かったら

彼は首の骨を折っていた、明らかに過剰な暴力だ」

と一部の報道は指摘しました。


その後大男氏の身元も判明し、

一部の人は彼こそが悪者であると

考えるようになりました。


しかし注意して動画を最初から見てみると。


動画自体がそもそも事の途中から

撮影を開始されたものではあるのですが

「このチケットは正しいチケットではない」

と指摘された青年は、車掌に反論することもなく

ただひたすらふてくされ、悪態をつき続けます。

Fから始まるかなり汚い言葉も使っています。


彼が本当に『正しい切符を買おうとしたのに

鉄道会社側の不備で間違った切符を渡された』

被害者ならば、彼はあそこでしっかりと

その経緯を説明するべきだったのではないか。


少なくともあの態度では、あの若者は

意図的に不正乗車を行おうとしていた、

と判断されても仕方ないように私は思いました。


そんな不遜な若造に対し何度も下車を求める

白髪でかなり高齢とお見受けできる車掌さん。


大男氏がこの二人の間に割って入ったのは

実際純粋に親切心からだったように見えるのです。


確かに過剰に力技を

行使しすぎた感は否めませんが。


「車内には家族連れもいれば

旅路を急ぐ人たちも大勢いる。

不正乗車をして開き直る若者のために

何故他の多くの善意の人が

迷惑をこうむらなくてはならないんだ、

という見るに見かねての

精神から出た行動じゃないか、これは」

とは私の意見。


確かにあの首投げは

過剰暴力といえないこともないんですが、

でもあの大男氏が

本気で暴行に及ぼうとしていたら、

あの程度の投げ技じゃ

済まなかったとも思うのです。


若者の父親は大男氏の

告訴も検討中だという話 で、

で、そうした報道を受け一部の読者は

「そんな告訴が本当に受理されたら

私は大男氏の弁護士費用をカンパする!

彼の行動が非難されるというのなら

英国社会における正義って何なのよ!」

とこれまた熱く反応中。


ちなみにこの青年は

多くの新聞記事の見出しで

『キセル君(Dodger)』『チンピラ君(Ned)』

と呼ばれています。


日本の報道では

ありえない姿勢であると思います。

現時点での問題の焦点は

若者が本当にキセルをしようとしていたのか、

にはすでになく、公共の交通機関において

迷惑行為を行う人間がいた場合、

善意の第三者

どこまでそれに介入していいのか、

その際どこまでの力を行使していいのか、

にある模様です。


ある日乗った電車の中で

高齢の車掌さんが若造相手に

「君は不正乗車をしている」と指摘、

それに対して若者は罵倒と無視を繰り返している。

青年のせいで電車は止まってしまっている。


どうするのが正しい市民の姿であるのか。


貴方はどう考えますか。


車掌さんへの若者の態度については

わが夫も「あれは間違っている」と指摘


(夫は最初問題のビデオが

短時間に編集された映像だけを観ていたので

若者の『僕は説明しようとしていた』発言を

かなりそのまま信じていたのです)


(映像編集の危険性がよくわかる話ですね)


なおこの金曜日には

エセックス発ロンドン行の電車で

不正乗車していた若者を

強制下車させた車掌さんが逆恨みされ

背後から刺される、という事件 が起きました


電車内の治安とは何なのか


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