この年始、とある古刹の

偉いお坊様

わが実家にいらっしゃいまして。


ご訪問の目的は

祖父(まだまだお元気95歳)への

ご挨拶だったのですが、

祖父の寝室で和気藹々と

しばらくお話をなさった後、

「長居をしたら皆さんに悪いからさ!」

とお坊様ったら颯爽とお帰り支度。


素晴らしい・・・!


高齢者・病人へのお見舞いは

これくらい立ち去り際を見事にしたいものだ、

とホレボレとそのお姿を

拝見させていただいておりましたら

「ところで私は今年、年男なんです」

とそのお坊様がおっしゃるんですよ。


「年男・・・ということは

60歳でいらっしゃるんですか」

「ウフフ、秘密、でも私、

そんな年には見えないでしょう!」

「そうですね、たいへん

お若くていらっしゃいます!」

「まあ今年は寅年、私の年ですから、

一年元気に頑張りますよ!」


この話の流れで私もつい

「そうですか、実は私も年女なんです。

じゃあ今年は私の年でもあるということで、

私も一年元気に頑張りたいと思います!」


「えっ!そうなの!奇遇だなあ!

じゃあお互い、寅年おめでとうってことで!」


そうおっしゃりつつですね・・・


その偉いお坊様がですね・・・


片手を頭上に差し伸べられたんですよ。


いえ、いわゆるキリスト教の

祝福のポジションではなく。


つまり・・・ハイタッチの位置に・・・


え?


私の目の前にいらっしゃる方は

ホームランを打った

野球選手ではないのよね?

もちろんバレーボール選手でもないのよね?


い・・・いいの?


でも、でもでも、

ここでお坊様の手を無視してしまっては

それは年明け早々失礼というもの!


一瞬の躊躇の後に

速やかに腹をくくった私は

これでもかとばかりに能天気な声で

「そうですね、

じゃあ寅年おめでとうってことで!

イエース!ハッピー・ニュー・イヤー!

寅年、イエーイ!


・・・決めましたよ、音高くハイタッチを。


お坊様はカラカラと笑われると

くるりと身を翻し

きびきびと帰っていかれたのですが、

その後姿が見えなくなった瞬間に

私の隣にいた弟が小さな声で

「・・・それにしてもお姉ちゃん

・・・ハイタッチは・・・ないわ・・・」


そういうことを今言うな。


「だってお姉ちゃん、あんた自分が

何をしたかわかっているんですか。

あの方、相当偉い方ですよ、正味の話が」

「それは私も承知しておりますけれども!

じゃあ何か、あそこで私は

お坊様の手を無視すべきだったのか!

それはそれで失礼だろう!」

「・・・そうだね、それは失礼だ。

うん、俺が悪かった。評価を変えます。

お姉ちゃん、あんた、よくやったよ!」


それにしても

お坊様相手にハイタッチって・・・


仏様、私に悪意はなかったのです。

罰とかあてないでください。



念のため申しておきますが

私は宗教関係者には

基本的に常に

敬意を払おうとする人間です


いや、今回は

その礼節が逆に作用したっていうか・・・


やっぱりハイタッチはないよなあ

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