隣人達との忘年会では

○号室の人はどんな人?」

という話題も酒の肴になりました。

噂好きですみません。


まあ最近越してきたカップルは

美男美女だ、特に男のほうがすごい、とか、

数日前にアパート中で異臭がしたが

あれはどの部屋が原因だったんだ、とか

そういう罪のないことを

最初のうちは話していたのですが、

お酒が(脳に)まわってきたあたりで

突然ひとりの隣人が

「1階のA号室の人、あの人、

実は麻薬の売人じゃないかと

私は思っているのよね!」


まっ、麻薬の売人っ?


「・・・そ、それは警察に

通報しなくてはいけないのではっ?」

「Norizo、落ち着いて。

彼女は酔っているだけだから」


ちなみに彼女が何故A号室の人に

ドラッグ・ディーラーの疑いをかけたかというと

「だって住んでいる人の姿を

滅多に見ないでしょ?」


・・・君ね・・・それだけでね・・・


「なのに妙に頻繁に

お客があるような様子じゃない!」

「身に覚えがあるから擁護しますが、

それってある種のひきこもりには

よくある状況だと思いますよ


「じゃあね、あとね、あの部屋、

共同廊下にリサイクル用のゴミ箱を

出しっぱなしにしているじゃない!

それで中にウォッカのボトルとかを

ずっと入れっぱなしにしているじゃない!

あれ、見るたびに腹が立つのよ、私!」


彼女はあれなんです、

いわゆる『片付け魔』なんです。


「きれい好きの貴方の精神が

A号室の住人によって

揺さ振られていることは理解しました、

しかし、たったそれだけで

相手を犯罪者呼ばわりは可哀想でしょう」


「仕方ないのよ、Norizo、彼女は

今年もいい男を見つけられなかったから

心がささくれ立っているの、

寛大な心で彼女の愚かな発言を

受け入れてあげて頂戴」

「さらりとひどいことを言いますね」

「ちなみに私は麻薬の売人というなら

2階のB号室の

住人のほうが怪しいと思うわ」


あ、貴方まで・・・


「一応お尋ねしましょう、それは何故ですか」

「B号室に住んでいる子、

若いのにすごく高い車に乗っているのね。

でもその車は滅多に

駐車場に停まっていないのよ。

私が推理するに、

あの子の住居は別にあるわね。

B号室はあれよ、たぶん中で

大麻とかを栽培しているのよ!


貴方、そのお酒のグラスは何杯目ですか?


しかしここで夫(英国人)が一言

「でもB号室にはちゃんと

人が住んでいるんじゃないかな。

だってよく窓からが外を見ていますよ」


それでも彼女は夫の反論に眉を上げて

「それはあれじゃない?

大麻をネズミから守るため

猫に留守番させているんじゃない?」


ちなみに昨日 申し上げましたように

この忘年会の後、我々は

連れ立ってキャロルを聴きに出かけたました。


で、キャロルも聴いたし、お茶も飲んだし、

ではパーティーはお開き!

となったそのときに、この片付け魔娘が

「・・・私、やっぱり

このウォッカだけは許せない!

と共同廊下に置かれていたゴミ箱を

A号室のドアの真ん前に置き直してですね・・・


「君は何をしているんだ、相手は

ドラッグ・ディーラーの疑いがあるような人だろう、

そんなことをしたら報復が怖いじゃないか!」

「嫌だわNorizoったら私の戯言を信じたわけ?

大丈夫よ、別にそこまで悪い人じゃないと思うわ」


からからと笑う彼女に他の隣人が

「・・・でもたとえ犯罪者じゃなくても

あんなことをされたら

A号室の人は腹を立てると思うわよ?」


言われて彼女も少し気になったのか

「・・・そうね、言われてみれば確かにそうね。

よし!わかったわ!

(ここでいきなり声を張り上げ)

ちょっとNorizo!駄目よ、

他の人の家のドアの前にゴミ箱なんて置いちゃ!

気持ちはわかるけど、

英国ではそういうことはしないの!

そういうことは日本で、アジアでおやり!ね!」


君、よく咄嗟にそういうことを思いつくなあ!


思わず声もなく笑っておりましたら

周囲にいた他の隣人達が声をそろえて

「アータ!それは卑怯よ!」

「A号室さん!

それをやったのは英国女ですから!」

「そうそう、背が高くて金髪の女です!」

「日本の人は関係ないですよー!」


とりあえず、わが家はご近所さんには

恵まれている模様です。



A号室の大家さんは実は警察官、

という説もあるので

住人がドラッグ・ディーラーということは

まあない、とは信じたいのですが・・・



しかし何なんでしょうね

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ちなみに私がミス・マープル物で

一番好きなのは『動く指』です


動く指 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ・クリスティー