男は母に似た女性と結婚したがり

女は父に似た男性と結婚したがる、

との説が世間には流布している模様ですが

私にいわせればあんなものは妄言です。


本当に勘弁していただきたい。


いえ、父のことが

嫌いというわけではないのです、

何と説明すればいいのでしょう、

わが父って

武将でいえば石田三成なんですよ。


頭脳明晰、清廉潔白、異性人気も低くはない、

でも親しい友人はとても少ない、という。

少ないのは貴方のその性格のせいよ、という。


根性が悪いわけじゃないんですけどね

・・・こう、ふとした拍子に

癇に障りやすいっていうか・・・

周囲が思わず

「治部少輔ふぜいが何を言うか!」

反発したくなっちゃうタイプなんです。


いや、私だって父のことを

悪く言いたいわけじゃないんですよ!


ただね、家族に石田三成は

ひとりでじゅうぶん!

新しい三成は要りません!

間に合ってます!ということなんです。


そして皆様ご存知の通り

わが夫(英国人)は三成的横柄さからは

もっとも遠い人格の持ち主でございまして

(どちらかといえば大谷吉継系かと)、

よかったよかった、三成の呪縛からは

きっぱり離れて私は新たな生活を築くよ、

と、ここで話が終われば

「そしてふたりは永遠に幸せに暮らしました」

の美しい童話的エンディングも可能なんですが

・・・人生、それほど甘くないのよね。


先日いつものように夫にお茶を渡すついでに

その首にかじりついて

夫の耳周辺の匂いを嗅ぎ回りましたところ

(申し訳ない、我々ったらまだ

新婚気分が抜けていないんです

(それにしてもマイケル・ジャクソン系の

江本孟紀似の女にこれをやられて

夫は平然としているんだぜ、すごいよな)

普段は石鹸の匂いだけが香りたつ

わが夫の首元から・・・これは・・・


「おい。夫。どうしたことだ、君、

私の父と同じ匂いがするぞ」

「ええっ!そんな、ひどい(awful)!


気持ちはわかるがそこで『ひどい』も

かなりひどくない?と思いつつ

確認のため夫の全身の匂いを嗅いでみました。

くんくんくんくんくん。


「うーむ・・・震源地は首の後ろだな・・・

「ねえちょっと、それは僕が

嫌な臭いがするってこと?僕、くさいのっ?」

「いや、父の名誉のためにも誓って言うが、

これは別に悪臭ではない

むしろ麝香系のいい香りかもしれない。

だが、私にとっては果てしなく微妙だ」


そりゃ夫が老いようと健康を害そうと

貧しくなろうと変わらず愛を保ち続ける誓約は

仏様と神様と両方に捧げましたけどさ

「だが聞いていない!君の加齢臭が

実の父のそれと同じになる、なんて

そんな恐るべき可能性については

当時周囲の誰も言及してくれなかった!

何だこれは!裏切りか!」


「僕だって知りませんよ!

だいたいどうして君がお父さんの

首の裏の臭いを知っているんですか!

日本人の父と娘は英国人の父と娘と違って

滅多に抱き合ったりしないもんなんでしょ!」

「そりゃ大きくなったら抱擁なんてしねえよ!

でもな、5歳くらいまでは

たとえ相手が石田三成だろうと娘ってのは

ほいほい父親に抱き付いちゃうもんなんだよ!

・・・そしてそのときに嗅いだ匂いは

記憶の深い部分に焼き付けられちゃってだな

・・・まさかこんな異国の地でその匂いに

再会を果たすことになるとは・・・!」


率直に申し上げますと

私は別に父の首の裏の匂いが

嫌いなわけではないんです。

反抗期に突入するまでは

むしろ好きな匂いと認識していたくらいで。


そう、父の首の匂いなんて

直接嗅ぐことはなかったけれども

父の枕の匂いがちょうどこんな感じで・・・

「わかった。夫よ、

お前さては前世が枕だったんだろう」


「また突然何を言い出すんですか」

「お願い、前世が枕ってことにしておいて。

結婚相手の首の後ろから

父と同じ匂いがするなんて事実に

私の繊細な心は耐えられないの。

君の前世は枕。だから君は時々

枕の匂いがするの。あれは枕の匂いなの!


というわけで

わが夫の前世は

枕ということがこのたび発覚しました。

よかったよかった、

あれは枕の匂いだったんですよ!


自分を誤魔化しているのは理解しています

そこらへんはノーツッコミでお願いします


ちなみに父は石田三成ですが

そんな父と仲良くやっているわが母は

あれは間違いなく豊臣秀吉です

あの人当たりのよさはただごとではない

それに申年だしね!


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