夫婦の攻防、台布巾編

昨日の記事 の続きです)。


わが東京の実家では

台布巾は木綿製でした。

夫(英国人)のヨークシャーの実家でも

布製のそれを愛用しています。


なのに何故かわが家では、

あれは何というのでしょう、

特殊素材で作られた

吸水性と速乾性に優れている、とされる

使い捨て可能な化学繊維布巾を使用中。


当初はなんとなく

使用することに抵抗があったのですが

(環境的にどうなの、というのと同時に

あの手触りがなんとなく嫌だったのです)、

まあ人間は慣れる動物でございまして。


使ってみればたしかに

利点は色々とあるのですよ。

本当に強力に水を吸ってくれますし。


あと『使い捨て可能』とか

宣伝されてはいるものの、

その気になったら

一枚をかなり長いこと使えますし。


ほつれが目立つようになり

これはもう台所に置いておくのは

美観的に許されないんじゃないかな、

という状態になったら雑巾に。


で、ここからが夫婦の諍いの原因なんですが、

私としてはこの特殊素材君を

台布巾として復帰が完全に不可能になるまでは

しっかりと台所で使い切ってあげたいのですよ。

多少布のすみっこがほつれてきても

機能的には全然問題がないわけですし。


しかしわが夫はですね、

多少『やぶれかぶれ状態』な台布巾を目にすると

肩を落として悲しそうな顔になり

「ねえ・・・そろそろ新しい台布巾をおろしませんか?

僕の稼ぎってそこまで悪くないと思うんですよね・・・」

「いや、これは倹約というよりエコでな」

「最近の研究によれば、台所で一番汚れているのは

排水口でも床でもなく、台布巾らしいですよ」


いや、だからそれは

特殊素材台布巾を愛用する

英国の皆様の多くが

『布巾の煮沸消毒』をしない上に

高温多湿の気候とは無縁なのをいいことに

『布巾を広げて乾燥させる』ってことを

さぼりがちだからだろうっ?


そうなんですよ、『ゴ』とカビの天国である

日本出身の我々のDNAには

『布はしっかり乾燥させないと

とんでもない結果をもたらす』という真実が

これでもかと焼き込まれているじゃないですか。

皆様も一度は生乾きの洗濯物の悪臭や

干し損なった台布巾の悲劇に

直面なさったことがあるはずだ!


しかしね。英国の皆様はね。


ちょっとしたカフェやティールームの

水周りをこちらで覗ける機会がある方は

今度注意して観察してみてください、

たいていの場合台布巾は

中途半端に水を含んだ状態

適当に丸められてそこらへんに

放置されているのが常ですから。


『台布巾は使い終わったら

洗って絞って広げて干しておく』

とかいう常識は、

あれは遠い国の花火ですから。


もちろん英国の方の中にも

『そんな台布巾の使用法には耐えられない!』

という方はいらっしゃいます。

実際私の周りにも幾人かは

台布巾の乾燥に命をかけている(言い過ぎた)

英国の方が存在します。


しかしやはりそういう人は珍しい存在

・・・というか、我々日本人が

そこらへんには非常に神経質なんだと思うのです。


やはりあの日本の夏を経験するかしないかで

おのずから台所に求める清潔度合いには

差が生まれて当然なのだと思うのですよ。


ちょっと気を抜いたら水周りはヌルヌルになり

台布巾は異臭を放ち食べ物にはカビが生え

そしてふと気がつけば

恐怖の大魔王『ゴ』どこからともなくやって来る

・・・日本は恐るべき魔境なんですよ!


掃除は得意じゃないし、好きじゃない、を

公言する私でさえ『台布巾の煮沸消毒』は

時々やらないと自己嫌悪に襲われるのですが

どうも夫は『台布巾を熱湯で消毒する』という

その行為の存在自体を知らなかった様子で。


でね、夫はですね、いい人なんですけどね、

やはり根は英国人なわけで・・・

気を抜くとどうしても

台布巾を濡れた状態で適当に丸めて

そこらへんに放置してしまうのですよ・・・

当然翌朝の台布巾は

悲しい臭いを放っているわけですよ・・・


それを見つけて敗北感に打ちひしがれる私に

夫は他意のない笑顔で

「この台布巾は雑巾に格下げですね!

じゃ、新しい台布巾を棚から出しましょう!」


・・・お前に加害者としての反省はないのかっ!


まあこのように陵辱を受けた台布巾も

一度熱湯を通してあげると

再びあの匂いとは無縁の存在に

なんとか返り咲けるのですが、

夫はそんな私の後姿に

「・・・ねえ、僕の稼ぎは

そんなに悪いですか・・・?」


だからそういう話じゃないんです!


それでもなんとか最近は夫も

『台布巾は使ったら

洗って絞って広げて干す』

という行為の大事さを理解してくれた模様です。


・・・3年・・・かかったか・・・


次のステップは

『コーヒー・紅茶を淹れたときに

周囲に飛び散った水滴は即座に拭く』です。


いやね、なんかね・・・

濡らしっぱなしなんですよ!


でも主婦という立場からしたらですね、夫が

自発的にコーヒーを淹れてくれるってだけで

感謝感激雨あられじゃないですか、

それに別に水気が残っていたからって

英国で『ゴ』の悲劇は起こらないわけだし。


わかっているんです、

頭ではわかっているんですけれども・・・!


私は夫に多くを望みすぎなんでしょうか。



どうも夫は長い寮生活を経て

『台布巾はすぐに臭くなるもの』と

頭に刷り込まれてしまったようなんですね


布の台布巾ではなく特殊繊維台布巾を

わが家のスタンダードにしたい!と

主張したのは新婚当時の夫なんですが

どうもそうした洗脳が影響していた様子です

の1クリックを

人気ブログランキングへ


バナーはこちら


スコットランドひきこもり日記-お願いします