わが夫(英国人)は
生粋の自転車野郎です。
もしも独裁者になったら
国中の道路を自転車専用路にしたいらしい。
「自動車は基本として禁止します。
どうせわが国の自動車産業なんて
すでに仮死状態なんですから
そうしたところで経済にも
それほど影響はありませんよ」
「・・・そうですか」
「もちろん高齢者と体に障害のある人は
自動車に乗っていいことにします!
そうだ、自動車専用道路は地下に潜らせましょう、
景観上も環境上も悪い話じゃないと思います!」
夫の妄想はまた別の機会にでも。
というわけで3年前
英国に嫁いできた私に
夫が一番最初に
プレゼントしてくれようとしたのが
自転車でした。
「いや・・・別にいいよ。
私はそんなに自転車が好きじゃないし、
買い物に行くのにも歩くから」
「君は自転車の便利さを知らないから
そんなことを言うんですよ!
じゃあ新車購入は先のこととして
僕のスペアの自転車を貸してあげますから!」
この夫のスペアの自転車というのがですね
(そもそも自転車って
スペアが必要な乗り物なんですか?)、
いわゆるツーリング用の25年物で・・・
サドルは石のように硬いわ
走行するとなると超前傾姿勢を余儀なくされるわ
しかもギアがかなり低い位置についていて
いざギアを変更する際には
私は頭を膝より下に
潜らせなくてはいけないような代物で・・・
「おい!こんな代物に乗っていたら
私は取り返しが付かないほどに
自転車を嫌うようになるぞ!」
「そうですよね、その自転車、
塗装も剥げて見目麗しさが足りないですよね」
「私が怒っているポイントはそこじゃない!」
で、結局新しい自転車を
購入することにしたんですよ。
「私はあれがいいや、いわゆるママチャリ、
前傾しないで運転が出来るやつ」
「・・・レディースバイクのことですか?
へえー・・・君はフェミニストなのに
あんな自転車に乗りたいんだ・・・
あれは格好悪いですよ、前時代的ですよ、
女性の権利を害するデザインですよ、
21世紀の女性は
ユニセックスな自転車に乗るべきです!」
数日後、わが家に届いたのは
一台のマウンテンバイクでした・・・
こういう愛情と趣味の
押し付けってどうなんでしょうか。
腰痛持ちの私としては
前傾気味の自転車は
本当にアレだったんですけど、
習うより慣れろということでしょうか、
最近・・・私、割と軽快に
ペダルを漕いでいる自分に
気がつくときがありましてね・・・
長いこと忘れていたんですが、
自転車って乗っている間中ずっと
耳元で風切り音がするんですよ!
あれは爽快です!
そして悔しいことに夫いわく、
近頃の私の自転車姿は
『自転車が好きな人』に見えるらしいです。
そういえばこの間ジムに行く途中、
すれ違いざまに見知らぬ自転車乗りに
ウインクつきの敬礼をされたわ
(もちろん敬礼の手つきは
人差し指と中指をそろえたピースサイン、
自転車野郎の
こういうセンスが私は嫌いなんだと)。
あれは・・・あれはもしかして
「よう、お仲間!」
ってことだったのかしらっ?
私はこのまま
こっちの人間になってしまうのでしょうか、
それだけは避けたい今日この頃です。
まあしかし5月のスコットランドは
それこそ自転車日和なんですよ
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でね・・・この週末、うっかり夫の
自転車旅行に参加しちゃいましてね・・・
現在太腿の倦怠感と格闘中です
坂あり丘ありの33キロコース
正気の沙汰とは思えませんでした