加齢のせいなのか

海外暮らしのせいなのか

時々咄嗟の日本語

おかしな具合になることがあります。


で、そんなときに

「なんか日本語がうまく出てこなくて、

ごめん、ほら、普段使っていないから」

みたいな言い訳を洒落半分にしたら

「そういう言い草は本当にみっともない

たまにそういうことを言って

いい気になっている連中がいるが

まさか実の娘がそんな

恥ずかしい人間になるとは」

とか両親に真面目な顔で

お説教をされまして。


ああ・・・そういえば

いますよね、そういう人達・・・


たいして外国語も話せないのに

海外に住んでいるだけで

自分は優秀だ、みたいな錯覚を起こし

何故か劣化した自分の母国語

自慢する方向に走ったりする・・・


え、私ったらそんなですか。

キャー!嫌だわ嫌だわ!


持つべきものは口の悪い身内です。


というわけで、以来

そのような戯言は

冗談でも口にしないことに

決めました。が。


実家でごろごろしていたら

母親に豆腐を

買ってきてくれと頼まれまして。


いいですよと

小銭をポケットに入れて家を出たところ、

近所のお寺の前の花壇に

ひとりのご高齢者が座り込んでいました。


まあ気にせずそこを通り過ぎ

お豆腐屋で木綿豆腐を購入し

ふらふら家に帰ったのですが、

ふと見るとその人が

先ほどと同じ場所に同じ姿勢で

座っていらっしゃる。


杖をついて俯いたその姿勢。


調子が・・・悪い・・・の・・・かな・・・?


・・・週末の午後、

周囲にそれほど人通りはなく、

しかしその人も別に

痙攣したり肩で息をしたり

しているわけではない。


皆様ならどうしますか。


私もね、まず問題は

ないだろうとは思ったんですけどね、

でも万が一ってあるじゃないですか。

あとから何かあったら

気分が悪いじゃないですか。


というわけで私は

そのご高齢者に

声をかけることにしました。

「おじいちゃん、大丈夫?」

みたいな感じで。


しかしですね、あちら様だって

見ず知らずの通りがかりの中年女

「おじいちゃん」とか突然呼ばれたら

嫌な気がするかもしれないじゃないですか。


「そこの方」ってのは他人行儀すぎるし

「お客様」ってのは明らかに間違っているし

「おじさん」は美しい響きじゃないよね、

色々逡巡しているうちに

その人との距離はぐんぐん詰まっていきます。

ああ、早足な自分がうらめしい。


もう少しでその人の横を

通り過ぎてしまうぜ、というその瞬間、

このタイミングを逃したらもう声はかけられない。

私は腹を決めて声を出しました。


「ねえ、おじさま、お加減いかが?」


・・・お前は大正時代の

少女小説の登場人物か、馬鹿っ!


驚いたように私を見上げるご高齢者。


ねえ・・・ごめんね・・・

「おじいちゃん、大丈夫?」に

しておいたほうがマシだったよね・・・


私の絶望感が

向こうにも伝わったのでしょう、

ご高齢者は私を励ますかのような

笑顔を浮かべると

「うん、お加減はいいよ、ありがとう!

ちょっと座っているだけ、大丈夫!」


・・・ありがとう、おじさま・・・!


というわけで

常識派の皆様にお伺いしたいんですけど

明らかに60代以上の世の殿方のことは

どう呼ぶのが最近の常識なんでしょう?

『おじさま』は不正解、ということだけは

わかっているのですが・・・

ほら、この頃の私ったら日本語が不得手で!


・・・口にしてはいけない冗談でした、

すみませんでした。



ちなみに60代以上の女性のことは

基本『おばさま』と呼んでおります

『おばさん』は響きが嫌なんですよね

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定食屋さんとかラーメン屋さんとかでも

『おばさま』で通しているんだぜ

一瞬驚かれるけど

嫌がられたことは(たぶん)ないんだぜ



・・・私って他人行儀なんでしょうか