去年の秋に

夫(英国人)がわが家に引き取った

養子たち、こと、どんぐり達の近況。


あの後(前述

使っていない植木鉢に土をいれ、

その上にどんぐりを並べて

にこにこご満悦だった夫ですが

(やはり彼はトトロの末裔なのかもしれない)、

皆様ご存知のようにわが夫婦は

この年末年始

長期にわたって家を留守にしまして。


約1ヵ月間

ヨークシャーと東京で遊びまわった

我々が家に戻って植木鉢を覗きますと・・・


また、村がひとつ死んだ・・・


植木鉢の土の表面が

カビで真っ白です、ユパ様!


「これは・・・これはどんぐり達に

お別れを言うしかない状況じゃないか?」

と遠まわしに植木鉢の破棄を示唆した私に

夫は王蟲の助命を嘆願する姫様のように

「待って!待ってください!

これは冬だからこうなっているだけです!」


「冬だからって意味がわからないんですけど!

いいか、この白いのは雪じゃない、カビだ!」

「わかっています、わかっていますけど、

お願いだから春まで待ってください、

執行猶予です、春になったら

芽が出るかもしれないじゃないですか!」


うわー、こいつ絶対

風の谷に生まれていたら

腐海の植物を

お城の地下室で栽培しちゃうタイプだぜ、

とか思いつつ、まあ私も鬼ではないので

春までは別離の期限を延ばすことに同意しました。


というわけで3月。

スコットランドにも春が来たんですよ。


日に日に長くなる日照時間。

青さを取り戻す木の葉たち。


「・・・しかし不毛の大地からは

何も生まれ出でては来ないのであった・・・

さあ、もう諦めよう、

次のゴミの日にザ・グッバイだな

「あと少し、あと少しだけ待ってくださいな」

「あのね、意地悪で言っているんじゃないの。

カビは我々の肺にも悪影響を及ぼすのよ?」

「・・・でもフレミングは

カビからペニシリンを発見したじゃないですか!」

「お前はいつから細菌学者になったんだ!」


こうなったら夫が仕事に出かけている間に

こっそり鉢ごとゴミに出しちゃおうかしら、

と冷たく画策していたある日。


「・・・妻・・・!

こっちに来て見てください、

僕の子供たちが発芽しました!」

「な、なんだって!」


それまでカビの層の下で

雪山登山中に遭難死した遺体のように

全身を白く染めて

静かに横たわっていたどんぐり達から

なんと緑色の芽が出ているではありませんか!



スコットランドひきこもり日記-ナウシカのエンディング的な


「すごいな、

もう手の施しようはないものだとばかり!」

「子供たちの前途を祝して

今日は乾杯しましょう!」


緑の芽はその後

驚くばかりの勢いで背を伸ばしております。


・・・で・・・

夫はこの子達を今後どうするつもりなのか・・・

ヨークシャーの実家に植林するという

計画そのものは素敵だが、

どうやって苗木をあそこまで運ぶんだい・・・?



とりあえず私も継母として

毎朝水だけは与えているんです

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あ、ユパ様とか風の谷とか、

それはあれです、皆の好きなジブリアニメ

『風の谷のナウシカ』です


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現代日本人の常識の範疇でしょ?

もはやこれは