前回前々回 の続きです。

「はーい避難してくださいねー」

消防士さんはフレンドリーな笑顔で言いました。

「えっ?

自主避難の勧めじゃなくて避難命令?

そんなに水かさが増えたようには見えないのですが」

「うん、でも1階部分に

浸水が始まってしまったのでね。

電気とガスが故障してからでは危険だから。

あっ。なんのかんの言って

ちゃんと避難用手荷物を

準備しているじゃないですか、感心感心!

じゃあ下にボートが待ってますからね!」

・・・ボート?

そう、洪水災害映像でよくテレビに映る

あの銀色の救急救命ボートが

建物の外に準備されていました・・・。

なおそのボートに乗るためには

浸水した1階部分を歩いて渡らなくてはなりません。

靴と靴下を脱いで水に入る私。

遠い異国の地で何をやっているんだろうと

思わず苦笑したら消防士さんと目が合いました。

「・・・なかなか

衝撃的な経験をさせてもらっています」

「うん、スコットランドへようこそ

そのまま待機所に向かい

午前中いっぱいはそこで過ごすことに。

待機所は街の中心にあるお城のそばのホール。

ボランティアのスタッフが

お茶やサンドイッチなどを準備してくれていました。

子供におもちゃは用意されているし、

警察官やレスキューセンターの職員が

まめに各人のそばに来て話をしてくれるしで、

なんだかすごい手際のよさ。

その日のうちに家に帰れるかどうかわからない、

という状態がほぼ一日中続いたのですが

何故か妙にリラックスしてしまった私

夜8時の段階で

まだ水は完全に引いてはいないものの

ガスと電気に問題はないので

希望者は自宅に帰ってもかまわない、との

状況になったので、帰宅。

結局約12時間の被災者生活でした。

ちなみにこの日の朝

BBCラジオニュースで

「今年は過去300年間で

最も英国の平均気温の高い年だった」

というニュースをやっていたそうです。

温暖化→異常気象→洪水頻発化という構図なのでしょうか。

環境保護のために何が出来るか

もう少し考えなくてはなあ、と

少し真面目になってしまった私でした。