どうも、すこっちです。(^o^)
さてさて、昨日に引き続きアタシが正月に達成できたことの2つ目です。
映画「PERFECT DAYS」を観てきました。
この映画、ご存じの方はどれぐらいいるでしょうか?主演の役所広司さんがカンヌ国際映画祭 で男優賞を頂いたという、注目の映画なのですよ。
我が家では映画好きの次男が封切りの日に観てきて、絶賛していたので、こりゃあ観ておかないとなぁと思っていまして、正月休みに鑑賞に漕ぎ着けました。
でね、作品紹介などにもあるんですが、この映画が始まると、主演の役所広司さんがね、朝起きて歯を磨いて、身支度をして、自販機で缶コーヒーを買って、お気に入りのカセットテープを聞きながら車通勤をして、都内の決められた公衆トイレを掃除して回る。その間、セリフは一切なく、別な登場人物との絡みもほとんどなくて一人芝居に等しい。自宅に帰って、銭湯に行き、一杯飲み屋に立ち寄り、自宅で文庫本を読みふけりながら就寝。
こういうルーティンが3日間ぐらいループするかのように延々と演じられる。
最初から観ていると、「はて、この映画このあとにどういう盛り上がりがあるんだろうか?」と
途中不安になってしまったのは、アタシだけではないはずです。
でね、途中別な登場人物が出てきたり、肉親との絡みがあったりはするんだけど、基本は淡々と1日の決められたルーチンワークをこなしていくっていう流れで映画は終わるんです。
この映画を見終わったとき、「えっ、これで終わりなの?」とか「何を伝えたかったの?」という「???」をカミさんと回想しながら帰ってきたんですけど、なんか消化不良感だけが残った感じだったんです。
ところがですね~、この映画って実はあとからじわじわ来る映画なんですよ。
この映画を観てしばらく立ってからね、カミさんと話をしているときに、「そういえば、あの映画のようにさ、仕事はなんであれ、淡々と決まったルーチンワークをこなしてね、そこそこのお給料でもって、一杯飲み屋でお酒が飲める平凡な1日が繰り返されるんだとしたら、別にお金持ちじゃなくても、身の丈に合った幸せって言えるのかもね」みたいな会話で意気投合していたりする。
その後先に鑑賞した次男も交えて3人でパーフェクトデイズの話をするとですね、「あのシーンはいらなかったんじゃないのかな?」とアタシが言えば、次男が「いや、あれはこれこれこういう意味があって、観ている人にこういうことを伝えたかったんじゃないの」的な回想話で盛り上がっていたりする。
正直、映画としてはこれといった大した盛り上がりもなく、ハラハラ・ドキドキも感動で涙腺が崩壊するシーンもないままモヤッとした感じで終わる映画である。だが、不器用で無口な1人の男の日常を役所広司さんが淡々と演じ、醸し出す深みのある味わいが、まるでスコッチを口に含んで、喉を通り過ぎるときにかすかに感じるスモーキーフレーバのようななんとも言えない大人の味わいなのである。
人生100年時代だとか、年金支給が70歳延長だろうとか、老後資金として2,000万円が必要だとか、人生の不安要素だけが先走る世の中ですけど、お金さえあれば本当に幸せなんだろうか?雨露が凌げて、食うに困らない生活が出来れば、それで良しとするならば、楽しみや幸せを見つける方法ってほかにもっといっぱいあるんじゃないだろうか?図書館で読書三昧だって素敵な余暇の過ごし方だし、釣りだっていいだろう。川柳や俳句に短歌なんてお金はかからないし、頭も使うし、いい作品が出来たときは超うれしいだろう。
世の中に豊富に出回っているモノ中心のメディア漬けだけが、必ずしも人の心を満たす分けではないのです。
そんなことを考えさせてくれる、深い映画だったとアタシは思っています。
興味がある方はぜひともご覧頂きたい。ただし、くれぐれも退屈すぎるからといって途中で、席を立つことのないようにね、この映画あとからじわじわ来ますので。