すこっち1人読書会 玉置美智子「シャツとダンス」 | 仙台城 謎の覆面ガイド「すこっち」のブログ

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どうも、すこっちです。(^_^)

 

年末も押し迫った「大晦日イヴ」のその日に、すこっち1人読書会が紹介する本は玉置美智子さんが書かれた「シャツとダンス」という作品です。

 

紹介をする前に、この本を読み終えた感想から率直に述べさせて頂きます。

 

ハッキリ言って、間違いなく2020年のすこっち1人読書会の大賞作品に決定です!(^o^)

 

これまで成功物語と言われる本はおそらく星の数ほどあるでしょう。成功に至る創業者の苦悩、それを支える奥様の内助の功的な話は枚挙に暇がない。だけど、この本に出てくる創業者の貞末良雄さんとタミ子さんは2人共々経営者であらせられる。まあ主軸は良雄さんだが、タミ子さんもなかなかどうして、下駄を預けられたあとの奮闘ぶりは天性のものを感じさせるんです。そんな2人の仲睦まじくも、ハラハラドキドキのジェットコースターストーリー。それが、「シャツとダンス」なのです。

 

 

それでは、いつものように行ってみるとしますかね。すこっちの内容お裾分けタイム!

 

①「急転直下の成功からの挫折、ゼロからの出発、そして伝説へ」

 

この本の主役は鎌倉にある「メーカーズシャツ鎌倉」の創業者である貞末良雄さんなんですが、この方の人生がまあージェットコースターなんです。1966年にVANジャケットに入社。アタシはよく分からなかったけど、VANと言えば当時時代の寵児の衣料品メーカー。そこで部長まで務めた人だったのに、天下のVANも1978年には倒産。ヤオハンや他の企業を渡り歩き、自分の理想を求めて「メーカーズシャツ鎌倉」を創業。口コミから真心込めたメイドインジャパンのシャツが売れ、2012年になんとニューヨークに出店。2020年には虎ノ門ヒルズに出店するまでに成長した。いや、凄いとしか言い様がない。本書の冒頭に出てくる良雄さんとニューヨークーのビルのオーナーとのやり取りがまた秀逸でね。

 

ビルのオーナー曰く、

 

「シャツのお店なんだろう?悪いが、日本のシャツ屋はニューヨークでは難しい」

 

「じゃあ、アメリカ人が銀座で寿司屋をやったら、君、行くかい?日本人がマディソン・アベニューでシャツ屋をやるのは、それと同じくらい奇妙な話なんだ。」

 

と言われたんだそうです。なるほど、このオーナーを比喩表現がお上手ですこと。でも、それでも諦めなかったんですよ、良雄さんは。

 

②「えーそんな結婚ってあるの?ドラマでしょ、それって」

 

VANの大阪の一倉庫番だった良雄さんと東京本店のOLだったタミ子さん。社内結婚かと思いきや、良雄さんは社内では一度しか会ったことが無かった。でも、その一回で「結婚するならこの人」と心に決めたんだそうな。そして、送別会の日に出席者に手紙を託して、その場で披露。今の世であれば、即刻ストーカーのレッテルを貼られて気持ち悪がられるところなんでしょうが、実際はそうでは無かった。彼女が退社後、良雄さんは思いきって初デートに誘う。タミ子さんもどこかに手紙のことが引っ掛かっていた。かくして2人はめでたく結婚。高嶺の花と言われる人ほど、一発勝負のアクションが印象に残っていたのか?それとも、一途な良雄さんの気持ちがハートを撃ち抜いたんですかね。

 

③「商社が資本参加って大船に乗ったってことなんじゃあ、ないの?」

 

この本を読んでアタシも初めて分かったことなんですが、あれほど隆盛を極めていたVANがあっという間に倒産。なんで?と思うでしょう。実は途中から商社がVANの経営に加わり始める。そうすると商社は売り上げ至上主義。売り上げは凄いけど、売れない商品は倉庫に返品の山。「行け行けどんどん」の空気が会社を支配してしまって、もうブレーキの壊れたダンプカー(あ、これスタン・ハンセンか)と同じになってしまう。創業者の理想はどこかへ吹っ飛び、自分の会社で無くなってしまったとき、会社はご臨終を迎える。「商社がバックにいりゃあ、左うちわじゃん」ってそれが命取りになることもあるんだね。

 

④「時にはあっと言わせ、時にはホロッと涙させ、時にはジーンとくるこの夫婦の物語」

 

不思議なんだよね~この本を読み進めていくと、とにかく先が読みたくなる。展開が気になる。本によっては、読み続けるのが億劫になる本もあるんだけど、この本は典型的な「麻薬本」なのかもしれない。

そして、あっと言わせる内容があったかと思えば、2人のやりとりでホロッと涙させられるシーンもあり、時にはジーンとくる場面もある。凄いなあと思うのは、常に夫婦二人が途切れること無くストーリーの中心となっているところ。世の夫婦の皆様的には夫婦の鑑みたいな感じがします。(>_<)

 

まとめ

 

とにかく302ページの本があっという間に読み終えてしまう。そして、読み終えたあと間違いなく心になにかを刻まれたような気持ちが残る。そんな本なんです。興味を持たれた方は、年末年始の休みに、是非ともご一読頂ければ嬉しいです。

 

アタシも感じたんだけど、この本を読んだら絶対に「鎌倉シャツ」を買いに行って、そのシャツに袖を通してみたいなあと思っちゃいますもん。

 

MADE IN JAPANも捨てたもんじゃないよ。(^^ゞ