どうも、すこっちです。(^_^)
「人間五十年、化天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり
一度生を享け、滅せぬもののあるべきか」
これって、有名な「敦盛」ですよね。織田信長が桶狭間の戦いを前に、突然この「敦盛」を自ら唄って、踊った(舞ったか)と史実では書かれている。ドラマなんかでもこのシーンはよく見掛けます。
豊臣秀吉や徳川家康、その他名だたる戦国武将もこうした「舞い」はやっていたんでしょう。我らが伊達政宗様も「能」にハマって年間1億円ぐらい平気で使っていたんだそうな。しかし、この織田信長=「敦盛」ほど、一般ピープルに印象づけられた「舞い」が無いのも事実である。
しかしながら、どうやらこの「敦盛」の歌詞の意味を誤解していらっしゃる方が非常に多い。
今日は、すこっちが「敦盛」について斬ってみたいと思います。
まずは、見たことの無い人のために、ユーチューブから引っ張ってきました。(^o^)
みなさんがなんとなーくイメージしているのはたぶん、こんな感じでしょう。
実は、これって「能」バージョンの「敦盛」なのである。
「いやいや、能バージョンも何も能でしょう、そもそも敦盛って?」
誰もがそう思い込んでいる。が、実は信長が好んで舞っていたのは、「能」よりも軽い(ポップな)感じの「幸若舞」(幸若丸が始めたのでこう呼ばれている)と呼ばれているものなのです。
さっきの映像と比べてみてください。こちらが、「幸若舞バージョンの敦盛」
どうでしょう?なんか、能バージョンよりも明るくて、ノリがいい感じがしませんか?
そう、もともとはこんな感じだったんだけど、決戦前夜の緊迫した雰囲気には暗くて、重々しさが感じられる能バージョンの方が大河ドラマの演出的には合っていると判断されたんでしょうかね。
はい、これで1つ認識が改められましたね。(^o^)
では、次に行きます。
みなさんが当たり前に読んでいる「人間五十年」これって、「にんげんごじゅうねん」とは読まない!
正しくは「じんかんごじゅうねん」と読むんですってよ。「じんかん」ってなに?「にんげん」じゃん!
そうだよね、日本人なら100人が100人「にんげん」って読むよね。
じゃあ、なぜ「にんげん」では無く「じんかん」なのか?
それは、この「敦盛」の意味を後世の方が勘違いしているからに他ならない。
たぶん、みなさんが認識している意味ってこんな感じだと思うんです。
「人間の寿命はせいぜい五十年ぐらい、あっという間だよね。
この世に生を受けて、死なないやつなんていないのだから、死力を尽くして精一杯生きようぜ!」
まあ、これでも十分説得力のある解釈なんだけど、実際の意味はこうである。
「人間界の五十年は化天(神様が住む天上界のなかでも、最も下の階層に位置する世界のこと)では、1日に相当する。つまり、人間の一生なんて神様の世界ではあっという間のことなんだよ。
この世に生を受けて、死なないやつなんていないのだから、死力を尽くして精一杯生きようぜ!」
人の一生、生まれてから死ぬまでの時間。だから、「じんかん」なのかな?
「にんげん」と「じんかん」の違い、理解して頂けたでしょうか?寿命じゃなかったんだね、五十年って。信長が享年49歳で亡くなったのと、武田信玄や上杉謙信も同じくらいで亡くなっているので、寿命と関連付けられて後生に伝えられたと見るべきなんですかね。
はい、これで2つめの新発見!
最後の3つ目。
この「敦盛」って、「人間五十年~」の部分だけ切り取られているけれど、実はこの前と後がある。
思えばこの世は常の住み家にあらず
草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし
金谷に花を詠じ、栄花は先立つて無常の風に誘はるる
南楼の月を弄ぶ輩も 月に先立つて有無の雲にかくれり
人間五十年、下天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり
一度生を享け、滅せぬもののあるべきか
これを菩薩の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ
あー分かりづら。(-_-;)
現代語に訳すとこうなります。
思えば、この世は無常であり、永遠に住み続ける事の出来る世界ではない。
草の葉に付いた水滴や、水面に映る月よりも なお儚(はかな)いものなのだ
晋という国で栄華を極めた華麗なる別荘金谷園も風に散り、
四川南楼の月に興じる者たちも、移り変わる雲に覆われるようにして、姿を消してしまった。
人間界の五十年などは、化天での時の流れに比べたら、まさに一睡の夢や幻のようだ。
一度この世に生を受けて、滅びないものなどあるはずがない。
これを悟りの至る究極点であると考えるならば、それほど愚かで情けないことはないだろう。
まあ、つらつらと並び立てましたが、早い話が「精一杯生きようぜ!」ってことなんですよ。
この「敦盛」。一ノ谷の合戦の熊谷直実と平敦盛との逸話から来てる分けなんですが、この辺も掘り下げてみると、意外と面白かったりする。
どうでしたか、みなさんの「敦盛」の認識が少しは改められたかな?
ちなみに、アタシは密かに「能」を習いたいと思っている。
そして、いつの日かこの「敦盛」を舞ってみたい。そういう方面、なかなか行かないよね~。
そんなすこっちも、今年で「人間五十年~」だったりするのです。とうとう、信長を超えたか、、、。(-_-;)