倉山塾掲示板での議論のお題~高収入会社員増税 #くたばれ財務省 #頑張れ大蔵省 | ScorpionsUFOMSGのブログ

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倉山塾掲示板での議論のお題~高収入会社員増税 

https://office-kurayama.co.jp/20171114095701

#倉山満の砦

 

なかなか興味深いお題です。

財務省ウォッチャーとしては、答えずにはいられませんねw
 

まずは、財務省の意図を探るために、下記の論文に目を通してみました。
〈財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」平成 28 年第 2 号(通巻第 127 号)2016 年 10 月〉
日本の所得税改革 ―経済,財政と社会保障の現状を踏まえた提言―
http://bit.ly/2AEYTwo
 
要約すれば以下の内容が書かれていると言えます。
■要旨
(問題提起)
・バブル崩壊以降、デフレ下において企業は利益確保のために賃金カットを行い,それが国内需要の低迷を招きデフレを助長し,デフレからの脱却が困難となった。
 
・その過程で,労働市場でも正規労働を代替する非正規労働が増大した。一方,政府は財政拡大を通じて日本経済を支えたが,財政赤字の中身は高齢化を一因として,次第に景気浮揚のための公共投資などから社会保障費関係費へと変わっていった。
 
・国と地方合わせて 40 兆円に及ぶ社会保障関係費は、歯止めなく国と地方の財政負担を増大させようとする制度的欠陥にも起因する
 
・現役世代と高齢世代とでは両者の税・社会保障保険料からなる負担と現金,現物からなる給付には大きな相違がある。現役世代ではマイナス(純負担),高齢世代ではプラス(純受取)であり,世代間で支え合っている構図になる。
  
・社会保険料率の増加が、現役,とくに若年世代において,税負担をはるかに上回る社会保険料負担を発生させている。

広義の所得税負担として税と社会保険料負担を一体として考え,所得控除の仕組みを通じては軽減できない社会保険料負担を税額控除の仕組みを導入することで軽減を実現するべき。
 
・税額控除の財源を確保するために,すでに 55%となっている最高税率をさらに高めることではなく,所得税の控除を見直し,課税ベースを拡大することで,高所得者に現在より多くの負担を求める必要性がある。
 
■「日本の所得税改革」に対する私的見解
論文では、冒頭で「デフレは日本経済の低体温症であり、そこからの脱却は日本にとってもっとも重要な課題」と論じていることから、本論における主張は少なくとも“ベリヤ野”こと、矢野官房長派のものではないと考えられ、むしろ全体的なトーン(アベノミクスに肯定的である点)や宮沢氏が岸田派に属していることも踏まえると、可部統括審議官らの考えに近いような印象を持ちます。
 
■メリット・デメリットについて
国民にとってのメリット・デメリットと定義してみました。
 
・メリット
この再分配見直しをきっかけにして、論文で論じられている“広義の所得税負担”の軽減(所得税+社会保険料負担)に斬り込めるならば、国民にとっても声高に反論する理由は見当たりません。
  
・デメリット
本来の目的に反して、高所得者への増税だけに終わってしまった場合、単なる増税に成り下がる。
 
また、一旦金額基準が設けられた場合、その基準が機動的に見直されるとは考えづらいため、インフレターゲット2%を将来にわたって継続した場合、本来“高所得者”を対象としていたはずが、中所得者をもその対象に含むようになり、結果として将来時点におけるアベノミクスの推進および経済成長にマイナスに働く恐れが残る。
 
・また税率をいじらないということは諸外国間との比較を無意味化する恐れがある。(実質増税にもかかわらず、税率による国際間比較ではむしろ低いままであるというような論文を書きやすい)
 
結果として防衛費1%のように、当初は「良かれ」と思って設定した枠組みが、経済状況その他社会情勢に左右され、むしろ「呪縛」ともなり得るというのがデメリットとして挙げられるのではないでしょうか。
 
(総括) 
穴の開いたバケツ(社会保障の増加)にいくら水(税金)を注ぎこんでも無駄なのは明白。

水を注ぎこむ前にまずは穴をふさぐべきであり、その一環であるならば、本議論は大いに歓迎したいと思います。

むしろ「中途半端に終わらすな!!」と叱咤激励したいですね。

 

頑張れ大蔵省!!