文藝春秋2017年2月号
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/2108
◎北方領土交渉の内なる敵は外務省にいた
安倍・プーチン「密室の攻防劇」 山口敬之
山口さんの評価としては総じて日露首脳会談に「ポジティブな評価」を与えているように見受けられます。
声明文には安倍総理の強い意向を反映した文言も織り込まれており、さらには「元島民の手紙の読み上げ」などは、プーチンに対するプロファイリングにもとづいて、官邸主導で行われたものだとの指摘は注目に値するように思います。
ただ、一方で”プーチンによるちゃぶ台返しはないのか”、”官邸のプロファイリングが果たして正しかったのかどうか”という点については、よくよく検証が必要ではないかと思えてなりません。
なによりもクレムリンウォッチャーの間では次のような評価が定説であるようですから。
プーチンは、たとえば世問で一般的に通用している社会正義の概念やヒューマニズムの感情などを拒否することをいささかも躊躇しない。(木村汎。北海道大学名誉教授)
木村著「プーチン 内政的考察」より
またつぎのような評もあるようです。
「プーチンが決定を下すのは、ずっとあとの時間になって、人々がすっかりそのことを忘れている時のことが多い」(スベトラーナ・ハバエワ。ロシア政治ジャーナリスト)
(同上)
いずれにせよ、これからの”日露2プラス2”など諸々の日露協議の今後の進展に注目する必要があるのかもしれません。