怪文書が好きなネトウヨ(アーソン・グレブスト編・その4) | 誰かの妄想

怪文書が好きなネトウヨ(アーソン・グレブスト編・その4)

嫌韓ネトウヨの「悲劇の朝鮮」からの恣意的引用・第4回目です。


第1回:http://ameblo.jp/scopedog/entry-10114681424.html
第2回:http://ameblo.jp/scopedog/entry-10114684316.html
第3回:http://ameblo.jp/scopedog/entry-10115001444.html


必ずしも嫌韓の主張というわけでもないですが、日露戦争当時の日本軍の規律を褒め称えるための引用箇所です。
暗に、日本による韓国支配は善政だったとも言いたいようですが・・・


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http://resistance333.web.fc2.com/html/japanese_army_and_misunderstanding.htm
朝鮮に駐留する日本軍の姿を目撃したスウェーデン人ジャーナリスト
アーソン・グレブスト著書 
「悲劇の朝鮮」高演義・河在龍訳 白帝社 1989年

ソウルだけでも、現在数千の日本軍兵士が城内と郭外に駐屯していますが、彼らへの抗議があったためしがありません。彼らの規律は他の範となるべきものです。
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この部分も確かに記載されています。グレブストと韓国駐在のドイツ領事との会話です。実際、当時の日本軍の規律は良かったようですが、この一文の前後ももう少し引用してみましょう。



(ドイツ領事)「(前略)戦争が始ってからというもの、領事館の間の往来もなくなりました。そのうえ、どの領事館も自国の人びとが受ける不当な仕打ちをなんとかしようと忙しくて、それ以外のことにかまけている時間がないのです」


(グレブスト)「でも、日本の軍隊は規律正しく、思慮深いと聞いていたんですが」

(ドイツ領事)「そのとおりですが、軍隊についてくる烏合の衆が問題なんです。ソウルだけでも現在数千の日本軍兵士が城内と外郭に駐屯していますが、彼らへの抗議はあったためしがありません。彼らの規律は他の範となるべきものです。しかし日本の商店街区域に住む日本人の振るまいときたら、軍人らとはまるっきり違います

(グレブスト)「日本の当局はこの不満にどう対処していますか」

(ドイツ領事)「もし、現在の日本軍司令長官長谷川男爵に抗議が伝えられると、即時徹底的な調査が行われます。しかし日本の警察は自分の国の人間の非行には、いつも目を瞑ってしまいます。私たちも何度かそんな目にあいました。でも沈黙を守るのが最も賢明なやり方でしょう。人間、公職にあるときには口出しはしない方がいいではありませんか」


「悲劇の朝鮮」P111



つまり、韓国で一山あてようとやってきた民間の日本人達の乱暴狼藉が酷かったわけですね。
そして、日本当局もそれを厳しく取締るつもりはなかったと。


日本による韓国侵略が、こういった民間人による草の根侵略によるところが大きいというのは、高崎宗司氏が「植民地朝鮮の日本人」の中で指摘していることである。例えば以下。


「東京帝国大学教授の山田三郎も、次のように述べている。「千三百万人の[朝鮮]民衆を同化することは独り政府の力だけでは出来ない。即ち我が三十万の[在朝]内地人の双肩に懸って居る責任[である]」」(「植民地朝鮮の日本人」、高崎宗司、2002/6/20、岩波新書、はじめに,Pii)


さらに、グレブストも、上記とは別の箇所で、朝鮮にやってくる日本の民間人についてこう言及している。


 日本人が憎悪の的になった理由としては土地の占領だけでなく、日本当局の移民政策の誤りもあった。この政策は戦争が終ってから実施してこそ、反発を最小限にくいとめられる性質のものだった。そのときなら当局にも日本移民を監督できる余裕ができ、規制を加えることも可能になるだろう。
 周知の事実として、移民はおもに社会の下層階級の冒険家と一攫千金を夢みる者から成っていて、彼らは皆恐いもの知らずだ。日本軍は厳しい規律と、前もって計画された注意深さで朝鮮人の反発をかわしたが、軍隊の後からやって来た多数の開拓民の場合は、それとは正反対だった。彼らは他に例が見られぬほどの好戦性をもって傍若無人に振るまい、朝鮮の人民はわずかの救済の可能性すらなく日本人の思いのままに扱われた。日本の軍当局には平民たちの不満をなだめるより前にやるべきことがあり、そして朝鮮の法廷にはなんの権力もなかった。強大国間の戦争にまきこまれ、その舞台と化してしまった弱小国の人民が苦しみを被るのはよくあることだとはいえ、日本移民の犯した過ちにたいする日本当局の弛んだ姿勢は非難を受けても余りがある。
 朝鮮王妃の弑逆(一八九五年の閔妃殺害)をその罪目の初めとして、朝鮮にたいし責任を取るべき蛮行はそのほとんどが天罰を受けてしかるべきものである。朝鮮は弾劾絶壁に立たされた。商業が受けた打撃は決定的で、回復の可能性はないありさまだった。


「悲劇の朝鮮」P58-59


こういった草の根侵略を示す記述をことごとく無視して、「(日露戦時の)日本軍の規律はよかった」とだけ主張するのが、ネトウヨです。
都合の悪いことは見なかったことにする本能を備えているようです。


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