日本の北朝鮮制裁決議案提出を海外はどう見ている?
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で、北朝鮮制裁決議案は結局のところ、国内向けなんじゃないか、と書いたのだが(急いでたので主題のわかりにくい文章になってたけど)。
2006/7/10のNew York Timesでも同じような見解の記事があったので紹介。
で、英語が得意なわけではないが、一応日本語訳してみる。基本的に意訳なので、訳が怪しいと思った人は元記事を参照してください。
まあ、軍隊保有を認めるための改憲を望む保守派が、日本に強硬な姿勢を取らせているような感じ。前半pre-emptive attacks先制攻撃の文字が躍っている、うーん。
(以下、記事訳、色・強調はScopedogによる)
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日本、北朝鮮への圧力強める
By MARTIN FACKLER(訳:Scopedog)
(東京、7/10)本日、日本政府報道官は、日本国憲法は先制軍事攻撃を認めていると判断すべき、と語り、日本の北朝鮮に対する圧力を先週以上に高めた。
日本は、北朝鮮のミサイル実験に対して、同地域のほかの国に比べて強い反応を示している。日本の世論は、北朝鮮による日本人拉致と8年前の日本本土上空を通過したミサイル実験のころから既に沸き立っている。
今日、日本は今までで最も強硬なコメントを公式に示した。内閣官房長官安倍晋三は、日本は日本国憲法が北朝鮮のミサイル基地に対する先制攻撃を自衛の行動として認めているとみなす必要がある、と語った。
「もし、ミサイル攻撃を防ぐ手段が他にないと我々が判断したならば、ミサイル基地への攻撃は自衛権の範囲内であるとの議論はある。私自身は、日本国民と国土の防衛の観点から、これを検討する必要があると考えている。」と安倍官房長官は述べた。
安倍氏のコメントは、前日の防衛庁長官額賀のテレビ番組における「もし敵国が明確に日本攻撃の手段を持ち、その指を引き金にかけているなら」日本は先制攻撃を考慮すべきとの発言を受けてのものだ。
日本は、中国の拒否権の可能性や日本が強硬すぎるとの韓国の非難に関係なく、北朝鮮に対する国連による懲罰的制裁が発動されるよう圧力をかけ続けるつもりであることを公式に述べた。日本と隣国との間の相違は、アメリカの対北朝鮮外交責任者であるChristopher Hillの努力を困難なものにした。彼は、実験に対する各国の対応を統一調整するために本日、ソウルから東京に到着した。
制裁なしの交渉による解決を熱望する中国は、Wu Dawei外務次官を北朝鮮の首都、平壌に派遣した。彼の任務は、中国と北朝鮮が、アメリカ、韓国、日本、ロシアとともに北朝鮮の武器開発について話し合う6カ国協議を再開する方法探ることだ。北朝鮮は、9月にこの話し合いから離れている。
日本の指導者が軍事力の使用について発言するのは極めてまれで、これは1930年代・40年代における日本のアジア侵略と1941年の真珠湾に対する先制攻撃を思い出させる。
しかし、9月に辞める予定の小泉純一郎首相の最有力後継候補である安倍氏の発言は、日本が完全に成熟した軍隊を持つことを認めるための改憲を求めている保守派の発言でもある。
第二次大戦後にアメリカ占領軍が作成した日本国憲法は、紛争解決の手段として軍事力を用いることを禁じているが、何十年もの間、それは国が軍事力によって自衛することは認めていると政府によって解釈されてきた。
アナリストたちは、次のように述べている。日本は現在、北朝鮮を攻撃するための軍事力も政治力も不足している。しかし、最近の数年で、日本政府は、空中・海上発射巡航ミサイルなど日本がより攻撃的な兵器保有を拡大すべきかどうか公式に議論し始めている。
安倍氏の本日のコメントは、北朝鮮の共産主義政権に対する警告を意図したものだが、主たる目的は、安倍氏が国民に人気のある小泉の後継者としての強い指導者のイメージを確立すると言う、日本国内世論向けなのかもしれない。
また、こうも述べる。安倍氏のような保守派がミサイル実験に飛びついたのは、盛り上がった世論を利用して改憲に持っていきたいという願望があるからだ。土曜日に共同通信の行った世論調査によると、回答の80.7%は対北朝鮮制裁に賛成で、87%はミサイル発射に対して不安を感じている。
「世論は、日本はこの種の脅威に出来る必要があると感じている」と、地域安全保障に関する幾多の本の著者である軍事アナリストのTadasu Kumagaiは語る。
日本政府のキイキイ言う声は、アメリカの極東における古くからの二つの同盟国(日本と韓国)のミサイル発射に対する反応の違いを示している。韓国政府は、日曜日にRoh Moo Hyun大統領がミサイル発射に対する日本の「大騒ぎ」を批判したように、今回の実験を軽く見る傾向がある。
これに対し、安倍氏は月曜日に「韓国政府がそのような表現をするのは遺憾である」と記者会見で語るなどしてやり返した。
一方で、アメリカのHill氏は、本日東京で日本の外務大臣麻生太郎と会った。この会合で、Hill氏はミサイル問題に関して国連での日本の「leadership」を賞賛し、日本外務省の要請に対してアメリカは十分支援すると伝えた。Hill氏は、今回の極東訪問で、既に中国と韓国への訪問を終えている。
「我々は、北朝鮮の今回の挑発的行為に対し、意見を明確にし、我々全員が同じ意見を発することを望んでいる。そして、北朝鮮が行ったことの、何が容認できなかったのかを明確にしたい。」とHill氏は述べた。
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一部、よくわからんところはすっごい意訳をしてます。というわけで、原文を読んでね。
(原文はこっち↓)
Japan Steps Up Pressure on North Korea
(New York Times 2006/7/10)