厳しいコンディションの中で初顔合わせ(7月講座・天神島) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

7月18日(日)に開催しました

講座「首都圏生きものめぐり」の実施レポートです。

第4回の開催で、この日は7名の方にご参加いただきました。

行き先は、今年アオウミウシを撮影した天神島

これまでの講座とは違い、移動距離は短いですが

海の中に入るので結構足に負担がかかります。

 

近くに海がない所にお住まいの方もいたため

海水に漬かるということ自体が久々という方も多数。

そういう意味では、良い経験になられたかもしれません。

 

 

 

 

 

見ての通り空模様には大変恵まれたのですが

厄介だったのが風が強く、波がやや高かったこと。

そしてこの日最も悩まされたのが「潮位の高さ」でした。

 

以前にも書きました通り、

ここのメインディッシュ(?)であるウミウシは

岸から見てやや奥、かなり潮が引かないと露出しない所に

隠れている傾向があります。(でないと干潮時に水から出て死んでしまう)

しかしこの日は干潮時間でも潮位がかなり高く

とてもウミウシの頻出ポイントには行けそうにありませんでした。

それに加え波が押し寄せてくるのですから(大した高さではないけど)

ぶっちゃけてしまうならば磯の生きもの探しには

最も適していないコンディションでした(汗)。

 

正直なところ、予定を変更できるならしたかったのですが

大人の事情もありましてそのまま決行。(;^_^A

結果、残念ながらアオウミウシに出合うことはできませんでした。

 

 

 

 

 

それでも、岩の隙間などを念入りに探せば

ヤドカリやカニなどは結構出てくるもの。

自分の知る限りでは最も「出」の悪い日でしたが

それでも磯散策の初心者の方なら

それなりに満足できるレベルの収穫はありました。

 

 

 

 

 

ヤドカリのバトル5秒前……と思われる。

(大きい殻を求めて追い出そうとしている模様)

 

 

 

 

 

持ち帰ることはできませんが、

自然教育園の敷地内なら捕獲して観察することはできるので

水を溜めたケースに入れてじっくり観察します。

(普段私はケースも網も持ち歩かない)

 

イソスジエビアゴハゼなど、普段よく撮影するものの

素早くてなかなか捕獲できない面々も

網さえあればほぼ問題なく捕まえられます。

もちろん、闇雲に追いかけても逃げられるだけなので

網の方に追い込むなどの「工夫」は求められますが……。

 

 

 

 

 

ちなみに種類はわかりませんが、

ウミウシの卵らしきものはいくつか見つけました。

浅い所で産卵する種もいるようです。

(だったら1匹くらい姿を見せてほしかった気もしますが……)

 

 

とかくウミウシ捜索という点では失敗と言わざるを得なかった

この日の講座開催。しかし講座終了直前に「収穫」がありました。↓

 

 

 

 

 

参加者様の1人(小学生)が見つけたコチラの生きもの。

一見すると貝殻のなくなったヒサラガイのようでしたが

それなりに活発に動き回っており、明らかに違う生きもの。

 

瞬時には正体がわからず、検索を駆使したところ

イソアワモチという貝の仲間であることがわかりました。

ウミウシにも近い種ですがやはり遺伝子的には異なるらしく

ビジターセンターには色々なウミウシの模型が展示されているものの

本種のものは存在しませんでした。

 

遭遇率・・・2 (絶滅危惧種というわけではない)

インパクト・・・2 (サイズも大きくはなく目立ちにくい)

美しさ・・・1 (お察しください)

俊敏性・・・1 (でも結構活発に動いていた)

知名度・・・2 (沖縄等では食用にするらしい)

 

 

一部の解説サイトでは「本州中部以南に分布」とあるので

海水温の上昇に伴って分布を拡大してきたのかもしれません。

いずれにせよ新顔登録させていただきます。

 

 

 

 

 

ちなみに正面から見るとこんな感じ。

一応、ウミウシっぽい顔をしています。

 

 

 

 

 

コイツがウミウシと決定的に違う点は

こうして陸に上げても普通に動き回っていたこと。

どうやら「有肺類」に属しているらしいので

その字面通りならば陸上で肺呼吸もできるのでしょう。

(カタツムリやナメクジなんかも有肺類)

 

身体も軟体動物にしてはしっかりしているため

陸上でも問題なく動ける模様。

さらに移動した後にはねっちょり粘液が付着するなど

そのキモさから触るのを躊躇う方も多数。

しかしながらせっかくの機会なので、皆さんにもじっくり観察いただき

一通り撮影も済ませて海に帰っていただきました。

最後の最後で十分過ぎるインパクトを残してくれて、感謝申し上げます。<(_ _)>

 

講師である私にとっても新顔となる生きものとの出合いもあり

参加者の皆さんにもちょっとした刺激があったのではないかな?と

手前味噌ながら期待しております。

 

 

 

 

 

 

なお、天神島は島内にちょっとした森があるほか

ハマユウ(左)の自生地にもなっています。

右写真はハマユウの葉に隠れていたヨツスジトラカミキリ

本来の目的ではないですが、こうした昆虫も島の一員。

じっくりと観察させていただきます。

 

 

 

 

 

昨年撮影した外来種のシジミチョウ クロマダラソテツシジミ

島内の何ヶ所かで確認しました。

ソテツを食草とするため、こういう海岸域には多い模様。

前回コイツを撮影したのは鎌倉の山中で1匹だけでしたが

やはり海岸線では個体数も多くなるようです。

 

他にソテツを食用とする在来種があまりいないからか

ツマグロヒョウモンなどのように注目はされていませんが

比較的最近になった日本で観察されるようになったらしいので

急拡大するか否か?チェックしておいた方がいいかもしれません。

 

 

 

 

 

最後に、逗子駅前で確認したツバメの巣です。

まだ羽の満足に生えていないヒナの姿もありました。

 

……たまに巣から全員こちらを見てくることがあるのですが

結構不気味です。口を開くとますます不気味さ倍増(汗)

 

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年8月15日(日)に開催いたします。

 (14日はお休みの予定です。ご了承ください)

 行先は「小山田緑地(東京都町田市)」でございます。※下記写真

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 

 

 

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。