【恒例企画】2020年を振り返る ~今年初めて会った生きものたち・ベスト30~ | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

いつもの年末恒例企画。2020年の新顔ランキングです。

今年遭遇した新顔は、哺乳類、鳥類、昆虫類、その他諸々含めて

全部で75種。ちなみに昨年が71種、一昨年が67種です。

緊急事態宣言発令中、埼玉県内のキバネツノトンボ発生スポットに

足しげく通ったのが功を奏し、昨年よりむしろ新顔の数が増えました。

その他、銚子漁港や埼玉県県民の森などの新規スポットも開拓し

意外にも充実したラインナップとなりました。

 

それでは例年同様、ベスト30形式でお送りいたします。

 

 

 

 

 

30位 ヒメクロオトシブミ

(初撮影:5月・埼玉県内某所)

 

アシナガオトシブミに続く、2匹目に確認できたオトシブミ。

実はこちらの方がポピュラーな種らしく、珍しくはないそうです。

非常に小さい甲虫なので撮影には苦労させられました。

オトシブミの仲間は他にも何種類か存在するようなので

来年もう少し開拓(?)してみるのもいいかも。

 

 

 

 

 

29位 クロマダラソテツシジミ

(初撮影:10月・鎌倉中央公園)

 

講座「花をたずねて鎌倉歩き」の最中に撮影した

ソテツを食草とする外来種のシジミチョウ。

確認できたのは1頭だけ。美しいチョウではありますが

これ以上増えるのは好ましくないといえそうです。

ちなみにウラナミシジミと誤認しやすいので要注意。

 

 

 

 

 

28位 メスアカケバエ

(初撮影:4月・戸田市内 荒川土手)

 

こんなもん新顔登録するなとか

するにしてもベスト30に入れるほどかとか

ツッコまれても文句の言えない小さな昆虫ですが

緊急事態宣言下の市内の散歩中に初めて撮ったこともあり

自分の中では結構強く印象に残っています。

 

ちなみに同時に撮ったハグロケバエはランキングに入っていません。

色がきれいな方を選ばせていただきました(爆)

人と同じでやっぱ見た目は重要なんですよ

 

 

 

 

 

27位 テングアワフキ

(初撮影:6月・埼玉県県民の森)

 

いわゆるアワフキムシの一種。テングのよう……というか

角のように尖った鼻(?)が特徴的です。

非常に小さいばかりか、一瞬で消えるレベルの俊敏性を備え

これ1枚撮影した直後に見えなくなってしまいました。

ちなみに濡れているのは雨のせい。

今年はやたら梅雨が長かったですからね。来年はどうなるか?

 

 

 

 

 

26位 クロスズメバチ

(初撮影:8月・御岳山)

 

食材「はちのこ」として珍重されるということもあり、

ここまでに挙げた生きものの中ではそれなりに知名度の高い昆虫。

(私がそれを食べたいと思うか否かは別として 絶対嫌だ

名前の通りスズメバチの仲間ですが、サイズはかなり小さめ。

もちろん毒針もありますが、そんなに警戒する必要はないかと。

今年の夏、御岳山で初撮影しましたが、

上の写真は神代植物公園で撮ったものです。

 

 

 

 

 

 

25位 キトンボ

(初撮影:10月・軽井沢レイクガーデン)

 

これはさすがにルール違反だろという気もしますが

まあ今更硬いことは言わないで(前科も多数ありますし)。

翅が黄色いからキトンボ。大きさはアキアカネなどとほぼ同じで

秋真っ盛りのレイクガーデン内で多数確認できました。

東京近郊でいうシオカラトンボなどと同じような立ち位置で

あちらでは別に珍しい存在ではないみたいです。

ちょいと遠出しただけで生きものの種類もガラリと変わる……

そういうところに私は大変な面白さを感じるのです。

 

 

 

 

 

 

24位 クマゼミ

(初撮影:8月・実家の目の前)

 

近年首都圏でも数が増えつつある……とよく言われていますが

本ブログで撮影できたのは意外にも今年が初めてです。

実際、確かに過去にも鳴き声はそれなりに聞いていましたが

そんなに「大発生している」という印象は受けません。

依然として関東のセミといえばアブラゼミが主役です。

私見ですが、温暖化の影響を強くアピールしたいがために

かなり話を「盛って」いるんじゃないかと睨んでいます。

ちなみに写真を見てもわかる通り、カブトムシ並の大きさです。

 

 

 

 

 

23位 アオスジハナバチ

(初撮影:7月・鎌倉市内)

 

クロマダラソテツシジミと同じく「鎌倉歩き」の最中に撮影。

腹部の青い縞が美しい、小さなハチです。

青い鉢というとオオセイボウ&ルリモンハナバチが

圧倒的に人気で知名度も高いのですが、本種もなかなかのもの。

それほど珍しいわけではなく、夏の公園等を探せば見つかるかも?

 

 

 

 

 

22位 ニホンナマズ

(初撮影:7月・都内某公園)

 

ツミを撮影した、東京都内のとある公園で撮ったもの。

コイなどと一緒に放流されているのか、

それとも野生のものなのか……その辺りは少々怪しいですが

とりあえず生きたナマズを撮ったのはこれが初めてです。

 

 

 

 

 

 

21位 ハラグロオオテントウ

(初撮影:5月・見沼自然公園)

 

日本最大のテントウムシです。南方系という説もありますが

元々関東より冷涼な地方でも生息していたという意見も……。

また、仮に南方系でもツマグロヒョウモンのように増えてはおらず

少なくとも普通に見られるような昆虫ではないらしいので

もし見かけたら確実に写真を撮っておきたいところです。

 

 

 

 

 

20位 ミヤマチャバネセセリ

(初撮影:4月・埼玉県内某所)

 

名前に反し、撮影したのは荒川沿いの荒野なのですが

とりあえず自然度の高さを象徴する昆虫と言えそうです。

地味ですし、イチモンジセセリと誤認する人もいそうですが

翅の模様が異なるのでクリーンに撮影できれば識別は容易です。

 

 

 

 

 

19位 カモメ

(初撮影:2月・銚子漁港)

 

セグロryとかユリryとかの一切つかない、無印のカモメ

実はそれほどメジャーな存在ではなく、

関東では銚子漁港以外での撮影記録はほぼない模様です。

脚の色もそうですが、特に嘴が黄色一色なのが識別ポイント。

ただ、セグロカモメがわらわらしている中から見つけ出すのは

多分ベテランウォッチャーでも多少苦労する……はず(汗)

 

 

 

 

 

18位 ホソミオツネントンボ

(初撮影:5月・寺坂棚田)

 

秩父郡横瀬町にある、関東屈指の棚田で撮影したイトトンボ。

オツネン(越年)ということで成虫で年越しもするトンボで、

時期的にこれも越冬した個体……なのでしょうか?

青と黒のマーブルが美しく、人気も高い模様です。

決して珍しくはないみたいですし図鑑でも普通に掲載されていますが

地域によっては数が減少している所もあるようです。

 

 

 

 

 

 

17位 ハジロクロハラアジサシ

(初撮影:6月・伊佐沼)

 

コアジサシの多数飛来する伊佐沼で撮影した、珍鳥の一種。

頭から胸部にかけてが黒く、コアジサシとは明確に色が異なります。

少々距離があったので鮮明な画像と言えないのはまあご愛敬。

基本的にこうした珍しい鳥は前情報を収集した上で撮りに行くのですが

本種についてはコアジサシ狙いで赴いた際に偶然撮れたものです。

 

 

 

 

 

16位 カトリヤンマ

(初撮影:9月・引地川親水公園)

 

残暑厳しい9月に引地川公園沿いの雑木林で撮影。

ギンヤンマなどと異なり、日中はほとんど活動せずに

こうやって枝などにぶら下がっている模様。

夕方辺りに食事のために飛び回るそうです。

名前の通り、狙いはカ(蚊)なのでしょうか?

サイズからして蚊ではあまり腹の足しにならなそうですが……。

 

 

 

 

 

15位 オジロトウネン

(初撮影:10月・伊佐沼)

 

こちらも伊佐沼の珍鳥。ただしハジロryとは違って

秋の渡りのシーズンに観察したものです。やはり前情報はなく、

現地でベテランウォッチャーの方に教えていただいて

ようやく珍鳥だと気づいたもの。もし助言がなかったら

ちょっと変わったトウネンだなという認識で終わっていたかも?

 

 

 

 

 

14位 ウラゴマダラシジミ

(初撮影:5月・埼玉県内某所)

 

緊急事態宣言期間中に例のキバネryスポットで撮影した

やや大型のゼフィルスの仲間。翅の色はちょっと地味。

イボタノキという木の花で吸蜜しており、複数個体確認しました。

あのスポットは例年キバネryを撮ったら翌年まで行かないのですが

今回何度か足しげく通ったおかげで撮影できた昆虫の1つです。

 

 

 

 

 

 

13位 イトマキヒトデ

(初撮影:7月・観音崎公園)

 

2020年度、何故か今まで撮る機会のなかった生きものの決定版。

数々の図鑑で「最も観察しやすいヒトデ」などと書かれており

例年モヤモヤさせられていたのですが、このたびようやく出合えました。

手に乗せるとウゾゾモゾゾと蠢いて少々キモいのですが

模様が美しく、やや紫がかったものも確認しています。

 

 

 

 

 

12位 シロカモメ

(初撮影:2月・銚子漁港)

 

カモメの一大飛来地 銚子漁港で撮影した新顔のカモメ。

名前の通り「白さ」に定評があり、セグロカモメにあるような

黒い部分が一切存在しないことから割と簡単に識別できます。

カモメといえば白い鳥の代表格というイメージが強いですが

頭から尾羽まで白いのはこのシロカモメくらいなものです。

ちなみに若鳥はもっと白かったりします。

 

 

 

 

 

11位 ニホンノウサギ

(初撮影:5月・埼玉県内某所)

 

もしちゃんとした写真が撮れていれば、

恐らくは新顔ランキングで1位を獲得していたであろう

今年唯一の哺乳類の新顔です。こんな写りなので本来なら

新顔登録すらせず来年に持ち越すという選択肢もあったのですが

まあ、撮れてしまったもんは仕方がない(汗)。

非常に俊敏なので、もしエンカウントできたとしても

ちゃんと撮れるか否かについては運も絡んでくることでしょう。

 

 

 

 

 

 

10位 タケウチトゲアワフキ

(初撮影:5月・見沼自然公園)

 

図鑑にこそ滅多に掲載されていないものの

そのフォルムは芸術的ですらあります。しかし非常に小さいので

これまたもしベテランウォッチャーの助言がなかったら

私も見落としていたと思われます。(前情報もありませんでしたし)

読者様からのコメントにもありましたが、

もし本種がカブトムシ級のサイズだったら、

男の子には大人気になっていたかもしれませんね。

 

 

 

 

 

9位 コウノトリ

(初撮影:1月・渡良瀬遊水地)

 

ご存知、一度は絶滅したものの海外の野生種を導入・繁殖させ

野生復帰を果たした巨大な鳥です。今回のベスト30の中では

恐らく最も知名度が高いと思われますが

やはりどうしても一度絶滅し、人の手で数が回復してきたこともあり

バードウォッチャーの間ではそんなに人気は高くないようです。

とは言え、大量の餌を食べるコウノトリが野生で生きられるということは

それ相応に環境が健全に整っているということに他なりません。

そういう意味では、本ブログとして決して無視できない生きものです。

 

 

 

 

 

8位 コミミズク

(初撮影:1月・手賀沼周辺)

 

いやぁ……前述のノウサギほどではないのですが

こんな写りで新顔登録するのは正直気が引けます(汗)

毎年のように手賀沼に飛来するとのことですし

今冬もすでに来ているという情報が入っていますので

年明けに改めて撮りに行こうかと検討中です。

ちなみにフクロウの仲間としては、アオバズクに次いでまだ2種目。

そもそも無印のフクロウをまだ撮れていない……一体どこに?

 

 

 

 

 

7位 アカエリカイツブリ

(初撮影:2月・銚子漁港)

 

銚子漁港の新顔で、カイツブリの仲間。

そこそこの個体数が確認できましたが、

つい先日銚子漁港を訪れた際には1羽も見られませんでした。

まだ来ていないのか、今年は見られないのか……

(手持ちの図鑑ではほぼ毎年見られるとありますが)

その辺りは年明け後の1月に確かめに行ってまいります。

 

 

 

 

 

6位 クロガモ

(初撮影:2月・銚子漁港)

 

何か企んでいそうな悪い顔(爆)

名前の通りの黒いカモ。それだけに黄色い嘴が目立ちます。

このカモ、昨冬は関東各地にかなりの数が飛来しており

銚子漁港だけでなく、鎌倉や長井漁港などでも撮れたのですが

今冬は現状まだ確認できていません。

どちらかというと昨冬の大量飛来がイレギュラーらしいのですが

一体今クロガモに何が起きているのか?興味が尽きません。

 

 

 

 

 

5位 オオカラモズ

(初撮影:3月・さいたま市のとある田んぼ)

 

晩冬にかなり鳥ファン界隈で話題になった、珍鳥中の珍鳥

通常のモズよりやや大型で、灰色のボディが特徴的です。

この鳥を撮るために多数のバードウォッチャーが集まり

田んぼの一角が(苦情が来るレベルに)大層賑わっていました。

果たして今冬会えるのか否か……それはわかりません。

 

 

 

 

 

4位 コチョウゲンボウ

(初撮影:1月・手賀沼周辺)

 

コミミズクと同日に新顔登録したチョウゲンボウの仲間。

ちょっと距離があり過ぎましたが、バックが抜けていたおかげで

普通のチョウゲンボウではないらしいことがわかりました。

もし飛んでいたら、私の目では識別できなかったでしょう。

手賀沼は本種やコミミズク以外にも猛禽類の数・種類が多く

来年以降もよくチェックしておく必要がありそうですね。

 

 

 

 

 

3位 ウバタマムシ

(初撮影:5月・埼玉県内某所)

 

2020年の昆虫の中では最上位にランクイン(昨年はコツバメ)。

無印のタマムシと比べると少々地味と言われていますが

実際にこうして手に取ってみると、金属光沢のある濃褐色が渋く

目を奪われること間違いなしです。これは図鑑ではわかりません!

実は「見た」のはこれが初めてではなく、

昨年、武蔵丘陵森林公園で一度見ているのですが

撮る前に逃げられてしまいました(汗)。

見た目に反して飛ぶ時は俊敏なので、見かけたら撮影はお早めに。

 

 

 

 

 

2位 ヒメウ

(初撮影:3月・銚子漁港)

 

カワウやウミウにある顔の白色部分が存在せず

ほのかなグリーンメタリックを帯びた全身黒色が特徴の海鳥。

銚子漁港の新顔シリーズの中では最上位にランクインしました。

名前自体は、城ヶ島がヒメウ・ウミウ・クロサギ飛来地として

天然記念物に指定されているので大分前から知っていましたが

こうして撮れたのは今回が初めて。さて、今年も見られるか?

(三浦半島にも飛来するそうですが、私はまだ未確認です)

 

 

 

 

 

1位 オオマシコ

(初撮影:1月・埼玉県県民の森)

 

見た目の美しさ、レアリティ度、写りの良さ、

そして何より撮影場所に出かけるまでの苦労度などを加味して

見事オオマシコが今年の1位にランクインしました。

ベニマシコを上回るオスの赤さは必見……ですが

とにかく最寄駅から県民の森までの道のりが厳しいので

もし今冬撮りに行かれるのであれば自家用車の利用がおススメ。

ただ、県民の森は緊急事態宣言下で駐車場を閉じていたため

念のため出かける前にWebサイト等でチェックした方がいいでしょう。

(幸い県民の森ではほぼ毎冬観察できるらしいです)

 

 

 

以上、昨年のニホンカモシカのような色んな意味での大物がいないのは

少々残念ではありますが、散策フィールドを広げたことや

キバネryスポットに通い詰めたこともあり、

成果は結構よかったのではないかと自負しております。

 

2021年についても、既にいくつか狙いを定めている生きものがいますが

もう、そろそろいい加減にアナグマを本気で撮りに行こうかと

もう何年も続けての目標ですが(汗)考えているところです。

ああ、鎌倉散策中とかにひょっこり出てきてくれないだろうか……。

 

 

 

なお、後日しっかりとお話させていただきますが

2021年は私にとっても新しい仕事をスタートさせる

特別な年になります。年明けから早速色々動き出しますが

本ブログは変わらず今まで通りに更新していきますので

何卒よろしくお願いいたします。

 

それでは皆様、よいお年を。