いつもの年末恒例企画。2019年の新顔ランキングです。
今年遭遇した新顔は、哺乳類、鳥類、昆虫類、その他諸々含めて
全部で71種。昨年が67種、一昨年が58種だったので
かなり上々の成果だったと言えます。
もちろんこれは、夏場に海に足を運びまくったため。
これまで海方面はほとんど開拓してこなかったのですが
ウミウシを求めて何度も海に行った結果、ドッサリ新顔が溜まりました。
そのため「海系」が結構多数となっていますが
他にも半分反則の軽井沢編なども入って、盛り沢山な内容となっております。
それではベスト30です。
30位 シマアメンボ
(初撮影:8月・御岳山)
決してレア種ではなく、郊外のきれいな小川などに行けば
割と普通に見かける寸詰まりのアメンボです。
御岳山の他にも神代植物公園などで見かけています。
本ブログで登録しているアメンボは無印とこれの2種だけですが
私が識別ミスしているだけで、既に別種が混じっている……かもしんない。
29位 トゲチョウチョウウオ
(初撮影:8月・江の島)
江の島のタイドプールに現れた、いかにも熱帯魚という風貌の魚。
まだ幼魚らしく、サイズは全長4~5センチといったところです。
網とバケツでもあれば掬い上げて鮮明に撮ることもできたのでしょうが
水上から動き回る魚を撮影するのではこれが限界かなと(汗)。
ちなみに珍しい存在でも、温暖化の影響で北上してきたわけでもなく
普通に分布している魚らしいので念のため。
28位 チャイロスズメバチ
(初撮影:9月・国営武蔵丘陵森林公園)
今年、方々で多数確認された、名前どおり茶色いスズメバチ。
「獰猛」という噂ですが、チョウに割り込まれて樹液を譲ったり
こちらが接写しても知らん顔だったりと、割と大人しい印象が。
にしても、何故今年あれほど多数観察されたのか……
(本来であれば個体数は決して多くないそうです)
27位 クモガタウミウシ
(初撮影:7月・荒崎海岸)
石のような見た目どおり、(軟体動物にしては)身体が硬いウミウシ。
ひっくりかえすとオレンジ色に黒の斑点という毒々しい姿を見せてくれます。
もちろん普段は岩(?)に擬態しているため、探すのは少々困難です。
少しアメフラシを彷彿とさせますが、あちらは非常に柔らかい軟体生物です。
26位 イソクズガニ
(初撮影:7月・荒崎海岸)
海草などに擬態するために、後付けで自分の身体に藻を貼り付ける
ちょっと変わったカニ。写真はもちろん擬態した状態であるため、
本来の生まれたままのコイツの姿はまだ拝んでいません。
もちろん強引にひっぺがすのは酷過ぎる仕打ちなので
どうしても素の状態が知りたいのなら図鑑などで確認しましょう。
25位 ミカドアリバチ
(初撮影:5月・散在ヶ池森林公園)
一見すると胸部の赤いアリですが、正体は正真正銘のハチ。
そして、今年唯一といっていい私に痛手を食らわせてきた昆虫です。
こいつに触れて刺されてからしばらく、指先に痛みと痺れが残りました。
サイズでいうなら、ランキングに入る30種のうちでは最小クラスですが
直接ダメージを食らったという意味で大いに印象に残っています。
(ちなみにまだこれ以外でハチに刺されたことはありません)
24位 ボラ(笑)
(初撮影:4月・谷津干潟)
説明不要。あと5~6秒の命です。
ただしアオサギの胃の中に納まっても、消化されるまで生きているとすれば
もう数分は寿命が延びていると解釈できるかもしれません。合掌。
23位 コアシダカグモ
(初撮影:9月・四季の森公園)
本ブログでは頻繁にある「今まで別種と思っていたら違った新顔」の1つ。
無印のアシダカグモが家屋を好む外来種(狙いはゴキ●リか)であるのに対し
コイツは屋外に居を構える日本在来のクモです。
写真は巣を構えているところで、既に無数のベビーが生まれていました。
……そちらはスペースとグロさの都合もあり、ここではお見せできません(汗)
22位 カリオヒラムシ
(初撮影:8月・天神島)
うっかり行きずりの小学生に「ほら、ウミウシだよ~」と紹介してしまった
苦い経験のある軟体生物。ウミウシとは全くの別種だそうです。
名前のとおり平べったく、狭い隙間に潜り込むのもお手のもの。
本来であればアオウミウシなんかよりも珍しい存在らしいのですが……
21位 センダイムシクイ
(初撮影:5月・軽井沢野鳥の森)
GWに野鳥の森で撮影した、今回のランキングでもとりわけ反則臭の強い夏鳥。
もちろん首都圏にも飛来はするらしいのですが、撮影は困難。
ウグイスなどと同様に藪に隠れてしまいがちで、動きもすばやい難敵です。
完全に長野県内でしか撮れていないのでアウトにすべきか迷いましたが
まあ、大目に見てくださいw その分、軽井沢シリーズでは最下位となっています。
20位 イシダタミヤドカリ
(初撮影:8月・江の島)
ヤドカリの中ではサイズが大きめで、色も派手なピンク色という目立つ存在。
脚が毛深いのも特徴です。写真は、引っ込んでいた殻から顔を出した直後。
それ以外は帽子のように殻を被ってしまうため、
ボディの部分まで撮るのは難しくなってしまいます。
彼らには申し訳ないですが、きれいに撮るには一度ひっくり返すのが得策です(汗)
19位 オサガニ
(初撮影:11月・三番瀬)
ヤマトオサガニではない、無印の存在。千葉県では絶滅危惧種らしいですが
三番瀬の関連サイト等では割と普通に名前が出てきています。
干潟の健全な環境を象徴する存在で、渡り鳥の獲物としても大事な存在。
なおこれを撮影している間、無数のコメツキガニに周囲を囲まれていました。
(干潟で立ち止まっているとよくあること。一歩でも動けば引っ込みますが(汗))
18位 ビロードキンクロ
(初撮影:11月・三番瀬)
上記のオサガニを撮影した日の、本来の目的だった鳥。
珍種とされることが多いですが、三番瀬では割とよく見かける存在なのだとか。
寒空でなおかつ冷たい雨の降る酷いコンディションの中
顔を上げてくれるのを延々と待ち続けたのは今となってはいい思い出です。
翌日風邪を引きましたけどね(爆)
17位 コノハミドリガイ
(初撮影:8月・荒崎海岸)
体内に葉緑素を持ち、光合成によってエネルギーを補充できる
ハイテク(?)を搭載したウミウシの一種です。もし人体にも応用できたら
エネルギー問題、温暖化問題等がたちまち解決に向かいそう……。
サイズは小さいながらも、緑色が美しく、大いに印象に残っています。
16位 アメリカヒドリ
(初撮影:1月・水元公園)
頭部にメタリックグリーンの模様を持つ、ヒドリガモの亜種。
厳密に言うなら、写真の個体はヒドリガモとの交雑種の可能性が高いですが
まあ間違いなくアメリカ色が強いと思われますので新顔に登録しておきます。
ちなみに水元公園には、他にもアメリカ●●と名のつくカモが飛来する模様。
その辺は年明け以降に確かめに行こうかと思っております。
15位 ノジコ
(初撮影:5月・軽井沢タリアセン)
完全に長野県内で撮影した反則掲載種その2。
アオジによく似ており、実際同じホオジロ科の鳥なのですが
首都圏におけるレア度はアオジの比ではなく、
もし都内の公園等に現れたらバードウォッチャーが殺到するレベルです。
軽井沢タリアセンでは多数確認しており、鳥類分布の差を実感しました。
14位 コサメビタキ
(初撮影:5月・軽井沢某所)
これも軽井沢で撮ったものですが、厳密にはここは群馬県内なので
辛うじて「北関東自然地ゾーン」に属していると言えます。 反則ではありません(迫真)
首都圏では主に夏鳥として飛来するらしく、決してレア種ではないのですが
木の葉の茂る雑木林で見付だすのは至難の業でしょう……。
13位 クサフグ
(初撮影:3月・江の島)
首都圏の海岸線でも見かける、かなりポピュラーなフグの一種。
食用にもなりますが、案の定毒をもつので素人調理は厳禁。
ちなみにサイズは小さく、毒のある部分を除去したら
ほとんど食べる所もなさそうな気がしないでもない……。
ちなみに、海岸線で陸(?)に上がって特徴的な産卵をするのだとか。
来年もし可能であれば、その様子を写真に収めてみたいものですね。
12位 ミヤマガラス
(初撮影:2月・板倉町農耕地)
名前に反して、開けた板倉町の農耕地に現れるカラス。
クチバシの付け根が白いことで識別できます。
元々は南方系で、最近首都圏でも飛来数が増えてきたとのこと。
(でも街中ではまず見かけることはありません)
妙に警戒心が強く、近づくとすぐに逃げてしまうので
先代のカメラでは撮影にかなり苦労しました。
(現在の新品であれば、十分鮮明な撮影が可能です)
11位 ウスバシロチョウ
(初撮影:6月・赤城自然園)
丘陵~山岳域に春の一時だけ現れる、意外にもアゲハチョウの一種。
でも顔をクローズアップしてみると、確かにギフチョウによく似ており
アゲハの仲間であることがよくわかります。赤城自然園では複数見かけており
相変わらず良好な環境が維持されていることが伺えます。
10位 ゴジュウカラ
(初撮影:5月・鬼押し出し園周辺)
器用に木の幹を登ったり降りたりできる不思議な鳥で
都心ではかなり稀な存在。一方軽井沢界隈ではメジャーなようです。
本種もギリギリ群馬県内で撮影した鳥であり。反則ではありません(迫真)。
激しく動き回るため、マトモに撮れたのはこれを含めて数枚だけ。
次エンカウントすることがあったら、確実にクリーンな写りを抑えておきたいところです。
9位 ムナグロ
(初撮影:5月・谷津干潟)
ダイゼンの近似種であるチドリの仲間。
背中に黄色い班があるのが特徴ですが、その差は微々たるもので
クローズアップで撮影した後、拡大して確認しないと見落としてしまいます。
この時は谷津干潟のセンターで職員さんに確認してもらい
ムナグロであると同定できました。もちろん、前述のコアシダカグモと同じく
既に撮影していて見落としていた可能性もあります……。
8位 オバシギ
(初撮影:9月・三番瀬)
三番瀬では普通種らしいですが、他の干潟ではやや少なめ。
地味なシギですが、他の種との見分けはそこまで困難ではありません。
シギ・チドリについては、首都圏ではこれで主要な種はほぼ押さえたはず。
さて、次はカモメ辺りを狙うか……?
7位 トゲアリ
(初撮影:4月・四季の森公園)
渡りのシギ・チドリを差し置いて上位にランクイン。
こういうところがやはり首都圏生きものめぐりたる所以といいますか(汗)
里山ガーデン撮影のついでに立ち寄った際、幸運にもエンカウントできました。
釣り針のように尖って湾曲したトゲは、刺さったらかなり痛そう……。
攻撃・防御に優れたアリの猛者と言えるかもしれません。
6位 クロツグミ
(初撮影:5月・軽井沢某所)
比較的知名度の高い夏鳥ですが、都心で会うのはかなり困難。
名前のとおり黒色のツグミで、やはりギリギリ群馬県で撮影できました。
特に鮮明に撮れたということもあり、軽井沢組の中ではトップに君臨。
あちらでの遭遇率も高く、写真も豊富に撮ることができました。
都心の公園では……出たら結構な騒ぎになるかも?
5位 サラサウミウシ
(初撮影:7月・照ヶ崎海岸)
言わずと知れた、今年の海狂いの元凶とも言える存在(言い掛かり)。
アオバト撮影の際にたまたま本種に遭遇したのを機に
神奈川県内の磯・海岸に何度も足を運び、ウミウシを追いかけました。
如何せんこれが生涯で始めて撮ったウミウシでしたし
このウサギのような外見に魅了されたのをよく覚えています。
ちなみにアオバトは海水を飲むために照ヶ崎に来ているに過ぎないため
本種が彼らに食われることはありません。 まあ、美味しくはなさそうですし……
4位 コツバメ
(初撮影:4月・御岳山)
2019年の昆虫類では最上位にランクインした、シジミチョウの一種。
いわゆるスプリング・エフェメラル(春の妖精)の一種で、出合えるのは春だけ。
決してそれほど珍しくはないらしいですが、地味な配色の中に
ほのかなグリーンを帯びていたり、よく見るとなかなかお洒落で魅了されます。
ちなみに写真は、コケの隙間から吸水しているところです。
3位 ハイイロチュウヒ
(初撮影:12月・渡良瀬遊水池)
2019年最後の新顔となった、渡良瀬遊水地の人気者。
なんとメスにもエンカウントできました。両方とも証拠写真レベルなので
できれば次回の渡良瀬訪問時には、もっとクリーンに撮りたいもの。
年明けの1月中に、もう1回訪ねておきたいところです。
ちなみにこの猛禽、他にもいくつかのエリアで出現情報がありますが
毎年恒例のごとく(割と)コンスタントに観察できるのはやはり渡良瀬みたいです。
2位 アリスイ
(初撮影:1月・舞岡公園)
舞岡公園で去年から粘りに粘ってやっと撮影できた、キツツキの一種。
夏場まではずっと本種が1位だったほどの、会えて嬉しかった存在です。
本当はブログを始める前に証拠写真だけ押さえたことがあったのですが
正式に掲載できたのはこれが初めてですし、写りも良好です。
昨年は本種撮影のために大分振り回されてしまいましたが、今はいい思い出。
さて、今年も飛来しているのかどうか……?
1位 ニホンカモシカ
(初撮影:8月・御岳山)
もしかしたら大方皆さんも、1位は本種と予想されていたのではないでしょうか?
2019年唯一の哺乳類の新顔であり、御岳山からの最高の贈り物です。
このカモシカに遭遇する直前、一身上の都合でブログをやめようかと苦悩し
生きものへの愛着・関心すら失うほど荒んでいたものですが、
それだけにこの出合いには、何かの見えない力を感じざるを得ませんでした。
あの時目が合ったカモシカの表情は、きっと忘れることはないでしょう
(コツバメの件も含め、正直今年は御岳山に足向けて寝られません)
如何だったでしょうか? 今年は夏の海通いが功を奏し
これまでとはまた違うランキングになったのではないかと自負しております。
ちなみにギリギリでランキングから漏れた種としては
アカウニ、イソヨコバサミ、キアシドクガ、ヤマメ、ヒメアカネあたりが挙げられます。
来年も、未だ撮れていないアオウミウシを求めて海に行く予定です。
ちなみに本年中にあと1回更新する予定です(大晦日になるかも?)。
年末のご挨拶はその際にさせていただきますので、よろしくお願いいたします。