続・罪と罰(大田区のある公園~二子玉川)※前編 | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

後ろ向きで申し訳ありませんが、これはツミ(雀鷹)

鳩サイズの小型猛禽類として高い人気を誇ります。

毎年夏になると自然度の高い公園・緑地等で観察できるのですが

今回は東京都大田区のとある公園で観察できるという情報を掴み

目星をつけて行ってまいりました。詳細は後程。

 

 

 

 

 

 

決して「極端に広くて自然豊かな公園」というわけではなく

周りは住宅街ですし、むしろ都市公園としての趣が強いこの公園。

ただ、園内の湿地にはハンゲショウ(左)やミソハギ(右)があり

トンボやチョウなどの昆虫も多く飛来するなど

一般に抱かれがちな都市公園のイメージよりも

「自然」の色が色濃く残っている印象を受けました。

 

 

 

 

 

交尾中のモノサシトンボ。ピンと直立したオスが素敵。

繁殖数が多いのか、いくつかのペアを見かけました。

 

 

 

 

 

余談はさておき、この日のメインディッシュたるツミですが。

Web上に掲載されていたのは「大田区内のどこかにいる」という情報だけ。

いずれの出現情報においても具体的な公園名は伏せられていたため、

自分で推測するしかありませんでした。

 

大田区の公園となると東京港野鳥公園が有名ではありますが

あの公園は毎日出現する鳥の情報をネットにアップしており

その中にツミの名前が書いてなかったことからまず除外。

次いで近接する大井ふ頭中央海浜公園を考えましたが

こちらは敷地の一部が品川区に入っているため

「大田区内のどこか」という表現に違和感を抱き、これもカット。

やむなく大田区の地図を用意し、それ相応の広い緑地を持つ公園を

リストアップし、順に「(公園名) ツミ」で検索をかけていったところ

毎年のようにツミが飛来している公園を割り出すことができました。

 

方々のブログ等で情報が伏せられていますため、

本ブログでもそれに倣い、具体的な園名は一旦」伏せさせていただきます。

Web上をくまなく探せば普通に目撃情報が園名入りでアップされており

果たして隠す必要があるのかどうか怪しいのですが……

もし今年ツミが未見で気になるという方がいらっしゃいましたら

お手数ではありますがWeb検索を駆使してみましょう(笑)。

 

 

 

 

 

ちなみにここのツミは、地面に降りてきて

水浴びまでしてしまうというサービスぶり。

距離も遠くなく、前回よりも遥かに鮮明に撮れました。

 

 

 

 

 

件の水浴びシーン。前日まで降っていた大雨できた大型の水たまりで

激しく羽をばたつかせていました。先着のカメラマンも結構多く

左右から水たまりを挟むようにして待機し

水しぶきがあがると同時に両サイドからシャッター音の雨あられ。

(密接を免れないためか、屋外ながら皆さんほぼマスク着用でした)

 

 

 

 

 

ちなみに見た感じですと、どうやら若鳥の模様。

今年孵化・成長し、巣立ったばかりの個体と思われます。

数についても1羽ではなく、少なくとも2羽以上は確認しています。

 

 

 

 

 

アブラゼミを食すツミ。

ムクドリなどの鳥を食べることもあるのですが

サイズが小さいからか、こうした昆虫も積極的に狙う模様です。

そして、これが今年最初に撮影したアブラゼミの姿だったりします。

 

 

 

 

 

これまでの経験をベースにした私見としまして

遭遇しやすい猛禽といえば(トビを除くと)ノスリかチョウゲンボウだろうと

考えていたのですが、このような都市公園で毎年営巣していることを考えると

都会適応能力についてはツミの方が一枚上手と言えるのかも?

 

昆虫などの小さな動物も獲物となりうる分、

緑地面積の狭い(と言われる)都心部でもある程度は食事に困らず

繁殖することができる……のかもしれません。

 

一方で知名度については、オオタカやトビ、ハヤブサなんかに比べると

1ランク以上下回り、せいぜい3点くらいといったところ。

極端な絶滅危惧種というわけでもないためか

生態系保護の観点から注目されることも少なく、少々不遇だったりします。

 

 

 

 

 

なんか和む案内板

市役所に電話してくださいと書かれてあるよりは

 

 

 

 

 

最後に、園内で見かけた新顔です。

コイだらけの小川の中にいた茶色い魚は

何を隠そう野生のナマズ。 渡良瀬で食ってる天ぷらの素

こんなふうに野生個体が泳いでいる姿は初めて見ました

 

遭遇率・・・2 (珍しい存在ではないらしいです)

インパクト・・・4 (コイより小さい一方、見た目は印象に残ります)

美しさ・・・3

俊敏性・・・4 (本気で泳げば結構俊敏)

知名度・・・5 (地震を予知するとしてあるいは食材として一般層にも知られています)

 

英語表記はCat Fish。名前の由来はやはり顔の2本の髭か。

水上から見下ろしていても独特のフォルムですぐ気づいてしまうレベルで

一般的に抱かれているナマズの外見をほぼ踏襲しています。

(ただし色については個体差もあるため、当てはまりません)

 

 

午前中早い内から「目標」となるツミがあっさり撮れてしまいましたので

午後からは公園を出て、電車を乗り継ぎ、等々力渓谷&二子玉川へ向かい増した。

そちらの内容につきましては、後編としてまた後日お送りいたします。

 

 

 

【後編に続く】