見覚えある黄色いのが飛んでいるなと思いきや(横瀬町寺坂棚田→秩父市内某所) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

横瀬町の寺坂棚田です。緊急事態宣言発令期間中につき、

この時はまだ埼玉県内に留まっていたのですが、

県内限定という中では限りなく「端」に近かったかと思います。

 

なお、この日は川口の方から川越線→八高線と乗り継いで

東飯能駅に出て、そこから西武池袋線で横瀬に向かうという

面倒くさいですが電車ですら県境を跨がないルートをとりました。

それをやる必要があったのかどうかは別としまして

県境跨いでませんけど何か?(喧嘩腰)という感じで。

すみません大分アドレナリンが溜まっています

 

早朝に出たので電車はガラ空きでした。好都合なことです。

(当たり前ですが窓が開いています)

 

 

 

 

 

ちなみにこの棚田、関東では数少ない棚田としてその筋では有名ですが

これまではいつも1つ隣の西武秩父まで行ってしまっていたため

今回が初訪問だったりします。

 

上の写真はトップと同じく棚田風景ですが

もし仮に、雑誌のトップの見開きでこの風景写真を使うとしたら

背景に人工物が極力入らないようにするか?

それとも逆に入れるようにするか? 撮影時に結構考えさせられます。

恐らく大半の識者の方は上の写真を選ばれると思いますが

私はどちらかというと下の方を選びがちです。

 

純粋な自然美をPRするなら上のアングルが適しているのでしょうが

さりげなく工場や切り開かれた山を背景に据えた方が

より秩父らしいし、工業と里山が共存しているのも風景としては面白いかなと。

 

しかしこの2枚目の写真、

「工業と日本有数の里山が共にある風景」という出し方もできますが

表現次第では「古き良き里山風景が伐採と工場で台無し」という

マイナスに捉えられる方向に促すこともできてしまいます。

そして、読者がどちらの方向に捉えるかは

ぶっちゃけ記者(出版社)の胸三寸で簡単にコントロールできてしまいます。

 

私はそこにメディアの強さと面白さ、そして怖さを感じるのです。

 

 

 

 

 

 

まあ、こんだけの里山ならマムシくらいいるでしょう。

(残念ながらまだ会ったことがありません)

 

 

 

 

 

 

ふと上を見上げてみれば、ノスリが2羽いたりして。

この手の里山ではチョウゲンボウと並び、遭遇しやすい猛禽ですね。

 

 

 

 

 

田んぼはあくまで私有地なので、間違えても中に入ってはいけませんが

ちゃんと遊歩道は設けられていますのでご心配なく。

そんな中で遭遇した新顔。ホソミオツネントンボです。

 

遭遇率・・・2 (公園の池のハスの上なんかで見られるようなトンボではない)

インパクト・・・2

美しさ・・・4

俊敏性・・・3(イトトンボらしくゆっくり飛びます)

 

オツネン(越年)トンボなので、成虫で冬越しするのが特徴。

越冬したオスは写真のように鮮やかな水色になり、なかなかキレイです。

 

 

 

 

 

棚田の撮影を経て横瀬駅に戻る途中、畑に堂々と踏み入るキジ発見。

私は見かけるたびにいつも撮影してしまいますが

この界隈では「うるさい隣人」くらいの認識かもしれません(爆)

 

 

 

 

 

横瀬駅はもちろん、いくつかの駅舎で

ツバメが営巣していました。

う●こが落ちてきますが、最近は撤去したりせず

駅員の皆さんも温かく見守っているようです。

 

 

 

 

 

さて、ここは秩父市内某所。

あえて場所はぼかしますが、わかる人にはわかってしまうはず。

 

明らかに人工的な植樹がされているこのスポットですが

訪れると同時に、ブンブン飛び回る大量の黄色い虫にエンカウント。

どこかで見たことのある飛び方だなと思ったら……。↓

 

 

 

 

 

やっぱりお前だったかと。

 

例のスポット以外でキバネryに遭遇したのはこれが初めてなので

新顔ではないものの、結構嬉しい発見ではあります。

生息数も遜色なく多く、繁殖していることがよくわかります。

もう見飽きたとか言わないであげてください

 

 

 

 

 

ちゃんと繁殖中ですね、ハイ。

邪魔しちゃ悪いので撮ってすぐに退散しました。

 

 

 

 

 

ニワハンミョウ。決して珍しい存在ではありませんが

こうして素手で捕獲し、撮影したのはこれが初めてです。

 

 

 

 

 

昨年、赤城自然園で撮影したウスバシロチョウ

こう見えてアゲハチョウの仲間です。

身体の毛深さや顔など、どことなくギフチョウを彷彿とさせますね。

 

 

 

 

 

捕獲して撮影。ここではそれなりの数見かけました。

所変われば、暮らす生きものの数・種類もガラリと変わるもの……

同じ埼玉県内でも全然違います。だから面白いですし、飽きが来ない一方で

「首都圏で何が暮らしているかを知り尽くす」というのは

とても難しいことであると思い知らされます。 というより多分素人にはムリ

 

 

 

 

 

クモガタヒョウモン。ツマグロヒョウモンと同じ系統です。

こういうヒョウモンチョウの系統は識別が難しいのですが

本種は後翅の黒斑点が「繋がっていない」ことで見分けられます。

 

 

 

 

 

森の中で咲くオドリコソウ

都心ではもう開花期を過ぎましたが、山地では大分遅れて咲きました。

(ただし6月に入った今はもう見られないかもしれません)

 

 

 

 

 

これはかなり嬉しい出合い。

日本在来の野生クレマチス「カザグルマ」です。

都心より開花期が遅い……とかの問題ではなく

都心ではまず見られない山野草です。

関東でもいくつか自生地があるとは聞きますが、

野生の個体を見たのは私もこれが初めてです。

 

 

 

 

 

 

シオヤトンボ(左)にカワトンボ(右)。

いずれも平地で見られる種ですが、それなりの自然度が求められます。

何気にシオヤトンボは今年初めて。普段は里山ガーデンのオープン時に

谷戸で撮影しているのですが(腹立つので以下略)

 

 

 

 

 

小さいながらも新顔です。

フジハムいい、割と普通に見られる種だそうです。

 

遭遇率・・・3 (名前の通りフジ類の葉っぱに集まるとのこと)

インパクト・・・1(小さいです)

美しさ・・・3

俊敏性・・・3

 

 

 

 

 

こちらも新顔。フジハムシと同じくらいのサイズでしたが

こちらの方がメタリックで美しく、印象に残ります。

トビサルハムシといい、同じく葉虫の仲間です。

 

遭遇率・・・2 (広葉樹林では普通種……らしい)

インパクト・・・1 (同じく小さいです)

美しさ・・・4 (メタリックな褐色)

俊敏性・・・3

 

以前本ブログでアカガネサルハムシを紹介しましたが

名前でもわかる通り、あれの近似種です。

それにしても自分の手の毛深さが気になってしょうがねえ。

 

 

 

 

 

 

自然度の高さが際立つ一方、近くにはシロツメクサのお花畑も。

さて、ガーデン雑誌でもし扉絵に使うのならば、果たしてどちらを使おうか?

 

……まあ、これは好みがわかれるところですけれど

風景美を強調したいなら左。花を強調したいなら右……かな?

(パッと見で目を惹くのは右のアングルかもしれません)

ちょっと社長に今度聞いてみようかなと思っている今日この頃。

 

 

 

 

 

秩父市内の風景。

やはり奥の方に切り開かれた山が見えますね。

 

 

 

 

 

帰り際に見かけたコムクドリ

顔が作りものっぽい(汗)

 

ちなみに北海道のシマエナガはこれに近い「顔」をしていますが

全体のフォルムがもちろん違うため、可愛さと人気の差は言わずもがな……。

 

 

 

 

 

羊羹を買い食いして帰路につきました。

まあ、これくらいしかできる貢献はないですからね……。

 

 

 

 

【5/17 寺坂棚田~秩父市内で撮影した生きもの】

鳥類・・・カルガモ、カワラヒワ、キジ、キジバト、コゲラ、コムクドリ、シジュウカラ、ツバメ、ノスリ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ホオジロ、ムクドリ

昆虫類・・・アカヘリカメムシ、アカボシゴマダラ、アメンボ、イチモンジチョウ、ウスバシロチョウ、カワトンボ、クビキリギス、クモガタヒョウモン、クロハナムグリ、コアオハナムグリ、コガタルリハムシ、コジャノメ、コミスジ、サトキマダラヒカゲ、シオヤトンボ、ジャコウアゲハ、ジョウカイボン、スジグロシロチョウ、ダイミョウセセリ、ツマグロヒョウモン、トノサマバッタ(幼虫)、トビサルハムシ、ナキイナゴ、ナナホシテントウ、ニワハンミョウ、ハラビロトンボ、ヒナバッタ、フジハムシ、ベニカミキリ、ホソヘリカメムシ、ホソミオツネントンボ、ヤブキリ(幼虫)、ヤマトシジミ、ヤマトシリアゲ、ワカバグモ

その他・・・ニホンカナヘビ