毒か薬か? 痛いか臭いか?(石砂山・後編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

私のことじゃありませんよ?念のため(タイトル)

 

 

 

前回からの続き、石砂山下山編です。

去年あれだけ多数観察できたシュンランでしたが

この日はとにかく数が少なく、見られたのはこの1株だけ。

何があったのか……まさかシカに食われたのか?

(ヤマビルが出ることからもわかる通り、石砂山にはシカが生息しています)

 

今回の記録と直接的な関係はないと思いますが

地元 戸田市の市民センター(?)に植えられているシュンランも

葉っぱこそ出ていたものの、今年咲いている姿を1度も見ていません。

シュンラン界隈で何か異変でも起きているんでしょうか?

(昭和記念公園でも昨年多数撮っていますが、コロナ騒動のせいで今年は行けませんでした)

 

なお、シュンラン以外でも

ミツバツツジは咲いていたけれどヤマツツジは見られない

ヒオドシチョウとムネアカオオアリが1匹も出てこないなど

昨年と比較していくつかの「変化」は確認できました。

これらの変化がただの偶然ならいいのですが

昨年のあの大台風が何か影響しているかもしれないと思うと

また来年以降がどうなってくるか不安ではあります。

 

 

 

 

 

 

 

これは下山後です。藤野駅まで徒歩で向かう道中で見かけた

道端のカントウタンポポ(左)とキケマンソウムラサキケマンの群落(右)。

いずれも石砂山の山道ではほぼ見られず、こういう車道沿いに多い気がしました。

日照の多い環境が好みなのかもしれません。

 

 

 

 

 

法面の隙間から生えていた毛むくじゃらの植物。

黄色い花も目立ちますが、何より茎を覆う剛毛が目を引きます。

これはクサノオウといい、アヘアへになることで有名なケシの仲間。

傷つけると有毒の液体が生じ、これが付着すると炎症などを起こすそうですが

同時に薬用としても用いられ、水虫やいんきんたむしに使用されるそうです。

(正しい使い方については、こんなブログでなく必ず専門家に聞いてください)

 

薬用として役立つことから「草の王」とされ、名付けられたという説や、

あるいは分泌される乳液が黄色いから「草の黄」という説も……。

まあ、各自覚えやすい説で自由に覚えればいいということでしょう。

 

数は少なくないようで、道中では何株か確認できました。

しかし、これもまた平地で生えるような植物ではないみたいです。

 

 

 

 

 

毎年立ち寄っている山のハチミツ屋さんは、今年も元気に営業していました。

例年通りハチミツ掛けジェラートをいただきます。

これを食べるのもまた大切なルーティーンなのです。

 

 

 

 

 

 

これまたアスファルトの隙間から咲いているシバザクラ

園芸種が野生化したものですが、チョウは選り好みしないということか

ミヤマセセリが吸蜜に訪れていました。(右写真)

 

 

 

 

 

やっと見かけたフデリンドウ(ハルリンドウ?)

ただし、これはあくまで人の手で植えられたもの(と思われます)。

2年前までは石砂山の山中でも普通に見られたのですが

一体どこへ行ってしまったのか? 時期が早かった……にしては

こうして人為的に植えられたものはちゃんと開花しているので

純粋に株数が減ったんじゃないかと不安になります……。

 

一応、来年はもう1週間ほど遅らせてから行ってみようかな?と

今の内から思っている今日この頃です。

 

 

 

 

 

 

春の野山の風景……なのですが、一部山肌が抉れているところも(左写真)。

十中八九、去年の19号台風の影響でしょう。

こちらの地元でも、秋ヶ瀬公園がまだ閉園中で、

ようやく最近彩湖・道満グリーンパークがオープンしたばかりと

影響は確実に出ております。 今年はもうあんな台風来ないでもらいたいものです。

 

 

 

 

 

イタドリハムシ。葉虫の仲間の中ではサイズが大きく

模様も目立ちやすいのでそこそこの知名度はあります。

この界隈や高尾山など、山地では割と普通種かも?

 

 

 

 

 

テングチョウ。越冬するために春先から観察できますが

本種は平地の里山でもそこそこ見かけます。

ただ、都心の市街地で見られるようなチョウではないです。

そこそこ自然の残った広い公園でないと厳しいかと。

 

 

 

 

 

成虫越冬といえば、このカメムシもそうらしいです。

今回初めて遭遇しましたサシガメの一種で、

オオトビサシガメという大型種です。

名前の通り飛んできて私の目の前に止まりました。

 

遭遇率・・・2 (初対面ですが、希少種ではない模様)

インパクト・・・3 (迂闊に手を出すと更に印象に残るとか(後述))

美しさ・・・2(本種に限らず臭い系統のカメムシの方がキレイな気が……)

俊敏性・・・3

 

 

基本、私は昆虫を手に乗せることに抵抗はないのですが(毛虫芋虫は除く)

こういう刺す系統の昆虫はまた別。サシガメは肉食性の捕食者で

獲物の体液を吸うための針状の口吻を持っているため、迂闊に手は出せません。

特にこのオオトビサシガメ、同系統の中でも大型だけあって口吻も大きく

うっかり刺されようものなら悶絶するほど痛いと方々で書かれてあります。

 

カメムシというのは、触ると臭いか刺されて痛いかのどちらかなので

よほどのマニアか物好きでもない限り、離れて観察した方がいいでしょう。

(一応、サシガメの系統は害虫を捕食する益虫としての側面が強いです)

 

 

 

 

 

駅に向かってひた歩く途中、民家のある通りでキジに遭遇。

こうして人の住むエリアに出てくることも、この界隈では日常茶飯事。

互いの生息域が隣り合っており、身近な存在となっているのです。

去年に至っては平気で庭に入り込んでいましたからね。

 

戸田市でも、彩湖まで行けば結構な数のキジが生息しているのですが

彼らには住宅街に出てくる理由がないため、

近くに生息していることを知らない市民も多いはずです。

 

 

 

 

 

上のキジ♂をクローズアップ。距離があった割に結構きれいに撮れました。

……何気に歴代の写真で一番鮮明なんじゃないか?キョロキョロ

 

ちょうど今、関ジャニの番組でカラスを料理用に解体してたので書きますが

ジビエとして食する場合は、地味なメスの方が美味とされています。ぐへへ。

 

 

 

 

 

 

イチリンソウ(左)とニリンソウ(右)。

ほぼ同じ場所に生えている一方、やはり数が多いのはニリンソウの方。

ちなみに花のつき方だけでなく、サイズも大分異なります。

イチリンソウの方が明らかに大きいです。

 

ちなみに、イチリンソウもニリンソウも毒を持っていますが

ニリンソウはきちんと下処理をすれば食べられる……らしい。

(正しい食べ方については、こんなブログでなく必ず専門家にry)

 

 

 

 

 

これまた車道沿い。ジュウニヒトエ(シソ科)ですね。

園芸用に栽培されるセイヨウジュウニヒトエ(セイヨウキランソウ)は

戸田市内をはじめ町中の花壇等でもよく見かけますが

これは明らかに自生のもので、日本の在来種です。

去年とほぼ同じ場所で観察できました。

 

 

 

 

 

藤野駅に到着し、ちょっと時間が残っていましたので

例年通りカタクリの自生地に足を運びました。

もうピークは過ぎていたものの、それなりに開花株は残っており

今年もしっかりと写真に収めることができました。

 

ちなみに上の方で

「リンドウを撮るために来年は訪問時期を後ろ倒しにしようか」と書きましたが

その場合、カタクリはほぼ諦めざるを得ないのが難しいところ。

一方でカタクリの最盛期を撮るために、今年以上に前倒しで足を運べば

石砂山のメインディッシュであるギフチョウがまだ出ていない可能性があります。

「すべてを撮る」というのは非常に難しいことなのです。汗

 

 

 

 

 

カタクリの自生地内で、カタクリの後に咲くイカリソウ

今年も数株確認できました。これは、今くらいがピークかも?

 

 

 

 

 

その近くで見かけた、これまたちょっとした新顔。

後翅の黄色い紋がちょっと美しい蛾で、タイワンキシタアツバといいます。

どこぞのリスを彷彿とさせる名前ですが、れっきとした日本の在来種です。

 

遭遇率・・・2(多分初対面ではないですが、撮ったのは今回が初めて?)

インパクト・・・3 (サイズは大きくないですが、黄色い紋が見えると印象に残る)

美しさ・・・3(鮮やかな黄色い紋)

俊敏性・・・3

 

 

全体的にグレーを帯びていて地味なガですが

それだけに時折見せる後翅の黄色い紋にはハッとさせられるはず。

地味な子が着飾って華麗に変身したのを見てコロッと恋に落ちるのとよく似ています

ただ、この部分は目立ちやすいためか、普段は地味な前翅で隠しています。

止まった状態ではなかなか翅を開いてくれないため、

捕獲しないで黄色い紋を撮ろうと思うと苦労するかもしれません。

私が今回撮れたのは、単に運が良かっただけです。

 

 

 

 

 

 

最後に、具体的な場所は伏せますが

昨年と同様にオキナグサも確認できました。

しかも全く同じ場所で、今年は種(右)も確認。

 

山中というわけでなく、すぐ目の前が車道なのに

何でこんなところで何年も生え続けているんだろうか……?

ある意味、この界隈最大の謎です。

 

 

 

 

以上、自粛ムードにケンカを売る勢いで2部構成でお送りしました。

とは言っても、私は政府や自治体の要請に逆らっているつもりはなく

(本気で逆らうつもりなら高尾山にも御岳山にも行っています)

あくまで、素人知識と勝手な見解で自粛を強要する連中が嫌いなだけです。

その点はご理解いただければ幸いでございます。

 

 

 

【4/10 石砂山で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオゲラ、イソヒヨドリ、エナガ、カワラヒワ、キジ、キセキレイ、コゲラ、コジュケイ、ツグミ、ツバメ、ヒヨドリ、ホオジロ

昆虫類・・・アメンボ、イタドリハムシ、オオトビサシガメ、キタテハ、ギフチョウ、セスジハリバエ、スジクロシロチョウ、タイワンキシタアツバ、テングチョウ、ビロウドコガネ、ビロードツリアブ、ベニシジミ、ミヤマセセリ、モモブトカミキリモドキ