1週間で様変わり。お目当ての昆虫も出現(埼玉県内某所・2回目) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

先日お送りしました例のスポットに、翌週もう一度足を運びました。

天候は良好。一週間経過したことで随分と暖かくなり、

キバネツノトンボの出現条件は満たされたかなと。

 

写真はイワツバメ。よく街中で見かける無印のツバメと違い、

喉元が赤色ではないのですぐに見分けはつきます。

でも、こうして地面に降りている姿はあまり見ないかも?

ここでは何羽かが地面で巣材(?)を探していました。

 

なお、よく橋の下に営巣するとのこと。

実際近くに高架が走っているので、もしかしたらそこにいるのかも?

 

 

 

 

 

そして、再び荒野へ。

キバネツノトンボはこういう枯れた環境を好む傾向がありますが

有力な出現ポイントは毎年ほぼ決まっており、

出る所には出まくりますが、いない所にはいません。

 

 

 

 

 

 

チョウの類も色々と確認。ツマキチョウ(左)にアカタテハ(右)です。

ツマキチョウは春にしか出現せず、恐らくそろそろ終盤かと。

一方のアカタテハはこの先秋まで長い付き合いとなりますが

個体数はあまり多くなく(類似種のヒメアカタテハが圧倒的に多い)

毎年数えるくらいしかエンカウントしていません。

 

ちなみにツマキチョウは、なかなか止まってくれないのもネック。

せめてモンシロチョウと同じくらい翅を休めてほしい……。

 

 

 

 

 

チョウといえば、これは何かわかりますか?↓

 

 

 

 

 

別角度から。前回もご紹介したギンイチモンジセセリです。

翅を開くと、上の写真のように真っ黒でとても地味。

なぜかこの日はご開帳している個体ばかりで

上のようにギンイチryであることがわかる写真を撮るには一苦労しました。

 

 

 

 

 

チョウといえば、ギンイチryと同じくセセリチョウの仲間でこんなものも。

茶色くて地味なチョウですが、本ブログでは新顔となる存在。

ミヤマチャバネセセリといいます。

妥協して登録した感が拭えないケバエ2種と違い、自信もって加えられる新顔です

 

遭遇率・・・1 (イチモンジセセリに似ているけれど、遭遇率は雲泥の差)

インパクト・・・2

美しさ・・・2 (地味なのでそこは仕方ない……)

俊敏性・・・4 (ギンイチryよりも俊敏かもしれません)

 

 

こうした茶色い系統のセセリチョウを見分けるには、翅の模様が一番の決め手。

ただし上記のギンイチryのように模様を見せてくれなかったり

また模様の差についても微々たるものなので、どうしても図鑑が命綱に……。

実際私も、その場では種名がわかりませんでした。

調べたところミヤマチャバネセセリはレア度がかなり高いらしく、

Wikipediaにもはっきり「減少著しい」と書かれてあります。

 

余談ですが、本ブログにおける「ミヤマ」シリーズの昆虫としては

ミヤマセセリミヤマクワガタミヤマカミキリ

ミヤマアカネミヤマカワトンボに続く6種目となります。

(鳥まで含めるともっと増えますが)

ただしこの中で本当にミヤマ(深山)に住んでいるのは

クワガタとカワトンボくらいなもの。他は平地の郊外でも見られます。

ちなみに最も遭遇率が高いのはミヤマアカネかと思われます。

 

 

 

 

 

カラスノエンドウで吸蜜するツバメシジミ

この花、以前の記事で「あまり蜜源としては人気がない」と書きましたが

全く来ないとは言っていない(迫真)。

 

 

 

 

 

人によっては異種間交雑のように見えてしまうかもしれませんが

どちらもれっきとしたナミテントウです。

この場合は黒い方が♂ですが、何分個体差が激しく

色々な模様が出てくるので初めは識別に苦労しました。

 

同じ種でこれだけ外見の個体差が露骨に出てくるのは

それこそ人間くらいのものじゃないかとたまに思います。

福山雅治と私が同じ日本人男性であるように

 

 

 

 

 

これはアシナガオトシブミ。何年か前にここで新顔登録した甲虫です。

この日は1匹しか会えませんでしたが、もう少ししたら増えるはず。

オトシブミの仲間ということで、やはり「ゆりかご」を作ります。

大きさは見ての通り指先サイズ。ただし赤色なので目立ちやすいです。

 

 

 

さて、ここまで色々と昆虫を紹介してきましたが

そろそろメインディッシュを……。↓

 

 

 

 

 

無事、今年も会うことができました。キバネツノトンボです。

まだピークではなかったのか個体数は控えめでしたが

ちょっと探せば見つかるレベルで、あまり苦労はしませんでした。

 

相変わらずコイツのご開帳シーンには魅了されてしまいます。

前にも書きましたが、翅を開いてくれるのは止まってから大体数秒間。

基本的には閉じた姿勢がデフォルトなので

カメラの電源をオンにして飛んでいる個体を追いかけ、

止まったその瞬間に焦点を合わせて素早くシャッターを押す……という

「慣れ」の必要な作業が要求されます。

 

 

 

 

 

ここでは毎年エンカウントしている定番の昆虫ですが、

一歩でも離れると同じ埼玉県内ですら見たことがなく

非常に分布が局所的であることが窺えます。

 

埼玉県に限らず、一体他にはどこにいるんだろうか?

環境省の絶滅危惧種指定は受けていない(ギンイチryは準絶滅危惧種なのに)ので

全国的に見ればそこまで減少が深刻ではないと見做されている模様。

だとすれば、まだどこかに出現エリアがあるはず。

いつか、ここ以外でも会うことができれば嬉しいんですけどね。

 

 

 

 

 

枝かぶりですが、正面から。

やはりジト目で睨んでいるように見えてしまいます。

 

 

 

 

 

こちらはまだ羽化したばかりの個体。

翅が固まっておらず飛べないので、そっと指を添えて持ち上げ、

撮影したらすぐに戻してやりました。

 

こうした羽化直後の個体が見られたということは

やはりまだピーク前だったということなのでしょう。

なら、もう1週間置いたら一体どうなるのか?

そちらの結果につきましてはまた後日お送りいたします。

 

 

 

 

 

水たまりで吸水するセイヨウミツバチの集団。

同じことをアシナガバチやスズメバチの仲間もやりますため

実は雨上がりはちょっと注意が必要だったりします。

(うっかり踏み込んで驚かせたら大変なことになりかねませんので)

 

 

 

 

 

茂みから顔を出したニホンカナヘビ

この鱗のゴツゴツした質感は、やはり恐竜という印象です。

 

最近テレビに登場するCG再現された恐竜は

鳥みたいに毛が生えていることが多いのですが

初代ジュラシックパークなどを見て育った世代だけに

どうしても違和感があったりします。 そんな人は私だけじゃないと信じたい。

 

 

 

 

 

ただ、恐竜が鳥類に近い存在だったという説は有力なようですね。

さすがに獲物を串刺しにするような恐竜はいなかったと思いますが。

 

ちなみに昔私の通っていた美容院の先生は鳥が苦手らしいですが

こういう顔をアップで見たためか、あるいはヒッチコックの映画のせいか……。

 

 

 

 

 

 

冬鳥でありながらまだ残っていたシメ(左)とアオジ(右)。

さすがに今はもう旅立ったと思いますが……。

 

ちなみにここはバードウォッチングスポットとしても有名ですが

その時期にはもっと成果の挙がりやすい別の場所を回ることが多いですし

流石に来冬まで緊急事態宣言が長引いて埼玉から出れないというのはないはずなので

ここで冬鳥を狙う機会はちょっとないかもしれません。

 

 

 

 

 

まあ、ね。人間(?)生きてりゃ背伸びしたくなる時期もある。

無理しない生き方が最近主流にはなっているものの

多少無理してでも等身大以上の自分を見せてこそ

次の成長につながることもある……はず。(弱気)

 

 

 

 

 

最後にちょっとだけ植物情報も。

こちらは散策路に生えるカキドオシの群落です。

在来性の「雑草」で、郊外の公園なんかではおなじみの植物。

若葉を食用にしたりすることもあるそうです。

 

 

 

 

 

こちらはお馴染みのホトケノザの群落。

街中でもよく見ますが、ここでは野焼きした後から生えてきたようです。

貴重な野草が生える環境を維持するべく、毎年晩冬に「火入れ」を行い、

地表に光が差し込むようにしています。

このことからもわかる通り、決してここは手つかずの自然地ではなく

専門知識のある団体の手によって確かな維持管理を受けている場所なのです。

 

恐らくキバネツノトンボが毎年出続けていることも

そうした継続的な維持管理の賜物なのでしょう。

手つかずの自然を持て囃す兆候は確かに一部で見られますが

この首都圏において多くの生きものに出合える環境というのは、

大抵は然るべき人の努力によって支えられています。

そして、これは恐らく都心部の花壇においても同じことが言えますが

そういう維持管理をする人たちは「自粛」なんて多分できません。

理由は簡単。ワンシーズンでも手を抜けばリカバリーに大変苦労するから。

(場合によってはリカバリーできなくなる可能性もあります)

実際、閉園している都内の公園も、現場作業は継続しているはずです。

 

 

 

後日、第3週目をお送りします。

恐らくキバネツノトンボはより多く発生しているはず。

昨年同様に交尾シーンを撮れるか? 楽しみなところです。

 

 

 

【4/25 埼玉県内某所・第2回散策で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオジ、イワツバメ、エナガ、カワラヒワ、キジバト、シジュウカラ、シメ、トビ、ヒバリ、ヒヨドリ、ビンズイ、メジロ、モズ

昆虫類・・・アカタテハ、アシナガオトシブミ、キアゲハ、キタキチョウ、キバネツノトンボ、ギンイチモンジセセリ、シオカラトンボ、セイヨウミツバチ、ツチイナゴ、ツバメシジミ、ツマキチョウ、テングチョウ、ナミテントウ、ニッポンヒガナガハナバチ、ハグロケバエ、ヒメウラナミジャノメ、ベニシジミ、ミヤマチャバネセセリ、ムナキルリハムシ、モンカゲロウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、ヤブキリ、ヤマトシジミ、ルリシジミ

その他・・・ニホンカナヘビ