先日の毒巾着より触ったらマズいやつ(石砂山 ー前編ー) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

先週の日曜は、毎年恒例の石砂山登山へ行ってまいりました。

もちろんお目当てはギフチョウですが、例年の記録を見てもわかるとおり

それに付随する形で撮影しておきたい動植物が多く

加えて移動距離が尋常でないほど長いため、

実は1年の中で一番疲労が蓄積する日でもあります。

まあ、真夏の暑さがないだけマシかもしれませんが、

春の陽気レベルでも、ノンストップで登山すると結構汗をかいたりします。

 

とりあえず登山前に、いつも通りにカタクリの群生地へ。

ここだけなら藤野駅からちょっと歩けば行けるので、苦労はしません。

 

 

 

 

 

株数に差はありますが、こういう道路際の斜面なんかにも

普通にカタクリの姿が確認できます。ただ、カタクリがちょうど満開期だった一方、

残念ながらイカリソウはほとんど確認できませんでした。

あれはカタクリの次に花期が来る植物ですので、

イカリソウを撮りたいのであれば、カタクリは基本諦めざるをえないんですよね……。

 

 

 

 

 

バスに乗るために駅に戻ったところ。

いつものツバメたちのほか、イソヒヨドリ♂の姿も確認できました。

いつも見かけるわけではありませんが、海にしかいないわけではなく、

相模湖周辺では決して珍しい存在ではありません。

 

バスに乗り、やまなみ温泉まで移動。

そこからは徒歩で登山口を目指します。

(本来は乗り合いバスを利用した方が利口です。念のため……)

 

 

 

 

 

登山口までの道中には、スミレやテンナンショウがたくさん。

スミレの花で吸蜜するビロードツリアブの姿を確認できました。

名前の由来は、ホバリングしている時が吊り下がっているような形だからですが

こうしてスミレにとまっている時が、一番「ツリ」アブらしいかもしれません。

 

 

 

 

 

 

登山口に到着。やや暖かくなってきていたこと、

昨年の権現山での件もあってヒルがトラウマになっていることもあって

靴下で脚をガードしました(笑)。 一度この格好で職場に行ってみたいですね。

 

なお、無駄とは思いつつポケGOを起動してみましたら

山道の一角ではGPSが反応し、ポケモンも出現しました。

相変わらずポケストップは存在しないので、あんまり起動する価値はないですが……。

(なお、やまなみ温泉から登山口までの間では一部GPSも電波も完全に途絶えます)

 

 

 

 

 

もう6年連続でここを歩いていますが、遊歩道が狭いので

毎度苦労しています。冗談抜きで油断すると滑落する恐れがありますので(汗)

特に落ち葉が多いときは危険。滑りますし、地形が見えにくくなるリスクもあります。

 

 

 

 

 

P900のおかげもあって、遠方のカケスもこのとおり。

枝かぶりにもかかわらず従来よりくっきりと撮れました。

顔が陰になってしまったのはちょっと残念ですけどね。

 

 

 

 

 

山中のスミレは大半がタチツボスミレですが、

時折別の種を見かけることもあります。写真はナガバノスミレサイシン

ここより、むしろ高尾山のほうがよく見かけるかもしれません。

 

 

 

 

 

いつも通りテングチョウが出現。しっかり押さえておきます。

ミヤマセセリもいたのですがこの時は逃げられました(汗)。

後編までお待ちください……。

 

 

 

 

 

これはどうやらスギタニルリシジミのようですね。

この時期によく現れる昆虫ではありますが、個体数は少ないはず。

でもこの日は割と頻繁に遭遇したような気がします。

 

 

 

 

 

シュンランはそこそこ確認できました。

例年より少し山全体の花期が遅れていたようで、

年によってはまったく花を目にしないこともあったので嬉しいですね。

 

ところでこれ、葉っぱだけ食い千切られているようですね。

シカあたりが葉だけ食って花を残していったのか

花が伸びてくる前に葉だけを食っていったのか……。

 

 

 

 

 

山道沿いのシュンラン……なのですが

斜面の下に向いて咲いているので、このままではちゃんと撮れません。

こういう時に、Nikonの360度回転するモニターが役に立ちます。

 

 

 

 

 

こういうことも可能です。ちなみにうっかりカメラを取り落とすと

そのまま斜面を転がり落ちていってしまうため、結構緊張していました。

いや、買ったばかりでオシャカとか勘弁してください……。

 

 

 

 

 

今週は冷たい雨が降ることも多かったですが

この日はスッキリ晴天で、少なくとも山中にいる間は穏やかでした。

後で藤野駅に向かっている途中に若干ぐずついて通り雨がありましたが

気候も温暖で、昆虫の観察には適した条件です。

 

頂上まであと少しという所に来ていますが、果たしてギフチョウは?

 

 

 

 

 

ヒトリシズカの生える風景

「静か」ではあるかもしれませんが、やはり「独り」ではないですね。

 

 

 

 

 

頂上もあと少しというところで、見覚えのある青黒い昆虫に遭遇しました。

何年か前に1度遭遇したことのあるヒメツチハンミョウですね。

(その際は「ツチハンミョウ」と記載しましたが、どうやら誤りだったようです)

黒が基調ですが、ほのかにメタリックブルーを帯びており、

強い日光を浴びるとキラリと輝いてなかなか美しかったりします。

ゆえにうっかり手で持って撮影・観察してみたくなってしまいがちなのですが……。↓

 

 

 

 

 

岩にしがみついたところを持ち上げて素早く撮影し、決して手で触れないようにしました。

(死んだふりをしていたらしく、一時的に動かなくなりました)

実はこの昆虫、カンタリジンという毒を持っており、触ると炎症をおこすのだとか。

右脚の関節から出ている黄色い液体……これこそがその毒。

飲み込んだりしなければ大丈夫などという生易しいものではなく、

触れただけで水ぶくれのようになるらしいので、興味本位で触れるのは厳禁です。

 

首都圏の平地ではそう滅多に出合うような昆虫ではありませんが

同じ毒をもつマメハンミョウという昆虫(本ブログでも既出)は平地でも稀に出ますので

特に犬の散歩などをする際には注意が必要です。

 

頂上到着後の記録につきましては、後編でお送りいたします。

 

 

 

≪後編に続く≫