私はよく、

「自分は本当は精神病などではないのだ。精神病でもないのに病院へ入れられた。精神障がい者として生きていくことに甘んじているのだ」

などと考える。これも精神障がい者特有の妄想の一つである。

江戸時代、朝食前にとる軽い食事を「茶の子」といった。「お茶の子サイサイ」などと言う言葉があるし、また森鴎外の「阿部一族」に、「元亀、天正の頃は城攻め野合わせが朝夕の飯同様であった。阿部一族討ち取りなぞは、茶の子の茶の子の朝茶の子じゃ」というくだりがある。その鴎外はまんじゅうをご飯の上にのせて食べるお茶漬けが好物だったそうである。テレビで偶然知った。

専門家になり損ねた人間、何事も中途半端にしかできない人間の苦痛や不安というものを人は容易には理解できないと思う。私は向精神薬を何錠か飲んでいるが、まったくこの手に職がつかない事への苦痛や不安を和らげるために飲んでいるのではないかと、時々思うくらいである。