精神病の症状を大まかにそして比喩的に言うなら「訳がわからない」という言葉で言いうる。「訳がわからない」という精神病特有の症状を私は次のように考える。
「訳がわからない」というのは理屈に合わないとか不快に感じられるとか常軌を逸しているとか言うのとは違うだろう。
「訳がわからない」というのは病気の症状なのである。脳という臓器が不調をきたしていてそれが外部には「訳がわからない」という症状となって現れるのである。「この人は訳のわからない人だ」と思った時、理解できないものに対する嫌悪ばかりが頭の中を跋扈するのである。「これは病気の症状なのだ」と考えることができれば、少しは冷静に、客観的になる事ができるのだ。
しかし、これらは人が精神病を理解したいという意思を持っていることを前提とした話である。精神障がい者を理解することが必要だと思う人など一体どれだけいるだろうか。大部分の人は精神病という言葉を聞くと冷やかな一瞥を投じるだけである。精神病に対する無知と無関心とを要約した言葉が「訳がわからない」なのである。「訳がわからない」という言い方は案外肯綮に中っているのである。