各学校は大中小問わず卒業式のシーズンを迎えている。去年は3月上旬からの突然の緊急事態宣言、かつ学校閉鎖が狙い撃ちにされたため、卒業式自体がなくなった。1月の最後のゼミで、「じゃ、卒業式で」と別れた学生たちとはいまだに会えていない。社会人一年目はさぞ大変だったことであろう。今年は、文科省は授業は対面、卒業式・入学式は挙行するようにと指導しているので、大半の学校法人は卒業式を限られた方法で実施することであろう。

 

小中の義務教育と高校・大学の卒業の意味は全く違う。各家庭は進路を選択し、卒業によって個人がそれぞれ違う将来を目指していくからだ。とりわけ、大学は成人になり、大多数が就職するわけだから、家庭にとっても巣立ちとなる。コロナ禍の影響で、満足のいく進路選択はできなかっただろうが、しかし、学生は大学を巣立っていく。実に感慨深い。

 

「仰げば尊し 和が師の恩♫」という歌詞があるが、大学では歌うことはない。大学には建学の趣旨があり、それに沿った校歌やキリスト教などの学校では賛美歌も歌われることであろう。大学教員は、小中高と異なり教師と呼ばれることを嫌う。まして、尊い恩など押し付けて歌わせることはない。大学4年間、実に厳しい指導をしてきた。言葉遣い、手紙・メールの書き方から始まり、レポートや授業での発言の仕方など実に広い教育・指導であった。

 

大学は学生を教育し、その大学のブランド価値を背負わせて社会に送り出すことこそが使命。その中で、学生に「我が師の恩」と思ってもらえれば、それはそれで幸せだが、まだまだそういったことはないなあ。たぶん、もう面倒くさいこと言われなくなって、ラッキー!とでも思っているはずだろう。