毎年2月に入ると、少し憂鬱になる。前年末までの確定申告があるからである。専任教員の人たちのやり方は様々。勤務校の給与所得しかない教員は、勤務先の年末調整で終わるので、何もしなくてもいい。しかし、他校の非常勤講師、セミナー・講演会の講師、雑誌等の原稿料、企業の社外取締役など副業は様々で、確定申告の対応もいろいろ。支払先が多く、副業収入が勤務校の給与収入を超える教員は、事業所得と称して個人事業主、青色申告を行う者も中にはいる。

 

大学教員の様々な業務負担を考えると、勤務先の給与を超えるような副業収入なんて考えられないが、テレビの解説者や社外役員を兼任して大稼ぎできる人はとてもうらやましいが、学生や他教員に影で何を言われるかが怖くて、実際、自分がやるかと言えば、やりたくない。やる人は複数を掛け持ちでこなし、やらない人はやらないというのが現場の雰囲気です。

 

それほどまでとはいかなくても、後輩や先輩に頼まれて非常勤をやったり、セミナーの講師を引き受けたり、通常の研究・教育の範囲で副収入は発生する。非常勤の授業は給与、セミナーなどの講師は謝金となり雑所得扱いとなる。双方ともに源泉徴収されるが、10%未満で、結局勤務校の年末調整後に確定申告をして源泉徴収額と実際の収入合計による所得税の累積税率との差額を支払うことになる。

 

給与所得は必要経費の控除はできないが、雑所得となる原稿料や謝金はその収入の理由となった作業にかかった経費を控除できるので、やる人はとても細かに申告する。原稿執筆や講演会のためのコピー代、書籍購入代、パソコン等の購入費、交通費が払われていない場合は交通費の実費、自宅で原稿を書いたり、資料を作成した場合は光熱費や家賃相当額の案分費用を必要経費として申告すると雑所得の収入がきれいに減額されていく算段。

 

そりゃ税金を払うことに何のためらいもないが、そこまで細かくやりますか?ってことです。むしろ憂鬱になる理由は、勤務校の年末調整のために山ほどの資料を提出し、申請書を記入したのちに、社会保険控除等で税還付があった後に、その他収入の支払調書をまた提出して、申告書を記入して、税金支払いをするというとても無駄な作業。マイナンバー制度でもう少し簡単にできないものでしょうか?

 

というわけで、今年は必要最低限の必要経費を申告し、確定申告書を作成したところ、年末の還付金を確定申告による支払額が下回ったので、ひさしぶりに「勝ち」。まあ、勝ちと言っている段階で心の貧困だと思いますが、この年末調整から確定申告までの徒労感はサラリーマンでは味わえない無駄なもの。