Analysis of football data_サッカーデータ・スコア解析ブログ -4ページ目

Analysis of football data_サッカーデータ・スコア解析ブログ

ヨーロッパ7大リーグ出場全選手のデータを使って選手やクラブの解析をしています。

ついでに英語の練習中
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どうも、Schusseです。

キャリック初采配はこれ以上ないほど良い結果となった(細かいこと言うと前にも暫定監督したことがあるから、厳密には初では無いが).

巷には、キャリックを賛辞する記事が溢れている。

 

しかし思う。

本当にそうか、と。

あまりに楽観的、かつ短絡的過ぎないか。

 

そこで、少しこの点を掘り下げて考えてみたい。

 

まず第一に言えるのは、守備組織の構築だ。

シティにほとんど攻撃で仕事をさせなかった。これは事実である。シティのExGは0.3程度であり、ユナイテッドは一方で2を超えていた。

シティの攻撃陣がここまで抑え込まれたことはほとんど無いのではないだろうか。

 

特に言われているのはポケットの守備の仕方である。フレッチャー暫定監督の時(バーンリー戦)はここが問題となっていた。これは、5バックから4バックに移行した際に起こりがちな問題である。

ポケットというのは、ピッチを縦に5分割した際に、中央レーンと大外レーンの間に位置する左右の2つのレーンのことだ。つまり真ん中でも外でも無い中途半端な位置、ということになる。5バックの場合は勝手に5レーンを一人ずつ守備者がいるので、ポケットには基本左右のCBが位置することになり、穴はあまり空かない。

しかし、4バックの場合はそうはいかない。ポケットはサイドバックとCBの間に生じるため、ここを誰かが埋めなければならない。

まず一般的なのは、同サイドのCBが出て行って埋めるタイプだ。この場合は当然中央がCB1人となって手薄になるので、その分を逆側のサイドバックが絞って埋めるか、CHが下りてきて埋める。

 

もう一つは、ポケットに侵入して来た選手にそのままCHが付いて行って埋めるパターンだ。これはCBが中央からいなくならない利点があるが、CHが大変なのと、CBの前のスペースが空く危険性がある。

 

ちなみに他には、相手ウィングの相手を自軍ウィングが担当し、サイドバックがポケットに位置取るということも可能ではあるが、どちらかと言うと即興的だろう。

 

バーンリー戦の一点目はまさにこの形から生まれており、ポケットに侵入して来た選手にカゼミロが付いていくことが出来ず、受け渡そうにも右CBのヘブンも横スライドが遅れてしまってクロス→ヘブンに当たってオウンゴール、という形だった。

カゼミロが受け渡そうと思ったけどCBがいなかったのか、それともボールウォッチャーになってしまって飛び出しを認識するのが遅れたのかは分からないが、ポケットのケア意識が不十分であることが窺える局面となった。

 

 

では、シティ戦ではどうだったのか。

見たところ、ポケットのケアはきちんと出来ていた。

が、やり方はかなり特殊で、(もちろん局面によって異なるのだが)なんとポケットをウィングが埋めるという形が反復的に見られた。これはかなり珍しい形と思う。というか、こんなこと普通はやらないし出来ない。これをやるには、相手ボールになった時に毎回ウィングが戻って来る非常に高い守備意識が必要だが、大抵チームでも最大に攻撃意識の高い選手がウィングに配されることが多く、ここまで守備意識を高めることは並大抵ではない。

また、単に大外を上下動するのではなく、ポケットを埋めるということは横移動もしなければならず、負担はさらに大きい。さらに、ウィングは常に攻撃をしたい物であり、相手ゴールから遠ざかることは本能的に嫌がる。

 

そのため、こんな戦術はそうそう見たことが無い。

今回これが成立したのは、両ウィングにサイドバック、もしくはウィングバックを務めることが多かったドルグとディアロを配置したためだろう。ここにキャリックの工夫が垣間見える。

 

さらに驚くべきことに、ディアロが戻れない場合はCFのエンベウモが埋めていた。

シェシュコでもクーニャでもなく、本職ウィングのエンベウモをCFでスタメン起用したのは驚きだったが、このような意図もあったのだろう

それらの面で、スタメン選びという観点でキャリックはきちんと考えて采配を振るっていたと言えるだろう。

 

ただ、この戦術は他のチームには採用出来ない。

基本的には、大抵の相手に対してはユナイテッドが攻撃の主導権を握る形になるだろう。そうなると、ボール非保持時に毎回ウィングがこのpositionを埋めるのは現実的ではない。どちらかと言うと、プレミアではネガティブトランジション後に素早く攻め込まれるケースが多いので、そのような場面でどのように守るのか、が重要となろう。

(その意味で、最終ラインの前とポケットの両方をケア出来るカゼミロが今季で退団というのは本当に痛いのだけど…。これでネベスは必須になった)。

 

 

もう一つ、今回見過ごせないのがシティのスタメンだ。

いつもならヌニェス、ディアス、グヴァルディオル+一人、で構成されるべきところ、この3人の全員が不在だった。ストーンズも不在で、最終ラインは若手3人+アケという陣容だったが、現時点ではまだ対人能力もビルドアップ能力も未完成であり、従ってユナイテッドはボール奪回時に比較的スムーズに最終ラインの前までボールを運ぶことが出来ていたし、ボール非保持時もプレッシャーを掛けることで効果的な前進を阻むことが出来ていた。クサノフは裏を取られた時のリカバリー能力は見事の一言だが、前に出てスペースを潰す守備にはまだ積極性を欠くし、ラインコントロールが出来るわけでも無いのでユナイテッド攻撃陣はほぼノープレッシャーであった(自由に攻撃させた挙句、最後の最後でクサノフとドンナルンマが自力で防ぐという自作自演的守備にならざるを得なかった)。

 

また、後ろのビルドアップが出来ない時はロドリがそこをカバーするが、彼は怪我明けでどう見てもデブっており、全く精細が無かった。このように、後ろ5枚がほぼ機能していなかったことが、ユナイテッドが上手く支配出来た要因であり、後ろ5枚が機能していなかったのは(もちろんユナイテッドが良かったこともあるが)どちらかと言うとシティの問題である。

 

また、これによりベルナルド・シウバまで下りてきてパス出しに参加したため、受け手がいなくなるという悪循環に陥っていた。彼がいないと、前線はポストをしないハーランドと、両翼に貼っているドク・セメンヨとなり、受け手がリコ・ルイスとフォーデンしかいなくなる。だが、この二人もあまりオフザボールで動き回るタイプではないし、ルイスはボールが入ってもそこからの反転や判断はまだまだなので効果的な攻撃オプションにはなれていなかった。

さっさとラインデルス入れたら良かったのにね。ギュンドアンが懐かしく思っただろう、シティファンは。

 

もう一つ痛かったのは恐らくヌネスで、彼がいれば右サイドは大外レーンを二人で使うことが出来た。そうすればポケットのカバーに入っているドルグを大外に釣り出せるので、ポケットのスペースを空けることが出来ただろう。

 

実際には、この日は両サイドバック共にボール保持時に中に入る、むしろは後ろのケアをするばかりで、サイドバックに2:1を仕掛ける場面が少なかったので、ウィングがポケットを埋める戦術が機能した。

だが、大抵のプレミアのクラブはサイドバックが外を突いてくるので、その意味でもこの戦術は取れないだろう(ただ、時節のアーセナルはどちらかと言うとSBにCBを置くので、多少は流用出来る可能性がある。と言っても、ティンバーとかは放っておいたら最終ラインまで仕掛けてくるのでより危険ではある)。

 

 

次に気になるのはCHのペアである。カゼミロとメイヌーは非常に良かったが、ウガルテをどう使うのか。

彼はボール奪回能力は高いが、基本的には常に一撃必殺のボールリカバリーを狙っているので、常に飛び出してスペースを空ける。そのため、奪えなかった際に広大なスペースを相方(主にカゼミロ)が一人でケアしなければならなくなり、全てが破綻する。

そのようなケースを何度見て来たことか。

 

プレミア下位相手では、シティ戦以上に前からプレスを掛けるケースは増えるだろうから、プレスに行くかどうかの判断、プレスを掛けてかわされた時のマネージメント、プレスのかけ方、などはこれから整備していかなければならない。

とは言え、少なくともシティ戦ではその辺り(誰が誰に行くか)はきちんと整理されているように見えた。メイヌーの、誰に付くか、スペースを埋めるか、と言った判断は全体的に間違いなく出来ていたように思う。

 

 

 

最後の課題はクーニャ(とマウント)だ。

ハッキリ言って、4バックだとこの二人に最適なポジションが無い。

クーニャをサイドに置くことは愚策であることがバーンリー戦で明らかになっている。クーニャのベストポジションはシャドーであることは火を見るよりも明らかであるが、4-2-3-1にはそのポジションは存在せず、代わりとなるトップ下はブルーノ以外の選択肢はありえない。

そうなると自然と、ワントップ以外の選択肢は無くなる(4-2-2-2という手はあるが、それだとエンベウモとディアロが使いづらい)。その場合は、シェシュコ、ザークズィー、ホイルンドを全員使うことが出来なくなるというデメリットが生じる。

 

この、クーニャ問題をどう解決するか、というのがキャリックのもう一つの課題である。とは言え、シェシュコを控えにしてワントップで使うしか無いと思うけどね。

マウントはブルーノとメイヌーの控えだろう。

 

 

 

さて、移籍も考えよう。

4バックにしたことで人数が足りなくなるポジションが存在する。

ご存じの通り、左ウィングだ。

CFが3人もいる一方で、左ウィングが出来る選手はドルグしかいない。しかし、彼は攻撃力が不十分だ。スタメンで言えばエンベウモを左に回すことで解決できるが、もう一人左ウィングの専門職が必要なのは明白である。

 

しかし、ユナイテッドはアモリム体制移行に伴い、この専門職を悉く排除してきた(ラッシュ、サンチョ、ガルナチョ)。そのうち二人はレンタルなので来年には戻って来るが、どちらにしろ戦力にはならない。そのため、左ウィングの補強は必須であるが、冬に良い選手は出ないので夏まではマウントを控えにすることで対処するしかないだろう。

 

ちなみに、バルコラの噂が上がっているが、取れるなら絶対行くべきだ。彼を越える左ウィングは数えるほどしかいないし、その中で規律もあって獲得可能な選手はほぼ存在しない。PSGがバルコラよりクヴァラの方がいらないよ、というようであればそれでももちろん良い。

 

だが一番欲しかったのはセメンヨなんだよなぁ。アフリカ人ばかりになってしまうのは不安ではあるが。

 

 

また、カゼミロが退団することで、中盤センターも補強の必要性が増した。ネベスは確実に必要で、それプラス夏に1人必要だ。当然トップターゲットはウォートン、次善がエリオット・アンダーソンとなろう。夏はウォートン+バルコラに全額使っても良いくらいだ。サンチョ、オナナ、ラッシュ、ホイルンドがある程度の値段で売れれば良いけど。

 

もう一つ気になるのはCB。正直ヨロがほとんど使い物にならなくなっている。マグワイアの契約延長次第だが、左利き、右利き本当は両方欲しい。スタメンはデリフト+リサマルで良いが、どちらもそれなりに怪我が多い。なので本当は、グェイ取ってヨロをレンタルで修行させたかったんだよなぁ。ヘブンも修行に出したいし。

 

ということで、セメンヨとグエイがこの冬には欲しかったのに同じことを別のクラブにやられてしまった。これはかなり痛い。

どうせ冬は動けてもネベスくらいだろうから、これは確実にやってほしい。その上で、夏に上記(バルコラ+ウォートン、可能ならCB一人)取ってくれれば大成功だ。とりあえずどうなるか見てみようか。(左SBはショーがどのくらい動けるか次第)。