
ゲートが開いて、わずかコンマ1秒でアドマイヤジャスタのダービーは終わった。後ろ重心のスタートで最後方からのレースである。先行すれば何かが変わるのではという期待は、あっけなく幻と化した。そこからの2分20秒は悲しい足掻きである。
直線。離し逃げしたリオンリオンをロジャーバローズがとらえて先頭に立ち、そこに早めに動いたダノンキングリーが襲いかかってきた時点で、サートゥルナーリアの敗戦とダノンキングリーの勝利を確信した。唯一発した言葉は「ダノン差せ!」。しかし、ゴールの瞬間、差したと思ったダノンキングリーの内でまだロジャーバローズが粘っていたことを確認し、がく然とした。そう、この伏兵ロジャーバローズこそ、良太郎&ボブ軍団が送り込んでいたライバルPO馬だったのだ。
3強対決と謳われ、3強で決まることは稀なのは百も承知している。そして、その差し脚鋭い3強に割って入るのは、先行馬が一番穴っぽいこともよく分かっている。だからこそ、ファンもミルコで先行できればの期待を込めてアドマイヤジャスタに打倒3強の望みを託したのだろう。結果的には、そこでジャスタが演じるべき役割を、ロジャーバローズが演じただけなのだが…。ロジャーバローズは確かに過小評価だったと思う。3歳になって徐々に力をつけ、スタミナに不安がない中で絶好の最内1番を引き当てた運も持ち合わせていたのだから、穴馬の資格は十分だった。しかし、だ。2、3着に粘り込むならまだしも、ダービー馬である。世代最高峰のレースの明暗に枠順と展開が大きく影響してしまったのは本当に悲しい。
馬券で勝とうが負けようが、ダービー馬を称えるのが生観戦の醍醐味なのだが、こんなむなしい気持ちになるダービーは初めてだ。
さあ、飲んで飲んで早く今年のダービーを忘れよう。府中本町でのやけ酒の宴は22時まで続いたのだった。