サッカーで2対0は最も危険な点数らしいが、W杯の、それも決勝トーナメントでそんな経験がない日本は、何が危険かどうかではなく、千載一遇の勝機を生かすためにただただ攻め続けるしかない。これが落とし穴なのか…。そこからのベルギーの逆襲はご存じの通り。最初の失点は誰も攻められない不幸な形だったが、2点目は日本の弱点である高さを交代選手に突かれての計算し尽くされた同点劇だった。
最後まで3点目を取るために攻撃的に戦った日本の姿勢は、ポーランド戦のボール回し騒動を忘れさせるほど頼もしくも誇らしげであった。が、ラストプレーに西野監督が言うところの「W杯の怖さ」であり「厚い壁」があった。自陣ゴール前からのカウンターで全力疾走で日本ゴールに向かうベルギー攻撃陣はまさに“赤い悪魔”。どこにそんな余力があったのかと思うスピードは、これぞ世界3位の底力であり、延長戦に希望をつないだと錯覚していた日本は一気に絶望へと追いやられた。
ふと、12年の凱旋門賞を思い出した。日本競馬の長年の悲願である凱旋門賞制覇に向けて、オルフェーヴルがいち早く抜け出し、誰もが勝利を確信した瞬間、最後の最後に大きくヨレて、いったん交わしたはずの4歳牝馬ソレミアに差し返されたシーンだ。
歴史の扉はそこに手をかけることはできても、簡単には開かない。その重さこそが何十年もかけて積み上げてきた伝統の重みなのだろう。これまではそこに手をかけることすら難しかったが、今、一度手をかけ、その重さを実感したことで、その感触は経験となって確実に次につながる。こうした経験と実積の蓄積と継承がいつか実を結ぶことになる。ドーハの先にはジョホールバルがあった。日本のサッカーも競馬も、まだまだ未成熟だから面白い。
さて、POG。
週初めの月曜から朝までコースでW杯で盛り上がってしまった今週は、もはや週末の競馬のことなど考えられないほど心身ともに疲れているが、それでも競馬はある。ワタシのメーンはもちろん日曜中京の新馬戦で、1週スライドした我が1位ダノンチェイサーがここから「大物ディープ産駒」と話題にされて出発するのだ。
気になるのは、体調面より馬場状態。今週は台風7号の影響で中京競馬場あたりは土曜まで傘マークが付いている。ということは、重馬場は避けられそうにないか。あまり馬場が悪くなると能力うんぬんではなく巧拙の差が出てしまいそうで嫌だが、幸い、ダノンチェイサーは長友ばりに体幹がすぐれているらしいので、どんな馬場になってもバランスを崩すことなく上手く走ってくれるだろうと前向きにとらえている。レースでのあらゆる困難を糧に、クラシックへの最初の扉をしっかり開いて突き進んでほしい。