阪神大賞典でのオルフェーヴルの逸走、そしてその後の追い上げは、馬券を買っていたファンも同時に天国と地獄を体験した。だからこそ、そのハラハラドキドキ感は大きな衝撃としてメディアも1面級の扱いをした。
負けて強し。同情論と負け惜しみの引き換えによく使われる言葉だが、今回ばかりはドンピシャな表現だった。一度は止まりかけた絶体絶命の状態から大外をぶん回しての2着確保は、誰の目にも圧倒的な能力の違いを植えつけた。ただ、負けは負けである。1着に投じられた22億超の大金とファンの夢は、この愚かな走りですべて紙くずになってしまった。この責任はあまりに重い。
王者の負け方として、自滅ほど悲しいものはない。力勝負で屈したのなら新たなライバル出現という展開を期待できるが、自滅では勝ち馬の尊厳さえも奪ってしまう。何とも自分勝手な王者を誕生させてしまったものだ。
ただ、オルフェにとってもこの代償は大きい。調教再審査になったことで天皇賞は白紙になり、さらに今後の凱旋門賞に向けても折り合いという大きな課題を残した。思い返せば、この馬の兄ジャポニズムは折り合いを忘れた暴走王であり、オルフェもたびたびその血の危うさを覗かせてきた。今回の逸走劇がその血の覚醒につながるものならば、ファンが思っている以上に陣営にとっては深刻な事態になるだろう。
ちなみに、ブログで印を公開せず、「オルフェーヴルにナムラクレセントを絡めて遊んでみる」とした私の馬券は見事に的中。12点買いで3連単1万8590円。多くのファンとは違った視線で逸走を楽しんでしまったのだった。
その直後のスプリングSでは、我がストローハットがゲートが開いた瞬間に立ち上がって出遅れ、馬券はコンマ1秒でジ・エンド。オルフェなら巻き返せるのになぁ、と思いながら直線の悲しい足掻きをジッと見守った。
あれも競馬、これも競馬か。