僕にとってヴォーカリストとは非常に複雑なものである。

作家というのはヴォーカリストと息を合わせなきゃいけないクセにどんなに美女で優しい子でも恋がタブーなのである。

凄く損じゃないか!

勿体ない!

…困ったもんだな。


夏がヒシヒシと近付いてきてるのである。
大震災から早2ヶ月。

正直、二次的被災を受けた音楽業界の状況は何も変わっていない。

最悪。商売としてはもう底の底。

こんな中で収入を求めて始めたアルバイト。

ろくでもないアルバイト。

扉をくぐれば自分は凡人。

フリーター扱い。

自分のプライドを捨てた世界。

扉の内側から言えば何もない糞フリーターが自分に偉そうなことを言いやがる。

だけども、技術介入ゼロのこの仕事の中では自分はただの若者。

所詮都合のいい使い捨てに過ぎない。

仕事に誇りが持てないというのはどんなに面白くないことか。

自分が本気で勝負できる仕事とただこなしていく時間を売る仕事では

持ち合わせる核の質がまるで別物。

男として、人として、これは泥沼地獄。

逆にいえば、自分はこんなチンケな仕事にすら耐えられない下衆。

その原因こそ脳裏に過ぎる欲求。

「もっと自分にはできることがあるはず」

「ここより自分しかできない仕事が絶対にある」

「ここは7時間で6000円、作曲の仕事ならば7時間で30000稼げる」

「1/5の仕事の価値。」

そういう自分の価値とタイムイズマネーを求めている。

7時間で6000円なら4万張って7時間突っ張るパチンコのがまだ価値がある。

腐ってる考えかもしれないが、自分の価値観はそう応える。

そう。俺はこんなクズでもクズなりに歩きたい自分の道がある。

ゆとりだと言われても構わない。

金も欲しいが、一番欲しいのはその場所時間に生きてる感覚だと自覚している。

上を知ってるからにはその上の場所へ、そして更なる上へ。

無理な突っ張りも玉砕覚悟でやってみるしかない。

若手は玉砕覚悟じゃないと音楽業界では生きてくのは困難な時代が遂にやってきたということなんだろう。
おととしの今頃、僕は独り暮らしを始めた。

ちょうどこの日記の一番最初あたりの記事がそこらへんだ。

当時、不安だったし、寂しかったし、毎日新しい試練がやってくるし、

贅沢とはいえないそういう環境に居ながらも前進してた感触は確かだった。

そして夏ごろ、家に住人が増えた。

2人暮らしになった。

人助けというか、変えてあげたかった。

自分だけじゃなくて相手をもっと立派にしてあげたかった欲望が率先していた気がする。

そんな頃、会社を辞めざるを得なくなった。

ここからが下り坂の始まりだった。

僕は泣いていた。

色んな人への感謝を形に出来ないことで

苦しくなっていた。

そして自分を生かしていくのも精一杯になった。

相手を変えることが頓挫した。

失業手当で数ヶ月は生きられた。

やがてそれも限界がやってきた。

身の回りの仕事道具を売り、

なんとか耐える生活になった。

そんな状況でもフリーランスとなった僕の身には仕事の量は安定せず、

行く先不安な毎日がただただ過ぎていった。

そして僕は家を出る理由を探していた。

このまま借金が増えていくことが怖かった。

そして、半ば強引な理由で家を解約した。

相手とは別々の場所で暮らすことになった。

結果的にただ僕は迷惑を掛けただけで

変えるどころか悪いことをしてしまった。

そんな中、友人と始めた会社で成功をおさめるべく

出来ることをやった。

これからだというときに

天災に阻まれた。

やりたいことは成功に結びつかなかった。

軌道には乗らなかった。

会社のランニングコストだけがかさむ毎日。

何も得られない毎日。

親を精一杯の笑顔でどうにか安心させて、

僕は自分が生きることだけに注力せざるを得ない

何も目標のない廃人だと感じるようになった。

かつての自分はここにはない、

夢を追っていた自分の姿はない、

むちゃくちゃだと感じる毎日だ今でも続いている。

僕にはもうなにも残っていない。

生きるために音楽をしている。

生きるために就職をしようかとも思って

昨日応募した。

これでいいのか本当にと自分へ問いただす日々。

僕は何をしたいんだろう。

よくわからない。

それでも明日はやってくる。