『ねんね~おころりおころりよ~ともちゃんよいこだねんねしな~』
それが私の初めて聴いた歌。
私の初めて触れた音楽。
柔らかな声、優しい顔、
溢れんばかりの愛に包まれて、私は静かに眠ったものだった。
物心のつく前であったことは確かだが、その大きな愛は
身体が覚えている。
いつからその愛に
押し付けがましさを覚え、嫌悪感を募らせ、反抗してしまったんだろう。
いつから愛を受け入れられなくなったんだろう。
「ねんね~おころりおころりよ~ともちゃんよいこだねんねしな~」
…気を失っていたのか。
なんだ…
温かい。
あの時と同じ感じだ…
今、私は
優しく、温かい愛に包まれている。
目を静かに開けると、そこには血を流しながらも、優しい顔で子守歌を歌うダンスの顔があった。
渋谷はダンスに抱かれていた。
ダンス「あ、起こしちゃいましたか…」
渋谷「ここ、どこだ…?」
うす暗い場所だ
ダンス「線路下のトンネルです。渋谷さん背負って病院に行こうと思ってたんですけど、私体力なくて」
ダンスは自虐を冗談ぽく言う、この和やかな雰囲気に何度救われたことか。
ダンス「私がしゃがんだ時に渋谷さんすごく苦しそうな顔してたんで、つい…」
渋谷「……続き、歌ってくれる?」
ダンス「え?」
渋谷「……聞き返すんじゃねーよ…。」
渋谷の裏拳はゆっくりと、
そして優しく、
ダンスの頬に静かに触れた。
拳には、愛が詰まっていた。
そして、その愛はダンスに伝わった。
ダンスはにこりと微笑んだ。
ダンス「それじゃあ、歌いますね。」
渋谷「ああ。」
ダンス「ねんね~おころりおころりよ~ともちゃんよいこだねんねしな~………」
渋谷は目を閉じた。