交流は計画通りに始まった。今現在時間の余裕が無いので、細かいことは省くけれど、この交流期間の様子を大雑把に。心に残る瞬間や気持ちが動かされるような瞬間が、うちに来るこの子だけではなく他の子供達とも沢山あって、書ききれないのが残念。

うちに来るこの里子ちゃんのことは、このブログではアイ君と呼ぶことにします。


とにかく、体も頭も心もパワー全開で、めちゃくちゃ濃い1週間だった。かなりアドレナリン出ていたと思う。あと、日を追うごとにオキシトシン。

始めのうちアイ君的には、なんだかよくわからないけどいっぱい遊んでくれる大人が来たな。とりあえず遊んでもらっておこう。くらいな感じだったと思う。それが2日3日と日を追うごとに、あれ?もしかして僕に会いにきてるの?いつも見てくれてる?みたいになってきた。施設のお庭で遊びながら、数メートル走ってはチラリと私の方を見て付いて来ているか、自分のことを見ているか確認していた。かわいすぎる。まだあまりおしゃべりしはないのだけれど、こちらの言うことはかなり理解できている様子。

3日目は2人で近所の公園に遊びに行って、途中で仕事を抜け出してきた夫も合流して3人で遊んだ。丸太を繋げた太い平均台のような遊具でバランスを取りながら歩くのを私が手をつないで手助けする、というのがこの日のお気に入りだったようで何回も何回も繰り返した。この日の別れ際にフニャーと泣きそうなそぶりを初めて見せた。

4日目はうちへ保母さんとともに遊びに来て、私たちが彼の好みや雰囲気をなんとなく思い描きながら用意したおもちゃで楽しそうに遊んだ。別れ際には大粒の涙をこぼしていた。

5日目、私が9時にアイ君を迎えに行き、電車を乗り継いでうちへ連れて来た。うちで遊んでお昼ゴハン食べて、お昼寝もしておやつを食べてからまた電車を乗り継いで17時に施設へ送り届けた。行き帰りの電車の中がとても大変だったけれど、うちでは楽しく過ごしてくれた。別れ際には大号泣で、私も泣いてしまった。翌日はもう予定していた引っ越しの日。施設の保母さんたちからも予定通りの引っ越しにゴーサインが出て、ここで「明日迎えにくるからね」と約束できたのが救いだった。

始まる前は、1週間以内だなんて短すぎると思っていたのに、毎日会うたびにぐんぐん距離が縮まっているのを感じて、6日目が引っ越しで良かった。自分の中で新しく生まれて会うたびに大きくなってくる感情があった。近くに住む友人に交流の日々について話していたら「かめちゃん、母性全開になってきたね」ってしみじみと言われた。そうなのか、これが母性なのかと思い当たる。

それにしても、良い子すぎる。出された物はなんでもとてもよく食べるし、これで遊ぶ?あっちに行く?そろそろ帰ろうか?などと聞くと、必ず受け入れる。これから、試し行動が絶対に来るんだろうなという気がしてならない。




おまけ…と愚痴。

交流の内容というかやり方について、その日の日勤の保母さんによって雲泥の差があった。はじめの2日はどのように交流進めていくのか何の説明もアドバイスもなく、子供と遊んでくれる人が来てくれてラッキーなくらいの様子。子供たちと私を遊ばせておいて、自分たちは同僚同士で延々とおしゃべり。何だそれ。

3日目と5日目に、プロ意識が高くてとても心のこもった保母さんに当たり、救世主かと思った。この人がいなかったら、ここまでスムーズに引っ越しまで行けなかった気がする。大雑把で声が大きな人なのだけれど、別れ際に丁寧にお礼を言うと私のことをギュッと抱きしめてくれて「私の30年のここでの経験から直感で言うと、あなたたち2人とてもいい感じね。これから築かれていく絆のきざしが感じられる。育児を楽しんでね!」と言ってくれた。泣きそうになった…というか泣いてしまった。
いつうちに迎えることになるのかはまだはっきりしなかったけれど、覚悟が決まったところで、もうすぐ育休に入りそうだと職場に報告した。

数日後には今この子の暮らしている乳児院兼児童養護施設を訪れることになった。児相の担当さんも一緒。まずは施設長さんらしき方とこの子担当の保母さんと面接。交流のスケジュールを調整した。

話を聞いてちょっとびっくり!交流は短期集中で、毎日通って1週間以内に子供を引っ越しさせるのが目標だそう。そうしないと、どっちつかずの中途半端な状態で子供を混乱させ不安にさせてしまうらしい。

年齢や施設で過ごしてきた期間、または個々の子供によって違うのだろうとは思う。けど、ものすごいスピードだな。

全く何の経験もない私にはどうなのか全くわからないけれど、とりあえず専門家が子供のために…というのだから、私はそれにできるだけ沿えるようがんばるのみ。交流開始の日とうちへの引っ越しの予定日を決めた。子供の様子によっては、引っ越しは延期もあり得る。

この話し合いの後、お昼寝をしていた子供たちが起きて外のお庭に出てきた。1歳半から3歳前くらいの子達5人のグループ。この中にうちに来る子がいる。母親からもらって毎日眺めていた写真の面影を思い出しながら、二階から窓越しに子供たちを目で追っていたら、目に入った瞬間すぐわかった。

施設長さんに促されて私たちも下に降りてお庭に出てみんなが遊ぶのを眺めさせてもらった。みんな私たちふたりのことをすごく気にして、ジーッと見つめながらもまだ近寄っては来ない。こんなに子供に見つめられたのは初めてかもしれない。

そのうち誰かがボールをこちらに蹴って来て、それをそっと蹴り返して遊んでいたら、みんなそれぞれにボールを持って集まって来た。5人がひっきりなしにボールを投げたり蹴ったりしてくるので、私たち2人は大忙しで、なんだかとても楽しかった。

でもそれと同時にとても悲しくもなった。特に3歳前の大きい子たちは、何が起きているのか正確にわかっていると、施設の職員が言っていた。

見知らぬ大人が来たらしばらく遊びに来てくれて、そして誰か子供が1人迎えにきてもらえる。次は僕/私の番かもしれないって。

「僕を見て!こんなに上手にできるよ!」っていう表情でニコニコしながらずーっと、何度も何度も繰り返しボールを蹴ってきた。もしかしたらただただ遊んで欲しかっただけかもしれないけれど。

うちに来る予定のあの子は、全く笑わなかった。吸い込まれそうな大きな目で、ただひたすら私たちのことをじぃーっと見ていた。そしてみんながボールで遊び始めるのをしばらく見てから、ゆっくりと夫に向かってボールを投げ始めた。そして夫がそっと投げ返すボールを追いかける。

なんだか私にとって、忘れられない瞬間になったような気がする。多分、夫にとっても。





悩みに悩んだ週末でしたが、やはりこの子を受け入れようという方向へ気持ちは傾き、次の面接でこの子の母親と会った。

実際に子供の母親に会って話してみて、色々と思うことはあったし、私も感情的にかなりいっぱいいっぱいになってしまった面接だった。でも結果的に会ってみて良かった。なんとかやっていけるかもと思えた面接でもあった。

母親からは、私たちは里親として受け入れてもらえた様子で、この子の写真を頂いた。

面接の後はこの写真をずーっと眺めながら自分の心に耳を傾けて、夫と2人で話し合った。

それから一晩寝たら、やっと覚悟が決まった。














旅行から帰って、約束の日時に児相へ行ってお馴染みの里親担当職員と会い、その子供の現在の様子やなぜ里親が必要か、また母親の事情などを大まかに教えてもらった。


一晩考えて、この子を受け入れる方向で続行するかどうか決めて欲しいとのこと。くれぐれも無理はしないで欲しいので、断ることを躊躇しないようにとも。


私たちのことを必要としているかもしれない子供の打診があって、本当はすぐにでも引き受けます!と返事をしたいところだけれど、普段から石橋を叩いて叩いて渡らずに見つめてしまう私たち、やっぱり色々考えてしまう。


その子のことを考えると気持ちはどんどん受け入れる方向に傾く。でも母親に関することで、私たちにやって行けるのか?と不安になる点がいくつかあり、とても悩む。いつか母親の元に帰ってしまう可能性も少なくなさそう。


無理なく長く続けられるように「自分にどこまでできるのか」という限界を自分自身がしっかり見極めることはとても大切、と研修でも児相でも何度も言われて来たけれど、見極めるということをここへ来てようやく実感を伴って理解し始める。


この子のことを思っていると、どうしても断るという選択肢が考えられない。母親に関することをもう少し詳しく知りたい。その旨児相に伝え、2度目の面接に臨むことに。そこにはその子担当の職員もいて、より詳しい話を聞かせてもらえた。


詳しく聞けば聞くほど、子供を受け入れたい思いは募り、そして母親に対する不安も募る。私たちは長期里親として登録しているので、一度預かった子は里親側に大きな問題または実親側にそれなりの変化がなければ18歳になるまで預かることになる。それまでずっと母親との付き合いも続くことになる


自分たちには無理そうだと思ったら、何度目の面接でもどの段階でも遠慮せずにすぐに言ってくださいと、いつもの里親担当さんは何度も言ってくれる。それと同時に子供担当の職員さんからは、早く100%決断して欲しいんですけどというプレッシャーをかなり強く感じる。


打診が来てから受け入れるまでの過程でこんなに悩むとは思っていなかった。こんなに色々考えを巡らせて悩んでしまっている自分にも驚く。ところどころ「この子のための最善は」ではなくて自分たちのこれからの生活とか、本当にこの母親とやって行けるのかとか、病気や障害はとりあえず無さそうとかそんなことを気にしてしまう自分にも気付いたりして、こんな自分が里親になって良いのだろうか?とまた悩む。


2度目の面接の後は週末を挟むので一晩ではなく、少し余裕がある。でも月曜日の朝には返事をしなければいけない。普段はいつでもどこでもどれだけでも寝られる私が、眠れない本当に眠れず胃も痛くなった週末だった。




親元で暮らせない子供のお世話をしたいと思って、ドイツで里親登録をして待っていたところ、本当に突然児童相談所から連絡が来た。

数週間前のことだけれど、順を追って振り返ってみようと思う。

旅行でアルプスに行っていて、山頂を目指してロープウェイに乗っている途中で、突然スマホが鳴った。

「長期里親を探している子がいておふたりにどうかなと思うのですが、いつ児相に来れますか?」と、登録までの面接を一緒にやってきた担当さん。

ビ、ビックリした〜!

とりあえず日時を決めて電話を切ったけど、私ったら性別も年齢も聞かずに電話を切ってしまった。旅行から帰るまでお預けとは…待てないと思いすぐに私の方からまたかけ直して、年齢と性別だけ教えてもらった。

ロープウェイを降りた頂上は、360度見渡す限りの絶景だったのに、その子のことで頭がいっぱいになってしまい、あまり景色を楽しんだ覚えがない。



今現在急ピッチで交流が進められていて、多分近いうちに正式にお迎えすると思われ、それまでに放ったらかしだったブログを少しアップできたらいいなと思います。