里親研修応用編では、予備知識としてすでにあった愛着障害、試し行動、退行現象などについても習った。それは色んなところで最近目にするし、特に真新しいことは習ったような気がしないので、飛ばそうかな。

印象に残ったロールプレイもあった。普段の私はこういうのは(特にドイツでは)できたら避けて通りたいタイプで講師と目を合わせないようにするのだけれど、なぜかその時は突然思い立って子供役に立候補してしまった。手を挙げた自分に自分でびっくり。ドイツ語で初めてお芝居というか、自分ではない人物を演じた。

そこで習ったテーマはÜbertragungsbeziehung。ごめんなさい、日本語でなんというのかわかりません。心理学用語だと思うのですが。もしかして、近いのは転移なのかな?でも定かではありません。例えば、今までの実の母親に対する怒りや失望などを、全然関係のない里母にも感じてぶつけてしまうというもの。

私は子供役だったので、優しい里母役の方に向かって、約束を破ってばかりいた実の母への怒りや失望をぶつけるという演技をしたのですが、とにかく難しかった。演技だとわかっていても、自分の言動一つで目の前にいる里母役の方がすごくショックを受けてどうしていいのかわからないような表情になっていくのがとてもつらかった。きっと、実際こういう言動をせずにはいられない里子ちゃんたちにも、目の前にいる人の傷ついている様子とか伝わっているんじゃないかと思うのだけれど、それでもそういうネガティブな言動をせずにはいられないのかと思うと、あんな小さな体と心ではかりしれない苦しみなんだろうな。

そして試し行動と同様、そこはいわれのないネガティブな感情をぶつけられる里親にとってとてもつらいところ。でも根気よく、今までとは違うんだよ、ということをわかってもらうしかない。この里母はあなたの実の母親と同じようなことはしないし言わないんだよということを、時間をかけて理解してもらうしかないそうだ。やっぱり必要なのはとことん向かい合う愛情と根気ということか。
なんだかバタバタしていて、最近あまり書く時間が取れません。書きかけてはまとまらずということも多々ありで進まず。ですが、時間はなんとか捻り出す物!ということで、引き続き。

まだ私たちの方向性は決まらないままだったけれど、3月からは応用編に行き始めた。

基礎編で一緒だったメンバーからもう1組の夫婦が年内の応用編を受けられなくて、私たちと一緒だった。それ以外にまた何組かのカップル、今回は女性2人のカップルも一緒。そして今すでにもう家で里子ちゃんのお世話をしているという男性も参加していた。彼の場合、再婚した奥様は里親認定されているけれど、彼本人は里親研修は受けていないので、今もし奥様に何かあったら里子ちゃんを手放さないといけなくなるかもしれない。ということで、そのような事態になる前に里親認定を受けておこうという方。

この彼からは色々な実際の体験談を聞けてとても興味深かった。特に彼らは 重度の障害をもつ里子ちゃんたちばかりを受け入れているそう。初めて受け入れた子供がかなりの医療的な援助を必要とする子で、医者や看護職や介護ヘルパーとの連携態勢を整えざるを得ず、その子が亡くなった後も引き続きそれらを生かせる里子ちゃんを引き受けることにしたそう。虐待を生き延びたけれど、身体や脳にごく重い後遺症が残った子供達を数人これまで受け入れてきたらしく、やはりそういう子供達は長くは生きられないそうだけれど、少しでも安楽で幸せを感じられる時を過ごして欲しいと頑張っていた。これは普通の里親とは少し違って、日本だと専門里親にあたるのかな。彼と彼の奥様には医療系のとある資格があり、それで可能になる。小児専門の看護職や医師、教育心理学者、臨床心理士などなどの有資格者のみ可能になるらしい。里子ちゃんために出る手当も少し多くなるらしいけど、お金のことはまた別で書こうと思うので、ここでは端折ります。彼の話す口調から子供へのものすごい愛情と誇り、それに虐待への怒りもすごく感じた。それでも、これは自分にはできないなとはっきり思った。そこは私の限界をはるかに超えている。

限界といえば。応用編では、毎回始めに里子ちゃんケースの紹介があり、自分たちにこの里子ちゃんを受け入れられそうか考える時間があった。里子ちゃんの性別年齢家族構成、わかっている範囲で病気や障害の有無、なぜ保護に至ったか、実親の意向、実親の家族などについて説明があり、その後0(まったく考えられない)から10(絶対にうちで受け入れたい)まで自分たちの気持ちとその理由を発表した。

これは里親登録する際に出す子供に関する希望、そして自分たちの限界を考えるため、そして実際に里親登録が完了したら、突然かかってくる打診の電話に備えての準備というかイメージトレーニングというか… そんな風に私は受け止めた。子供を受け入れていく上で、どこに自分たちの限界があるのか見極めて、受け入れ態勢を整えて、夫婦またはパートナーと足並み揃えて覚悟を決める…の練習。時には夫と私とでかなりかけ離れた意見だということが発覚したりして、深く話し合うきっかけにもなった。

0から10のどこに気持ちがあるのか参加者それぞれ様々だった。そこは無理せず、自分たちの受け入れられる範囲で正直に決めるようにと毎回言われた。里子ちゃんの家族との交流は出来る限り推奨されるので、家族のことも割と詳しく情報として教えてもらえる。付き合って行くのが難しいような家族も中にはいるようだ。特に、親の意思に逆らって子供が保護された場合には、その怒りが里親に向かうこともあるとか。

唯一で全ての元凶と思われがちな実親さんに対して、見下したり蔑むような感情をなるべく持たないように努力してください、というお話もあった。そういう心の中の思いは必ず声色や態度に出る。そしてそれを感じとった実親さんとは、まず良い関係を築いて行くことができない。そしてそういう思いは、口には出さなくても子供に伝わる。実親さんの元で育つことができなくても、やはり血の繋がった親は親。子供にとって自分のルーツを知ることがとても重要になる時がやがて来ることもある。実親さんを含めた子供の背景もまるごと認めてあげて欲しいと。

多分、難しいことも多々あるんだろうけど、実親さんのことも色々な事情を背負って生きているひとりの人間として尊重することができたら良いんだろうな。こういう問題を抱えている実親さんも大概、幸せでない子供時代を過ごしてきているのだから。



なんか徒然書いて、まとまりませんが…再開するハードルが高くならないうちに、アップしてしまおう。
年が明けて、すぐにでも里親研修応用編に行きたかったのに「春まで次のコースはありません」と言われ、開始されたのは3月の末。

待つ間、基礎編で一緒だったメンバーの何人かとお茶をしたり、ホットワインを飲みに何度か集まっていた。みんな同じ興味と目的を持って集まっただけあって、話が弾む弾む。

私たちが年末にパーテンシャフトの研修を受けている間に、メンバーのほとんどは応用編を終えたようだった。そのうちの1組のカップルは2月くらいにはもう全ての書類を整えて提出したらしい。早っ!そろそろ児童相談所の家庭訪問があるので大掃除の真っ最中だと言っていた。後のメンバーは応用編を受けてみて、少し気持ちの整理をする時間が必要と感じたらしく、書類の準備がまだらしい。

本当に色々な書類の準備が必要だけれど、一番時間のかかる書類はやっぱり、「人生の履歴書」かな。これは学歴職歴中心に箇条書きで書く普通の履歴書とは違って、自分の人生丸ごとについて作文風に書く。育ってきた環境、家族や友達やパートナーとの関係性、進路や就職など大きな決断ははどのようにしてきたか、大きな問題がある時にどのように対処してきたか、人生において大切にしていることは何か、などなど。

パーテンシャフトの方向に進むにしても必要となるので、この頃少しずつ書き始めていた。子供時代を思い出しながら、自分の心の中を覗き込みながら書いていく作業は、思ったよりも手間取っているけれど嫌じゃない。

自分が周りの人にとても恵まれて、実はすごく幸せな人生を送ってきたんだなーと、再認識できて感謝の気持ちが湧いてくる。
前の閑話休題の件で、かなり楽しくドキドキの一週間を過ごしていたのですが、やっと日常が戻ってきました。


パーテンシャフトの研修の記事を書いた少し後で、ネットで偶然目に留まった記事があった。とりあえず、書きそびれてしまうまえに、アップしてしまおう。




ドイツ語でも、少し似た感じの記事が手元にある。研修で頂いた資料の一部で、よく見たらシュピーゲルというドイツの雑誌の古い記事だった。検索してみたらオンラインでもまだ読めるようだったので、ドイツ語で読んでみようという方、または自動翻訳などで読んでみようという方、是非どうぞ。なかなか読み応えのあるこの記事は2012年の物です。




どちらのサイトにも著作権云々について色々書かれていて、どこまでがオッケーでどこからがダメなのか私にはよくわからないので、翻訳したり引用したりはやめておきます。
                →多分しっかり翻訳なんてできない。


私も里親学校でパーテンシャフトについて勉強するまでは、恥ずかしながら全く考えを巡らせたことのない視点だった。

こういった子供達の存在と苦しみを知った今でも、現在養育里親を目指している私には、具体的にその子たちのために何かできるわけではない。でも、頭の隅にいつも置いておいて、普段すれ違う近所の子供達に笑いかけたいなと。



制度はまだまだでも、日本でも精神疾患に苦しむ親の元で育つ/育った子供たちに焦点を当てて書かれた記事を見つけ、その中で紹介されていた取り組みもあり、なんか嬉しかったです。もっと関心が高まったらいいなという思いを込めて、記事のリンクを紹介させてもらいました。



里親研修基礎編を受けながら、夫から提案のあったパーテンシャフトの方の説明会と個別面接にも行ったのですが、以前書いた


の記事に、そこで聞いたことをほとんど書いていたみたいなので、今日は早速パーテンシャフトの研修について書いていきます。

里親とパーテンシャフト、どちらが自分たちに合うのか、本当にやりたいのはどちらなのかを考えているところと、こちらも正直にお話しして、それでも研修に入れていただけました。パーテンシャフトの方は里親の方とは規模というか件数が桁違いに少ない。だからでしょうか、研修も一年に一度あるかないかなのだそう。なので、11月からパーテンシャフトの研修が始まると聞いて、絶対行きます!と即答。

ちょうど里親研修基礎編が終わって、ドイツの学校の秋休みを挟んでから始まる。タイミングが良いなー 爆笑 こちらも週一3時間全5回。

自己紹介にパーテンシャフトとはみたいなお話から始まる。メンバーは5組のカップル、と一人暮らしの男性が1人、全員40代。やはり子供がいないカップルが3組、私たち以外にも1組里親の方を考えていた方たちがいた。が、担当の児相の対応が酷くて…というかほとんど相手にしてもらえなかったそう。人手が足りず、今は初回面接なんてとてもじゃないけど無理!必要書類のリストは送付するから、里親になりたいならこれを揃えて申し込むようにとつきはなされたらしい。これは無理だと思いパーテンシャフトの方にシフトチェンジされたそう。

同じ都市の中でも地域によって児相もこんなに違うんだ…私たちの担当の児相は親切でスムーズですごく運が良かったんだ。

まず内容は、ここで言うパーテンシャフトとは何か、どんな役割を望まれているか。精神疾患をもつ親の元で育つ子供はどんな生活をしているか、どんな苦悩があるのか。

一例として視聴したビデオでは、双極性障害(躁うつ病)の母親を持つ子供が学校から帰って来て家のドアを開ける瞬間、このドアの向こうで何が待ち受けてるのかわからない。母親は家にいるのかいないのか、いなかったらどこに行ったのか何をしてるのか心配で探しに出る。家に居るなら一体どんな精神状態なのか、何をしてるのか、家の中はどんな状態なのか、薬は飲んだのか、全く予測がつかない。もちろん学校の友達と遊ぶ約束をしたり、うちに遊びに来てもらうなんてとてもじゃないけどできない。居間で薬を前にして啜り泣く母親を慰める。家の中は散らかり放題。母親に対する苛立ちと同時に心配でしょうがない。ご飯の支度を始める子供、お腹が空いたという弟におやつを与える、そして自分の習い事のことをすっかり忘れていて電話がかかってくる。今日はもう行けない…

たしかこんな内容のビデオだった…子供の年齢によって、母親の病気によっても違うのだろうけど、共通するのは安心して子供らしい時間を過ごすことができない。そして親との役割交代。子供の感情というか気持ちが親に届きにくく、受け止めてもらえない。

そこで、自分たちがパーテになったらどんなことをしてあげたいか、してあげられるのか、などをグループで話し合う。特に熱を入れて話し合ったのは、自分たちがしてあげられるのはどこまでか。

例として、週末に一泊でうちに来る子供がいるとして、昨日今日とほとんど何も食べていない、家の冷蔵庫も空っぽでお腹を空かせてうちに来た子供にどこまでしてあげるのか。

その場で食べさせてあげるのはもちろんだが、子供が母親の元に帰った後のご飯の心配。食べ物を持たせる?お金を持たせる?買い物して届ける?母親が気を悪くするかも。子供の安全と幸せが危険にさらされていると判断して児童相談所などに相談するべき?など、どこで線を引くのか。自分たちにどこまで何をしてあげられるのか。それを前もって考えておくことが大切だと。また、線を超えざるを得ない時にどうするか。このパーテンンシャフトという制度の担当は児相ではなくこの里親学校なので、いつでも相談はできるらしい。

あとは、精神疾患に関する講義の日もあった。パーテンシャフトを希望する(というか大抵は周りから勧められて渋々という母親がほとんどだそう)のはうつ病と闘っている方がやはり一番多いそう。 その他にも統合失調症などいくつかの疾患について教わった。

親の病状が思わしくなく入院となった場合
に、義務ではないけれどなるべくその間は子供を引き取ってお世話をしてあげてほしいとのこと。期間限定里親みたい。

そして、今現在パーテとして子供と交流を持っている方が二人来られて、体験談をお話ししてくれた回もあった。一番興味深い回だったのに、私はなんと発熱を伴う風邪にやられて寝込んでしまった。今でも残念でしょうがない。ショボーン 夫は一人で出席して、今までで一番興味深かったと話してくれた。

パーテンシャフトは子供との関わりももちろんだけど、母親との関わりがすごく大切。このパーテンシャフトとという関係、母親がもうやめると言えばもうそこで否応無しにおしまいとなる。なんかそれはさみしいな。子供も振り回されてかわいそうな気がする。

夫はこの研修のあと、こちらにすごく乗り気。今の二人の生活をほとんど変えることなく無理なく、助けを必要とする子供にな何かしらしてあげられる、そしてうまく行けば長年に渡って交流できる。

夫の気持ちもわかる。今までずーっと二人だったから、大きな変化が不安というのもわかる。そしてどちらの研修でも何度も言われた。長期に渡って安定した家庭を提供してほしいからくれぐれも無理をしないように。無理は禁物、そして楽しんでやって欲しいと。でも私としては、まだ里親の方を諦められないな。里親研修応用編も行こうよと、説得。

喧嘩もほとんどしたことがなく、これまで大抵は同じ方向を向いて仲良くやって来れた私たち。この頃は、このまま2人の意見が平行線だったら、本当にどうなるんだろう?と結構不安だった。

こんな状態で私たちはの2017年は暮れて行きました。






⭐️おまけ⭐️
偶然だけど、夫のパーテンキンド(パーテの対語として子供のことをドイツ語でPatenkind といいます)がこの夏18歳になって、ドイツでは成人。今日そのお誕生日会に招かれて今ちょうど向かっているところです。私がドイツに来た頃はまだ4歳だったかな?かわいかった〜。それから毎年欠かさず夏にうちに泊まりで遊びに来てくれてました。今ではもうそれは綺麗な優しいお姉さんになっちゃって、なんだか感慨深いです。