翌朝、私はまた同じ時間同じ車両を目指した。
今度は剛たちがいつも立つドア際を少し離れ、そこに隣接する座席の真ん中あたりに腰かけた。
いつもいつも剛たちが来るとわかっていて同じところに立つと、会いたがっていると思われかねない。
中学の時から、そういう疑いをかけられた子は「男好き」のレッテルを貼られ、噂のネタにされていた。
やがてまたがやがやと男子五、六人の集団がやってくる。
ひざに乗せたかばんを少し抱き寄せて、うつむいて声が近づくのを聞いていた。
マジこの前あいつさー
え? マジかよ、うけんなー
「あれ? 梨英じゃん」
唐突に呼ばれた名前に驚いて顔をあげると、目の前にシュウが立っていた。
「シュウ!」
シュウがこのグループで登校してくるのを見るのは、なんだかんだ久しぶりだった。
「イクセ、こいつ女子の団長」
シュウが振り返って私を指差しながらイクセに向いた。
目が合うとお互い軽く会釈をした。
剛の視線を感じていた。