さらに雪女の伝説を掘り下げていくと、
雪女は、子連れの妖怪『産女(ウブメ)』との接点を持つという。
和田茂十郎 『産女』
確かに、雪女の伝説の多くは幼子とともに現れたという伝説も多く、
我々がよく知る、小泉八雲『怪談』で語られる雪女も、
男と恋仲になり、のちにその男との子どもを設ける母として語られている。
子を思う母の愛情が、そのまま幽霊や妖怪となるケースは多い。
例えば、
こちら、安田米斎画の『子育て幽霊図』であるが、
飴買い幽霊という話のほうがより馴染みがあるのではないだろうか。
妊娠した女性が亡くなってしまい、その遺骸を土葬したところ、
飴屋に女性が毎日飴を買いにくるようになった。
飴屋の主人は怪しいと思い、女性のあとをつけたところ
墓の棺の中で、生きた子どもが飴を舐めていた・・・
というのが飴買い幽霊の話であるが、
注目したいのは雪女にしろ、産女にしろ、飴買い幽霊にしろ、
子連れ妖怪というのは、
非常に容姿がよく似ている∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
「白装束をまとった、若く髪の長い女性」
これは、母親妖怪として鉄則だったのだろうか・・・。
幼子の母親として、やはりイメージするのは
老婆よりは、若い女性である。
この結果、知らず知らずのうちに、雪女は美しい女性としての像が生まれていったのである。
なお、柳田国男は著書『遠野物語』のなかで、
冬の満月の夜は雪女が出てきて遊ぶとし、
夜まで遊ぶ子どもたちには雪女が出るから早く帰れとしばしば戒めに利用されていた。
しかし、“雪女を見たという人は少なし”と記しており、
雪女がしつけや戒めのために作られた産物であることを物語っている。
その妄想が、雪の性質から受ける連想や、母親としての妖怪像と絡み合い、
雪女が若く美しい女性として広まっていったのは、自然なことであったといえよう。
~ 雪女は、なぜ美女なのか 終 ~

