全国各地、妖怪は星の数ほどいるけれど、
なかでも聴覚、 “音” によって認識されるものは多い。
その代表ともいえるのが、小豆洗いではないだろうか。
竹原春泉斎画 『絵本百物語』 小豆洗い
橋の下や川のほとりに現れてショキショキと小豆を洗うような音を立てる妖怪である。
地域によって、小豆とぎ、小豆磨き、小豆さらさら、小豆はかりなど呼び名に違いはあるものの、
川辺で小豆をあらう音をたてる点は共通している。
ここで、素朴な疑問がひとつ。。
何故、小豆を洗うのだろうか?
これは、古来より、小豆が神祭用の神聖な食べ物であったことが関係している。
現在でも、お正月や祝いの席で お雑煮やお赤飯が食べられている。
昔は小豆といえば貴重な食べ物であり、
それ故に祝祭などでしかお目にかかれない特別なものであった。
祝祭の日は、飲食を慎み、心身を清めて静かに神を迎えていた。
そして、虫の声ひとつない静かな闇の中、小豆を研ぐ音だけが
・・・・しょきしょき、しょきしょき
しょきしょき、しょきしょきしょきしょきしょき、
しょき。
人間ではないものの存在を人々が意識するのは当然ではないだろうか。
神事用に、小豆を用意する=小豆を洗う、研ぐ という人間の行為そのものが
妖怪の名に置き換わっていったのである。
~つづく~


