ナポリの空港に到着したのが18時頃。
そこから市内の中央駅に向かうバスの中で「ここか~マラドーナやカレッカやゾラがいた街わ~。」と妻に言ってもわからないので、一人でスクデットをとった時の町中が青に染まっていたビデオで見た映像を思い出しながら感慨にふけっていると、なにやらそこはかなり汚くて、危そうな雑多な雰囲気。中央駅に着いてバスから降りると生ゴミの匂い。
ナポリは貧民街でした。
疲れがピークに達していた俺らは中央駅の目の前にあるホテルにチェックインすると、すぐに事前に決めていた昔ながらのナポリ料理を食べさせてくれるレストランの場所をフロントのスタッフに聞いて、夕食を食べに行きました。ちなみにやはり水は有料で、水を頼むと必ずガッサータ(炭酸入り)かノンガッサータ(炭酸なし)か聞かれます。「ワインは?」と聞かれて要らないと答えた俺らを「正気か?」という目で見たウェイターが印象的でした。料理はほんまめちゃくちゃウマい!!味音痴の俺でもわかるでえ。パスタめちゃくちゃウマい!!
俺があと5歳若ければ「パスタまじヤバい!!」と言ったでしょうが、1970年代後期関西生まれの俺としてはここは、「パスタばりウマい!!」あるいは「パスタめっさウマい!!」と言わせて頂きます。
ホテルに戻ると妻は自分がこのイタリア旅行で最も楽しみにしているという明日の青の洞窟ツアーの為に「テルテル坊主」を作りだしました。しかしフィレンツェでジョットの塔に登って街の景色を見た時はこれをイタリア旅行で最も楽しみにしていた!と胸を張って言っていました。
妻が寝てしまった0時半ごろ俺はこっそりと友人からもらった【思うまま行動してこい】の言葉と襲われても良いように3ユーロだけをポケットに入れて町を探検するためにホテルを出て行きました。ホテルを出るときフロントのスタッフから真顔で「気をつけて!」と言われました。
出た瞬間ホテルに引き返そうと思いました。
中央駅の近くなのでそれなりに人も居るだろうし、明るくてそこまで危険ではないだろう。時間も遅いけどそこまで遅くないし、、と思って出て来ましたが、間違いのようでした。確かに人は居ましたがその6割ぐらいがホームレスか全身に刺青を入れている人か異常に痩せている人に見えました。暗くはなかったですがオレンジ色の明るさでした。ゴミが見たことない程うず高く積まれていました。俺の身長ぐらい。(上の写真は普通です。もっとひどい状態を何回か見ました。)
とりあえず飲み物を買おうとホテルの2軒隣のバーのような店に入ったは良いが店員がおらず、だれも声をかけてこず、やっと見つけた店員は地面に砕けたビール瓶を掃除しているところで俺は何となく何も言わずにその店を出ました。
ナポリの交通量と渋滞はイタリアで一番らしく、平日の夜中1時頃でも昼間の尼崎と同じくらい車が走っています。しかも信号が日本の十分の一もなくその信号も歩行者は守りません。たとえ横断歩道でも車は止まってくれないので向こう側に行くためには強引に渡って行くのが唯一の手段です。これは日本人の俺には慣れるまでは難しかったです。
轢かれそうになりながらもガリバルディ像を超えて駅の向こう岸に辿り着くと、ピザ屋と一軒の屋台のバーが営業していました。
俺はその辺で飲み物と食べ物を買ってガリバルディ像の下に座ってボーっとしようと思っていたのでピザ屋でコーラを買いました。そして次の日夜妻とピザを食べる約束をしていたのを思い出し、ピザは注文せずに隣にある屋台の店でスナックを買おうと、どんなものがあるか見ている時でした。
店のおっさんがイタリア語で何かを言いながら明らかに追い払うジェスチャーをしてきました!
俺が意味わからず「意味わかりませ~ん」の顔をすると、再度イタリア語でさっきより激しい口調で何かを言って追い払うジェスチャーをしてきたので、他の客を見るとみんな何も言わずに俺の方を表情なくじーっと見ていました。何も買わずに店を離れた俺はガリバルディ像の段差に腰かけてコーラを飲みながらでボーっとその店を眺めていました。
飽きるとまた別の方角をボーっと見ていました。
すると日本の5倍以上はありそうなゴミ収集車が現れました!!ドラクエ風に言うと、
「巨大なゴミ収集車が現れた。」
という感じで例のあの効果音が流れるでしょう。
その後ろからコバンザメのように小さいショベル付きのゴミ収集車がついて来ています。そのチビ収集車が山のように積まれているゴミをすくっては大きい収集車へ投げ入れ、すくっては入れを繰り返し、あらかたゴミが無くなるとどこからか人が降りて来て残っているゴミの破片を小さい収集車に投げ入れて次の場所に移動して行きました。
その後また轢かれそうになりながら移動し、安宿ばかりが密集しているホテル街を少し歩きましたが手が自然とグーになり、手のひらはジットリ汗をかき、少し大きな音がしたり、路地から人が出てくると、ビクッとするほどの恐怖感がありました。そこら中にホームレスの人たちが横たわっていました。ホテル街でホームレスか~実はその地面にも部屋番号あるかもなと思うとちょっとだけ笑えました。行き止まりにぶち当たったところで俺はホテルに戻ることにしました。
電車は終わっているのに駅は解放されていました。
ホームレスはみんなスーツケースを持っていました。
ホテルに戻るとあまりの緊張感に部屋の番号も忘れていました。
たった55分ほどの探検でした。
たったホテル周辺半径200mの探検でした。
部屋に戻るとその物音で起きた妻が朝と間違ってベッドから出てきて、「…あ~ヤパイ全然寝足りん…」と言いながら出発の準備を始めようとしたので「まだ夜やで!」とめっちゃ笑いながら明日に備えて俺も風呂に入って眠ることにしました。
つづく


