シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you 島ちゑ -5ページ目

シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you 島ちゑ

シナリオ・センター大阪校代表取締役 小島与志繪 ペンネーム 島ちゑのブログです。

 仕事帰りには世界一周旅行をしていますウォークマンでクインシー・ジョーンズの「Around the world」を聴きながら歩いているのです。ビッグバンドは些細な憂いが吹き飛びウォーキングに最適です。

 たくさんの国の曲が、クインシーのアレンジで奏でられています。なかには「Meadowlands」というナポリ民謡や、「Dear Old Stockholm」というスェーデン民謡も。

 民謡からは哀愁と喜びが伝わり、さまざまな国の人の心の真髄をリスペクトされているクインシーの包容力を感じます。そしてアフリカの飢餓救済のためのチャリティを実現した「We are the world」の感動につながります。



 裏口の扉が開くときのけたたましい軋み、弟のいびき、バネ仕掛けのネズミ捕りにかかったネズミの断末魔の悲鳴。少年時代の私にとって、それが〝サウンド〟だった。



 と、クインシーの自叙伝に綴られていました。貧しかったこと。いじめられたこと。お母さんが精神病棟に強制収容され、弟とともに不安な日々を過ごした少年時代など。少年たちがお母さんと引きはなされた悲しみを想うと、こみあげるものがあります。マイナーコードの「黒のオルフェ」の旋律から、嘘でない切なさが伝わるのは、お母さんへの想いの幻影なのでしょうね。今、悲しいと思っている人がいらしたなら、いつの日かその悲しみは大きな愛へ。必ず。

 クインシーは25歳のときにフランスのナディア・ブーランジェという女性教師に師事を仰いでいます。彼女はジャンルを問わず著名な作曲家や演奏家たちを世に送りだした音楽の、特に哲学の先生です。そして既に多忙を極めていたクインシーが、真摯に教えを仰いだ心を、本当にリスペクトします。