マトマイニのダイニングは、映画「風に立つライオン」の撮影現場。
マーティンが壁に描いた絵。上手でしょ?
4月のブログで、普段は学校の寮に住みマトマイニに居ないドナルドとマーティンが休みに帰って来て、料理や皿洗いも含め、真面目に手伝いしている話を書いた。
そのマーティンのこと。
昨年1月、小学8年を修了したマーティンは、「サッカーの特待生として、A校に進学します」と、意気揚々マトマイニを出て行った。
ところが2ケ月後に突然帰って来て「選考の時、病気になったのでA校はダメでした。他の学校に行きたい」と言う。
それを聞いて、誰も信じなかった。「きっと長い間どこかウロウロしていたんだろ。嘘つきだ」と。
事の真偽を確かめる為、ソーシャルワーカーのジェリーを遠いキタレの町に行かせた。
話は本当だった。薬代でお金を使い果たした彼は、帰りのバス代もなく、路上で寝るしかなかった。用務員さんが同情して学寮の片隅に寝泊まりさせてくれ、お礼に学校の掃除や庭仕事を手伝った。やっと僅かのお金を工面して、バスを乗り継いで帰り着いたのだった。
事情が分かったものの、進学先を探すのは非常に難しく、私は途方に暮れた。
そんな時、「マーティンという少年はいますか」と教会の牧師さんがマトマイニにやってきた。
「偶然バスで隣に座った者です。話してみると、彼の真摯な態度と将来への熱い思いに心を打たれました。私に出来ることはないですか?学校を探しているって?よし、知っている学校に紹介しましょう」
話はトントン拍子に進み、めでたくマーティンは進学した。今そのセカンダリー・スクールの2年生である。
一度地に倒れて、何かを掴んで立ち上がった、16歳の少年の未来や如何に。