マーティンのこと その2 | ケニアのマトマイニ(希望)を育てる

ケニアのマトマイニ(希望)を育てる

1987年から30年続いたマトマイ二・チルドレンズ・ホーム。その卒園生達と共に、貧しさ故に子どもを困窮状態に追いやっているスラムのシングルマザーの自立援助に力を注いでいます。マトマイニ第2章の始まりです。

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マトマイニのダイニングは、映画「風に立つライオン」の撮影現場。

マーティンが壁に描いた絵。上手でしょ?

 

4月のブログで、普段は学校の寮に住みマトマイニに居ないドナルドとマーティンが休みに帰って来て、料理や皿洗いも含め、真面目に手伝いしている話を書いた。

 

そのマーティンのこと。

 

昨年1月、小学8年を修了したマーティンは、「サッカーの特待生として、A校に進学します」と、意気揚々マトマイニを出て行った。

 

ところが2ケ月後に突然帰って来て「選考の時、病気になったのでA校はダメでした。他の学校に行きたい」と言う。

 

それを聞いて、誰も信じなかった。「きっと長い間どこかウロウロしていたんだろ。嘘つきだ」と。

 

事の真偽を確かめる為、ソーシャルワーカーのジェリーを遠いキタレの町に行かせた。

 

話は本当だった。薬代でお金を使い果たした彼は、帰りのバス代もなく、路上で寝るしかなかった。用務員さんが同情して学寮の片隅に寝泊まりさせてくれ、お礼に学校の掃除や庭仕事を手伝った。やっと僅かのお金を工面して、バスを乗り継いで帰り着いたのだった。

 

事情が分かったものの、進学先を探すのは非常に難しく、私は途方に暮れた。

 

そんな時、「マーティンという少年はいますか」と教会の牧師さんがマトマイニにやってきた。

 

「偶然バスで隣に座った者です。話してみると、彼の真摯な態度と将来への熱い思いに心を打たれました。私に出来ることはないですか?学校を探しているって?よし、知っている学校に紹介しましょう」

 

話はトントン拍子に進み、めでたくマーティンは進学した。今そのセカンダリー・スクールの2年生である。

 

一度地に倒れて、何かを掴んで立ち上がった、16歳の少年の未来や如何に。