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ここのとこ葉盛りになって、花を付けることを忘れてしまったかのような

セントポーリアがひょっこり葉の奥より濃い紫の花が顔を出した。
初対面の感動の挨拶を交した今朝。

十数年前、仲良き友と阿蘇へ一泊の旅の帰りのステーキハウス。
緑に囲まれた重厚な趣きだ。
入るや光降り注ぐ出窓の側のテーブルに

吸い付けられるように座ったことを思い出す。
その出窓に色とりどりの小振りのセントポーリアが並ぶ。
降り注ぐ光を浴びて、語りかけているようだった。
美しい紫色の葉っぱ一枚頂いて帰り、

育て続けての今朝のセントポーリアなのだ。

久々に咲いてくれた我が家のセントポーリアは、

白いカーテンを通した朝日を心地よげに浴びていた。

懐かしい思い出をセントポーリアが語ってくれた今朝のことだった。



そしらぬ顔の青空は ――
わしは知らぬぞ、知らぬぞと安心させて、
突如 俄か雨を降らせる。人間共を慌てさせる。
沢山の洗濯物で上へ下へと走り回って
どうにか危うきを切り抜けたが、在宅で救われる。
夏の風物詩でもある。
敢えて異常気象と思わないでいよう。

緑は幾重にもそのグラディエーションを
楽しませてくれる。
その向こうには青空が広がり、
海風がひんやりと吹き抜ける書斎で一日過ごす。
書棚に囲まれ、
大きな机にゆったりと身も心も委ねて……………
珍しく鉛筆を使った。
昔を懐かしみ鉛筆を削る。
スースーと平均にナイフを入れる、
芯をサクサクと削ると注射器のようにとがる。
無心になる、ひとときの清涼剤!
なんと気持のよいこと!

澄んだ青空にも似た気持で空を仰ぐ。



よく雨が降った。
バルコニーの緑は濃くなり、グングン伸びる。

目覚めての心静かな絵本読みは続く。
「イソップ物語」のイソップはサモス島で奴隷であったという。
その後解放されて、自由市民となり、

諸国を遍歴して人々に寓話を聞かせていたという。
故に正しくは「イソップが語ったと伝えられる寓話集」
擬人化された動物の登場で「しゃべる動物物語」
奴隷の身分であったイソップはあからさまにものが言えず、

もっぱらそういう作り話を、いわば隠れみのにして、

自分の個人的意見や感情を吐露したわけで、

どの寓話にも寸鉄人を刺す言葉や、人間や社会への風刺、

処世の知恵といったものが教訓の形で出されている。


お盆も過ぎ、本来の生活に戻るや、

溜りたまっていた気持を一日語っていった友、

傾聴の一日。
翌日は昼間の食事会。
ビルの最上階から夕暮れていく街を見下ろし、

いつまでも語り合う仲間の笑顔が嬉しい一日。