長崎原爆投下のあった爆心地

 

 長崎市長

 

今朝、長崎の鈴木市長の言葉をずっと聴いていて、

「地球市民」という言葉が強く印象に残った。

その平和宣言の裏では

長崎がイスラエルの駐日大使を招待しなかったことで

G7の駐日大使が参加しないという事態が起きていた。

 

高校時代に修学旅行で原爆資料館や爆心地を歩いて

1978年私が高校生の頃、長崎の町のあちこちに

原爆の傷跡が生々しく残っていて、原爆で焼けて

洗濯物が干してあったと思われる場所などに

影が残り、それを見て原爆の威力と恐怖を感じた。

 

 

 

長崎平和宣言


「原爆を作る人々よ、しばし手を休め眼を閉じたまえ
 昭和20年8月9日!あなた方が作った原爆で
 幾万の尊い命が奪われ、家、財産がが一瞬にして
 無に帰し、平和な家庭が破壊されつくされたのだ。

 

 遺された者は無から起ち上がらねばならぬ
 血みどろな生活への苦しい道と明日をも知れぬ
 原始病の不安と、そして肉親を失った無限の悲しみが
 いついつまでも尾を引いています。」

これは23歳で被爆し原爆症と闘いながらも
原爆の悲惨さを伝えた、詩人・福田須磨子さんが
綴った詩です。

家族や友人を失った深い悲しみ、体に残された傷跡
長い年月を経ても細胞をむしばみ続け、様々な病気を

引き起こす放射線による影響、被ばく者であるが故の

差別や生活苦、原爆は被爆直後だけでなく、

生涯にわたり被爆者を苦しめています。

それでも被爆者は、世界中の誰にも二度と同じ体験を
させないとの決意で、苦難ともに生き抜いた
自らの体験を語り続けているのです。

被爆から79年、私達人類は核兵器を使ってはならない
という人道上の規範を守り抜いてきました。
しかし、実際に戦場で使うことを想定した核兵器の
開発や配備が進むなど核戦力の増強は加速しています。


ロシアのウクライナ侵攻に終わりが見えず、
中東での微力紛争の拡大が懸念されるなか
これまで守られてきた重要な規範が

失われるかもしれない、
私達は、そんな危機的な事態に直面しているのです。

福田さんは、詩の最後でこう呼びかけました。

「原爆を作る人々よ、
 今こそ ためらうことなく
 手の中にある一切を放棄するのだ
 そこに初めて真の平和が生まれ 
 人間は人間として蘇ることができるのだ。」

核保有国と核の傘の下にいる国の指導者の皆さん
核兵器が存在するが故に 人類の脅威が
一段と高まっている現実を直視し
核兵器廃絶に向けて大きく舵をきるべきです

そのためにも被爆地を訪問し
被爆者の痛みと思いを ひとりの人間として
あなたの良心で受け止めて下さい
 
そしてどんなに険しくても
軍拡や威嚇を選ぶのではなく対話と外交努力により
平和的な解決への道を探ることを求めます

唯一の戦争被爆国である日本の政府は
核兵器のない世界を真摯に追及する姿勢を
示すべきです。

そのためにも一日も早く
核兵器禁止条約に署名・批准することを求めます

そして、憲法の平和の理念を堅持するとともに
北東アジア非核兵器地帯構造など
緊迫度を増す地域の緊張緩和と軍縮に向け
リーダーシップを発揮することを求めます。

さらには、平均年齢が85歳を超えた
被爆者への援護のさらなる充実と
未だ被爆者として認められていない
被爆体験者の一刻も早い救済を強く要望します。

世界中の皆さん、私たちは
地球という大きな一つのまちに住む「地球市民」です

想像してください
今、世界で怒っているような紛争が激化し
核戦争が勃発するとどうなるのでしょうか

人命はもちろんのこと地球環境にも破壊的な
打撃を与え、存亡の危機にさらされてしまいます


だからこそ、核兵器廃絶は国際社会が目指す
持続可能な開発目標(SGDs)の前提ともいえる
「人類が生き残るための絶対条件」なのです

ここ長崎でも、核兵器のない世界に向けて
若い世代を中心とした長年の動きがさらに
活発になっています。

今年5月には、若者がダボス会議に呼ばれる
国際会議「ワン・ヤング・ワールド」の
平和をテーマとした分科会が初めて長崎で
開催されました。

世界の若い世代が主役となって連帯し
行動する輪が各地で広がっています。
それは持続可能な平和な未来を築くための
希望の光です。


平和をつくる人々よ、
ひとりひとりは微力でも無力ではありません



私たち地球市民が声をあげ力を合わせれば
今の難局を乗り越えることができる
国境や宗教、人種、性別、世代など違いを超えて
知恵を出し合い、つながりあえば

私たちは思い描く未来を実現することができる
長崎はそう強く信じています

原子爆弾により亡くなられた方々に
心から哀悼の誠を捧げます。

長崎は、平和をつくる力になろうとする
地球市民との連携のもと、他者を尊重し
信頼を育み話し合いで解決しようとする
「平和の文化」を世界中に広めます

長崎を最後の被爆地にするために
核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて
たゆむことなく行動し続けることを
ここに宣言します。

2024年(令和6年)8月09日長崎市長 鈴木史郎

 

 

 

 

 

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