スタンド・バイ・ミーに出演していた頃、ウィル・ウィートンは

親から虐待を受けていたこと、その中で強制的に

この映画の出演が決定し演じるのを強要されたと告白していた。 

 

今となってはその時代があったからこそ、

現在の作家の夢が叶えられたと考えているそうで、

子供の頃に不幸と思っていたことが、結果的には

人生にプラスになっていて良かったのだなと思った。

 

親に子役になれと強要されたことのどこが虐待なのか、、

まだ幼少時代で何も選択権がないうちに、

「この仕事をして金を稼げ」と強要されて、親が描いた

理想通りに子供が動かないと、子供に当たり散らすなど

子供にとっては精神的に負担が大きい。

 

これを読んでいて思い出したことがあった。

 

数年前に、父の法事で親戚が集まって下さった時に

叔母達から「お父さんがな~、あんたが2歳の時にな、

本気で、あんたをテレビの子役タレントにすると言ってなあ、

あんたのお母さんも私らも、みんなで猛反対して止めてな、

そりゃあ、もう大変だったわな~」。

今さら聞かされると、ただの懐かしい笑い話でしかないけれども

そんな小さな子供を売ってまで、父は大金を手にしたかったか、、

という話で、父は何かを実行しようとしていたらしい。

 

父は結婚当時は地元のCBCという放送局に勤務していた。

そこで出入りする芸能人や関係者の優雅そうな姿を見ていて、

毎日地味にコツコツ仕事しても安月給しか入らないものだから、

小さな子供に稼がせれば大金が入ってくるんじゃないか、、、と

思いついたようだった。 CBC会長の元で仕事していたので、

コネで子役タレントを起用してもらえると安易に考えたのだろう。


幼少時代に、毎日のように父親から言われた言葉が、

「子供はな、金を生む卵だからな、

 学校なんか行かんでもいいから大金を稼げ」

私の生まれ育った昭和30年代~40年代頃は、

戦後の復興から経済成長期だったけれども・・・

確かに、テレビで子供タレントが活躍する時代だった。

 

父は戦後、日本が一番貧しい時代に成長期を迎えて、

中学卒業してすぐに働かなければならなかったので

若い頃から働けども安定した収入は入ってこなかった。

だから、結婚して子供が生まれたら大金入る方法ないか、

常々、そんなことばかり考えている様子だった。

 

その後も、地道にコツコツ働いても安月給なんかつまらないので

年間契約スポンサーがついて大金稼げるようにプロゴルファーになれと

次の異動先の父の働くゴルフ場で、無駄に素振りの練習させられて

何しろ学校よりもまず子供に稼がせたい父親だったのを思い出す。

私も妹達も、「ゴルフ」と聞くとオェ~となるほど大キライだ。

 

私自身は、これまでにタレントになりたいと思ったことが

一度もなかったので、幼少時代に親の勝手で、

そういう世界に入れられなくて良かったと思っている。

 

本人が望んでもいないのに、親が勝手に幼少のうちから

稼がせたいと考えて押しつけるのは、子供にとっては

選択の自由がないので、幸せとはいえないのではないかな

と思うけど、、、


でも、ウィル・ウィートンのように、親が無理矢理に役者の道に

進ませたから、ナレーションや作家ができていると思っているなら

親がレールを敷いてやったことで道が開かれたともいえるので

どっちが良いのかわからないけど、今が幸せなら良いんだろう。

 

 

私はタレントには興味がないし、なりたいと思わなかったけど

奥田瑛二さんは俳優になった。私はお会いした事はないけど、 

父と安藤さんは遠縁関係にあり、昭和20年代は同族会社で

共に働く同僚の期間があった。

安藤さんから刺激を受けていたのかそこはよくわからないけれども、

奥田瑛二さんが、幼少からチャンバラ好きで風呂敷をマント代わりに

外で遊ぶ姿を眺めていたことがあると父から聞かされたことがある。

子供の頃からご自身が演じることが好きで、自ら俳優の道に入り

極められているので凄いと思う。

やっぱり、自分で運を掴む人はその道で大成する。