緊急事態宣言が出てからはピアノの先生宅に伺えず

自分でテーマを作って演奏研究する時間が増えて

9月前半はショパン作品やランゲ、ベートーヴェンなど発表会で

使われるような華やかな作品の解釈を考えて楽譜を見たり

弾いたりしていた。

 

先週から、トンプソン現代ピアノ教本2をテーマにして

取り組んでいて、時々、この解釈で大丈夫かな?と

確認のために動画サイトに入ってあれこれ聴いてみると、

 

ええええ~~目耳???

なんか違うんだけど・・・滝汗滝汗滝汗

 

動画サイトの様々な人の演奏を聴くほど不安になってくる。

自分の演奏は正しいと思いたいのに、どうもちょっと

解釈が違っているような気がして、なんでそうなるの?

早く先生のところで学びたい気持ちになった。

 

たとえば、タイトルに『蛾たち』という曲がある。

蛾も蝶々と同じようにヒラヒラと舞う昆虫で、

蝶々のような優美さないけれども、毒々しさがある。

「蛾」がテーマになることもあるので昆虫を観察するのも

こういう作品を演奏する時には役立つことがある。

トンプソンは蛾の曲にPresto(プレスト)をつけた。

 

音楽用語Presto(プレスト) 

これは「急速に」という意味で、急ぎ足でとか速く演奏する事を表す。

この場合は「蛾の群れがすごい勢いで飛行するイメージを持って」

という作曲家の意図を組んで演奏するのが好ましいかと思うけど、、

なかなか動画サイトでPresto(プレスト)で演奏されているものは

見つからず。。

 

Vivo(ヴィーヴォ)でもなくVivace(ヴィヴァーチェ)でもなく

Presto(プレスト)にしたことには意味があると思う。

ちなみに、この3つは「非常に速い」という速度を表す記号で

日本語に訳すとそこに含まれるニュアンスがわかりにくくなるけれど

VivoやVivaceは、活発な、楽しい、嬉しいなど人の感情的なものが

含まれていて、快活に踊る作品などに使われるのをよくみる。

 

その点、Prestoは機能的な速度を表す時に使われていることが多い。

また急速な、、というスピード感には緊張感も感じられる

チャイコフスキー作品にバーバヤガという魔女の曲があるけれども

Prestoで表され、空から魔女がほうきにまたがって急降下してくるような

スピード感に溢れているけど、おどろおどろしく怖がらせのようで面白い。


話を戻して、、、確かに作品は運指も弾きにくい音形かもしれないけど、、

その弾きにくい作品をPresto(プレスト)で演奏できるようになるまでを

根気よく練習して習得しようというテーマは無視されて、いつの間にか

アレグレットかアレグロの作品として浸透しているようで、

動画サイトで最初に演奏した人の弾き方が模範となり、

作曲家の意図から離れていくことがあるんだろうか?

少し違ったニュアンスの作品になりつつあるのを残念に感じた。

 

どういうテクニックを使えばPresto(プレスト)ができるかが

テーマになっていると思い込んでいたけれども、、、

人それぞれにそれを感じる速度も違うと受け止めるべきか

その曲のテーマがわからなくなることがある。

 

動画サイトも影響力があるのか、正しくない方向に浸透する

きっかけを作ることもあるようで、少し気になり始めた。

 

アメリカ人のおじいさん先生が動画サイトで、トンプソンの現代教本の

曲解説を長々と喋った後に、おまけに模範演奏を披露していて

私は、最初、このおじいさんをトンプソン先生と勘違いしていた。

よく考えたら、本物のトンプソン先生は1963年に他界している。

指がブルブル震え演奏が止まりそうになりながら、次の音に行くまでに

よろよろと、、スローモーションのような動画を真剣に見ていた。

トンプソン先生のはずはないのに、、、何故か思い込んでいた。

だから、Prestoにも疑問符がついてしまうかな、、、