いつもピアノの先生宅に伺いレッスンを受けるついでに
生徒のレッスン指導について、色々と参考になる話を
していただくことがある。
昨日も、先生が指導なさっている大学生の生徒さんの
フォルテの奏で方についての話題になった。
大学生の生徒さんは、大学教授からフォルテの入れ方を
「鍵盤をしっかりつかんで」と学んだという。
それを聞いて、私が、「つかむ?どうやってつかむんですか?」
「しっかり圧をかけて、とか、押し込んでではなくて?」と尋ねると
私の先生も、「しっかり押しての間違いじゃないの?」と
大学生さんに尋ねたという。
しかし、大学生さんも「教授から掴んでと言われて掴めてるから、
このやり方でいいんです」と譲らなかったそうで、
とりあえず、ピアノ教室の先生の話も試してみれば良かったのに、、
とちょっと残念に思った。
フォルテで鍵盤を掴むというのはどうやってやるんでしょうね、、、?
と先生と私は首をかしげながら、よくイメージができないままになった。
学生さんが大学教授に学びながら、個人ピアノ教室で学ぶというのは
よくあることだけど、複数の指導者に学ぶ場合には、時々こういう
問題が生じることがあると思う。
些細なことかもしれないけれども、、スタッカート、レガート、アクセント
クレッシェンド、デクレッシェンド、アーティキュレーション、シンコペなど
作曲家、作品など解釈の違いだったりテクニックもそれぞれの考え方、
やり方があるだろうし、何が正しくて何が間違っていると明確な
答えがあるわけでもないので、指導を受けるレッスン生にとっては、
複数の先生の言い方がそれぞれ違うと戸惑いの原因になる。
それぞれの先生方がイメージしている奏で方を生徒に指導するので
同じ作品を演奏するのでも、A先生のところで、B指導者から受けた
指導で弾けば注意されることがあるかもしれないし、、、、
B指導者のところで、A先生から学んだことをやると注意されることも
あるかもしれないと思うと、結局、生徒自身がどう奏でたいのか
イメージがきちんとできていないと、だんだん何を表現したいのかが
わからなくなってこないんだろうか、、と思った。
そういえば、、、
何年か前に大人の生徒さんにレッスンした時に言われたのを思い出した。
「あの~、学生時代にピアノの先生から学んだことと全然違うんですけど、
その先生から学んだことを全否定なさるつもりですか?
私自身のピアノ人生や人格まで全否定された気がするんですよね、、、」
と泣かれたことがある。
そういうつもりではなくても、過去にピアノを習ったことのある人にとって
あまりに違うと、人格までも否定されたように受け止められるのだな
と指導の難しさを感じた。
もちろん、私自身も複数の先生に学んできたけれども、
自分の学び方ややり方が間違っていたと思えば切り捨ててしまい、
すぐに正しいと思うやり方に修正して習得してきたので、
その点については迷いなく柔軟に対応できてきたと思うけれども、
そうしないと上達に結びついていかない。
多くの作品を演奏しようとする時、多くの技巧を身につけて
それぞれの先生方のやり方を試してみて、できるだけ沢山の
引き出しを持つために学ぶと考えた方が良いのかなと思う。